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勇者
新しい能力
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私達は竜化したエレの背中に乗って泉に帰ってきた。
「皆様、おかえりなさい」
出迎えてくれたのはライブラだった。
黒のワンピース姿で肩には丸太を担いでいた。
「何をしているの?」
「はい。皆様の宿舎を建設中です。ソータ様に提案をいただき、ただいま増築を行っております」
「そう。そう言った作業をする時は服装を替える事をお勧めするわ」
「分かりました。ソータ様に相談致します」
そう言って丸太を担いだまま歩いて行った。
「ライブラさんって力持ちなんだね……」
「そうみたいね」
セロは軽々と自分の何倍もの重量のある丸太を担いで歩くライブラを見ながら呟く。
あの子、建築の技術なんて持っていたのかしら?
『ハル様、メイ様、エレ、マイおかえりなさい!皆様もようこそ!』
次に出迎えてくれたのはカナエだった。
「ライブラが建築を行なっているみたいだけど」
『はい。ディアブレルから来た大工に教わったのです。あの子、物凄く物覚えが良くて今は教えてない事まで職人以上の技術なんですよ』
流石ね。
「颯太に教えられた事は全て覚えたの?」
『はい。その様です』
まあ聞くまでもないか。
「という事は次はライブラさんも一緒に冒険者かな?」
芽依が嬉しそうに聞いてくる。
「そうね。本人の意思も確認してからだけど。セロさん達は宜しいですか?」
「ええ。勿論」
「頼りになりそう!」
「楽しみですね」
三人ともライブラがパーティに加わる事には賛成の様だ。
あとは颯太に聞いてみて連れて行くかを決めよう。
私達が小屋でゆっくりさせてもらっていたら颯太が戻ってきた。颯太は大森林の中に敷設中の道の視察に出ていたらしい。かなりのハイペースで敷設出来ているらしく、予定よりもかなり早く工事は完了そうだ。
「何か手伝う事はある?」
「母さん達は身体を休める為に来たんだから、のんびりしていていいよ」
「そうはいかないわ。私は代表なのだから」
「じゃあ今日だけはゆっくりしていてよ。明日には各種族長に会ってもらわなくちゃいけないし」
「分かったわ」
今日は泉の畔でのんびりさせてもらう事になった。
そういう事なら良い機会だから新しい技能を試してみよう。
問題の多そうな《物質変換》は後回しで、まずは《瞬間移動》から。
泉から少し離れた所で《瞬間移動》を試してみる。
作動方法が分からなかったが、アキオの発動のタイミングを考えるとかなりの集中力が必要だと推測できる。ならばイメージだろうと呼吸を整えて移動したい場所をイメージしてみるが作動しない。
何かが足りないか。いや……アキオの《瞬間移動》は一定距離以上は移動していなかった。ならば単純に距離制限外ということかも知れない。試しに五メートル先を見つめて《瞬間移動》のイメージを行うと移動できた。
よし。このまま検証だ。
色々試した結果この能力は五百メートル以上は移動できない事が分かった。また、木の裏側等の見えていない場所に移動する時は回り込んだ距離分も換算しなければならなくて、回り込めない場所には移動できない様だ。
中々不便ね。
では次、《物質変換》の方を試してみようか。
いや……何か引っ掛かる。具体的に何がとは言えないけど、《瞬間移動》にはもう少し可能性を感じる。
そうだ。《効果合成》や《拡張》、《逆転》も試してみよう。
この世界はわからない事だらけだ。自分の常識にとらわれるな。自分の手札を自分で減らす事は勿体ない事だ。
《拡張》で有効距離が延びた。
《逆転》を混ぜたら何故か転移先を立体的に認識できる様になった。
ついでに《遠隔視野》を混ぜてみたら回り込みの距離消費が無くなった。
この技能は面白い。
いや、この世界で獲得できた能力は全て可能性を秘めているのだ。
それを実感した瞬間だった。
尚、後で颯太に怒られた。
「母さん、ゆっくり休むって意味分かってる?」
「ごめんなさい……」
「皆様、おかえりなさい」
出迎えてくれたのはライブラだった。
黒のワンピース姿で肩には丸太を担いでいた。
「何をしているの?」
「はい。皆様の宿舎を建設中です。ソータ様に提案をいただき、ただいま増築を行っております」
「そう。そう言った作業をする時は服装を替える事をお勧めするわ」
「分かりました。ソータ様に相談致します」
そう言って丸太を担いだまま歩いて行った。
「ライブラさんって力持ちなんだね……」
「そうみたいね」
セロは軽々と自分の何倍もの重量のある丸太を担いで歩くライブラを見ながら呟く。
あの子、建築の技術なんて持っていたのかしら?
『ハル様、メイ様、エレ、マイおかえりなさい!皆様もようこそ!』
次に出迎えてくれたのはカナエだった。
「ライブラが建築を行なっているみたいだけど」
『はい。ディアブレルから来た大工に教わったのです。あの子、物凄く物覚えが良くて今は教えてない事まで職人以上の技術なんですよ』
流石ね。
「颯太に教えられた事は全て覚えたの?」
『はい。その様です』
まあ聞くまでもないか。
「という事は次はライブラさんも一緒に冒険者かな?」
芽依が嬉しそうに聞いてくる。
「そうね。本人の意思も確認してからだけど。セロさん達は宜しいですか?」
「ええ。勿論」
「頼りになりそう!」
「楽しみですね」
三人ともライブラがパーティに加わる事には賛成の様だ。
あとは颯太に聞いてみて連れて行くかを決めよう。
私達が小屋でゆっくりさせてもらっていたら颯太が戻ってきた。颯太は大森林の中に敷設中の道の視察に出ていたらしい。かなりのハイペースで敷設出来ているらしく、予定よりもかなり早く工事は完了そうだ。
「何か手伝う事はある?」
「母さん達は身体を休める為に来たんだから、のんびりしていていいよ」
「そうはいかないわ。私は代表なのだから」
「じゃあ今日だけはゆっくりしていてよ。明日には各種族長に会ってもらわなくちゃいけないし」
「分かったわ」
今日は泉の畔でのんびりさせてもらう事になった。
そういう事なら良い機会だから新しい技能を試してみよう。
問題の多そうな《物質変換》は後回しで、まずは《瞬間移動》から。
泉から少し離れた所で《瞬間移動》を試してみる。
作動方法が分からなかったが、アキオの発動のタイミングを考えるとかなりの集中力が必要だと推測できる。ならばイメージだろうと呼吸を整えて移動したい場所をイメージしてみるが作動しない。
何かが足りないか。いや……アキオの《瞬間移動》は一定距離以上は移動していなかった。ならば単純に距離制限外ということかも知れない。試しに五メートル先を見つめて《瞬間移動》のイメージを行うと移動できた。
よし。このまま検証だ。
色々試した結果この能力は五百メートル以上は移動できない事が分かった。また、木の裏側等の見えていない場所に移動する時は回り込んだ距離分も換算しなければならなくて、回り込めない場所には移動できない様だ。
中々不便ね。
では次、《物質変換》の方を試してみようか。
いや……何か引っ掛かる。具体的に何がとは言えないけど、《瞬間移動》にはもう少し可能性を感じる。
そうだ。《効果合成》や《拡張》、《逆転》も試してみよう。
この世界はわからない事だらけだ。自分の常識にとらわれるな。自分の手札を自分で減らす事は勿体ない事だ。
《拡張》で有効距離が延びた。
《逆転》を混ぜたら何故か転移先を立体的に認識できる様になった。
ついでに《遠隔視野》を混ぜてみたら回り込みの距離消費が無くなった。
この技能は面白い。
いや、この世界で獲得できた能力は全て可能性を秘めているのだ。
それを実感した瞬間だった。
尚、後で颯太に怒られた。
「母さん、ゆっくり休むって意味分かってる?」
「ごめんなさい……」
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