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勇者
最後の抵抗
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私達が大魔法を準備しているのを察知したシュウは私達目掛けて大砲を向けてくる。
『やらせないぞ!』
『お前の相手は俺達だ!』
メトとマカミが右腕に飛びついた瞬間に砲が放たれて私達の遥か上方を砲弾が飛んでいく。
カクカミは巨大な角を左脇腹に突き刺し、ヤトは尻尾を右足に絡めて引っ張る。バランスが取れずに少しずつ倒れていくシュウ。
『畜生共ガ!離セ!!』
纏わり付いているメトとマカミが邪魔で大砲が使えないらしく左腕を振り回して攻撃しているが、メトとマカミは食らい付いて離れない。
「母さん、こっちはもうすぐだよ」
「私ももう少し」
颯太とカナエはもう少しで魔法が完成する。私も詠唱速度を上げて間に合わせる様に努める。
大砲は砲身をあちこちに向けながら乱射されている。
その内の一発が偶然こちらに向いて放たれた。
芽依とマイが二人で防御の石壁を作ってくれて直撃は免れた。しかし砕けた石壁の破片で二人は怪我をしてしまった。
「お母さんと颯太お兄ちゃん、カナエちゃんは無事だね?良かった……」
額から血を流しながら言う芽依。
今すぐに回復してやりたいが、詠唱を止める事は出来ない。
早くあれを倒して回復するから。待っていて。
魔法が完成して颯太と頷き合い魔法の発射態勢に入る。
『ザッケンな!コイつラがドウナッてモイイノかヨ!!』
右手の大砲を放り出して引き剥がそうとしていたマカミとメトを両手で捕まえるシュウ。
このままでは魔法が撃てない。
「仕方がない。少し逸らしてシュウにダメージを与えようか。もう一度魔法を作り直してトドメを刺そう」
颯太達も長く完成した魔法を保持しておく事は出来そうにない。私もそう長くは保たない。
「私に任せてください!」
そう言って飛んできたのはエレだった。
火球を幾つか吐き出してシュウの左足元に着弾させて地面を抉りバランスを崩させて勢いよく体当たりを仕掛ける。
エレの巨体が頭に命中して勢いよく倒れるシュウ。その拍子に両手の拘束が外れたのでメトとマカミが離脱する。エレ、カクカミ、ヤトもその場から離れた。
「今よ!」
「うん。いくよ母さん」
颯太とカナエが《アルエクリシス》を解き放つ。私もそれに合わせて《フィルトルーク》を発動した。
二つの大魔法は倒れたシュウに直撃した。
《アルエクリシス》の魔力の塊が身体をズタズタに引き裂き、《フィルトルーク》の光線がシュウの身体の中心に突き刺さり溶かしていく。
『グワアアァァァァッッ!!?』
悲鳴とも雄叫びとも取れる様な声を上げるシュウ。その身体は爆発で見えなくなった。
爆煙が収まりシュウのいた所を見ると、そこにはバラバラに砕け一部が溶解した金属が散らばっていた。
あれだけの魔法を受けたのだ。もはや生きていないだろう。そう思ったのも束の間、ゆっくりと身体を起こそうと動き始めるシュウ。
しかし彼の身体は既に胸から上しか残っておらず、両腕も肩から失っていた。
『何デダ……何デ俺ガコンナ目ニ……』
「お終いよ。もう眠りなさい」
『嫌ダ……死ニタクナイ!頼ム、助ケテ……』
私はシュウに答えない。
あれだけの事をしておいて虫が良すぎる。
確かマイは『魂はここにある』と言っていた。ならばそれを完全に吸い取って消してしまおう。
たとえ機械でも、生命エネルギーはあるはずだ。
彼の胸に手を当てて《栄養吸収》を全力で実行。
『嫌ダ!ヤメテ……!ヤメテクレーー!!』
金属が砂の様に溶け出して塵に変わっていく。
シュウは完全に消滅した。
「終わったね」
「ええ。みんなを回復させないと」
勝利の余韻に浸っている場合ではない。トコヤミ、芽依、マイは酷い怪我をしている。直ぐに回復をしなければ。
トコヤミも二発のミサイルを撃破してこちらに戻ってきた所だった。
彼は着地というより墜落に近い形でこちらに降りてきた。
かなりの重傷だ。早く手当をしなければ。
『やらせないぞ!』
『お前の相手は俺達だ!』
メトとマカミが右腕に飛びついた瞬間に砲が放たれて私達の遥か上方を砲弾が飛んでいく。
カクカミは巨大な角を左脇腹に突き刺し、ヤトは尻尾を右足に絡めて引っ張る。バランスが取れずに少しずつ倒れていくシュウ。
『畜生共ガ!離セ!!』
纏わり付いているメトとマカミが邪魔で大砲が使えないらしく左腕を振り回して攻撃しているが、メトとマカミは食らい付いて離れない。
「母さん、こっちはもうすぐだよ」
「私ももう少し」
颯太とカナエはもう少しで魔法が完成する。私も詠唱速度を上げて間に合わせる様に努める。
大砲は砲身をあちこちに向けながら乱射されている。
その内の一発が偶然こちらに向いて放たれた。
芽依とマイが二人で防御の石壁を作ってくれて直撃は免れた。しかし砕けた石壁の破片で二人は怪我をしてしまった。
「お母さんと颯太お兄ちゃん、カナエちゃんは無事だね?良かった……」
額から血を流しながら言う芽依。
今すぐに回復してやりたいが、詠唱を止める事は出来ない。
早くあれを倒して回復するから。待っていて。
魔法が完成して颯太と頷き合い魔法の発射態勢に入る。
『ザッケンな!コイつラがドウナッてモイイノかヨ!!』
右手の大砲を放り出して引き剥がそうとしていたマカミとメトを両手で捕まえるシュウ。
このままでは魔法が撃てない。
「仕方がない。少し逸らしてシュウにダメージを与えようか。もう一度魔法を作り直してトドメを刺そう」
颯太達も長く完成した魔法を保持しておく事は出来そうにない。私もそう長くは保たない。
「私に任せてください!」
そう言って飛んできたのはエレだった。
火球を幾つか吐き出してシュウの左足元に着弾させて地面を抉りバランスを崩させて勢いよく体当たりを仕掛ける。
エレの巨体が頭に命中して勢いよく倒れるシュウ。その拍子に両手の拘束が外れたのでメトとマカミが離脱する。エレ、カクカミ、ヤトもその場から離れた。
「今よ!」
「うん。いくよ母さん」
颯太とカナエが《アルエクリシス》を解き放つ。私もそれに合わせて《フィルトルーク》を発動した。
二つの大魔法は倒れたシュウに直撃した。
《アルエクリシス》の魔力の塊が身体をズタズタに引き裂き、《フィルトルーク》の光線がシュウの身体の中心に突き刺さり溶かしていく。
『グワアアァァァァッッ!!?』
悲鳴とも雄叫びとも取れる様な声を上げるシュウ。その身体は爆発で見えなくなった。
爆煙が収まりシュウのいた所を見ると、そこにはバラバラに砕け一部が溶解した金属が散らばっていた。
あれだけの魔法を受けたのだ。もはや生きていないだろう。そう思ったのも束の間、ゆっくりと身体を起こそうと動き始めるシュウ。
しかし彼の身体は既に胸から上しか残っておらず、両腕も肩から失っていた。
『何デダ……何デ俺ガコンナ目ニ……』
「お終いよ。もう眠りなさい」
『嫌ダ……死ニタクナイ!頼ム、助ケテ……』
私はシュウに答えない。
あれだけの事をしておいて虫が良すぎる。
確かマイは『魂はここにある』と言っていた。ならばそれを完全に吸い取って消してしまおう。
たとえ機械でも、生命エネルギーはあるはずだ。
彼の胸に手を当てて《栄養吸収》を全力で実行。
『嫌ダ!ヤメテ……!ヤメテクレーー!!』
金属が砂の様に溶け出して塵に変わっていく。
シュウは完全に消滅した。
「終わったね」
「ええ。みんなを回復させないと」
勝利の余韻に浸っている場合ではない。トコヤミ、芽依、マイは酷い怪我をしている。直ぐに回復をしなければ。
トコヤミも二発のミサイルを撃破してこちらに戻ってきた所だった。
彼は着地というより墜落に近い形でこちらに降りてきた。
かなりの重傷だ。早く手当をしなければ。
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