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勇者
襲撃者
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「ハル様!」
エレとマイが駆け寄って来る。一瞬遅れて芽依、セロ、リン、ミラもやって来た。
エレは私が吹き飛ばされた逆側に立ち、マイは地面を隆起させて壁を作り上げる。
何かが飛んできて私を貫いた。
この威力、間違いない。武器は銃だろう。
私は何とか身体を起こし《過剰分泌》させた泉の水で自分を治療する。
凄まじい威力だった。
私だけに当たって幸運だ。他の者では即死だろう。
「ハルさん…だ、大丈夫ですか?」
「ええ。すぐに治るわ」
セロが心配して聞いてくる。この身体は痛覚が鈍いのだが流石に腕を一本吹き飛ばされたら痛い。
衝撃が強すぎて何処から撃たれたのかが特定出来なかった。ただ分かるのはかなり遠くからだったという事くらいか。となると…不味いわね。
「全員すぐに伏せて」
私がそう言うと全員が地面に伏せる。
その直後マイが魔法で作った壁が轟音と共に粉々に吹き飛んだ。
弾は貫通して地面に突き刺さり石畳を大きく抉り取っていた。
高台からの長距離射撃か。大通りに沿って飛んできたからこの通りの建物からか、もっと遠くから撃ってきているか。
攻撃が雑に見えるのは狙いが定められない程遠くからと考えてもいい。
それはつまり周りにいるこの子達に銃弾が当たる可能性を示していた。
「マイ、お願いがあるのだけど」
「はい!何でも言ってくださいです!」
マイに先程の壁を等間隔に並べて立ててもらう。恰もそちらに私達が逃げているかの様に。私は同時に泉の水を《気化》させて視界を悪くする。
凄まじい轟音と共にマイが少し離れた所に発生させた一枚目の壁が吹き飛んだ。
同時に《遠隔視野》で高い建物を重点的に犯人を捜索する。
……街の建物には銃らしきものを構えているものは見当たらない。
二枚目の壁が弾け飛んだ。
もっと遠くから狙って来ている様だ。
マイが三枚目の壁を作る。
位置を特定するのも大事だが安全な所へ逃げる事も考える必要がある。
建物の陰に入れば安全だろうか?貫通しては来ないか?……いや、考えを絞らなければ。
今は敵の位置の特定だ。
街の外はどうだろうか?かなり遠くだが小高い丘がある。
しかし幾ら銃が強力だからといってあんな遠くから撃てるものだろうか?
少なくとも地球の銃であの距離から狙えるものは無いと思うがこの世界には魔法がある。地球の常識に囚われてはいけないと《遠隔視野》で捜してみる。
……あれか?
丘の上にうつ伏せになって何かを構えている者が見える。
周りの地面が土埃を上げた。その瞬間三枚目の壁が吹き飛ぶ。
間違いない、あれだ。
更にその人物に寄ってみると見覚えのある男だった。
それはヨアン。
彼はシュウの側に付いたということか。
「攻撃をして来ている者の位置がわかりました。反撃を行います」
「私達はどうすればいい?」
芽依が伏せたまま聞いてくる。
「暫くここに隠れていて。マイ、ここに壁を三重に作って」
「はいです!」
マイが作った壁一枚ずつに《硬化》をかける。これなら暫くは耐えられるはずだ。
私は再生が終わった右腕を確認する。
元通りになっている。服の袖は吹き飛ばされて無くなってしまったが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
『ハル様!ご無事ですか!?』
オオトリが上空から声を掛けてくる。
「空は危険よ。直ぐにここから離れなさい!」
オオトリは大森林との連絡役も兼ねている。直ぐにこちらに来なかったのは偶々森林の方へと行っていたからだろう。
オオトリは私の指示通りに距離を取ろうと大きく羽ばたくが、彼の左翼に銃弾が命中して中程から吹き飛ばされた。
「オオトリ!」
芽依が叫ぶ。
オオトリは錐揉みに回転しながら少し離れた所に落ちていった。
後で必ず助けに行くから無事でいて。
「カナエ!」
『はーい!』
「今から敵に反撃をするわ。手伝って頂戴」
私はカナエを召喚して援護を頼むことにした。
エレとマイが駆け寄って来る。一瞬遅れて芽依、セロ、リン、ミラもやって来た。
エレは私が吹き飛ばされた逆側に立ち、マイは地面を隆起させて壁を作り上げる。
何かが飛んできて私を貫いた。
この威力、間違いない。武器は銃だろう。
私は何とか身体を起こし《過剰分泌》させた泉の水で自分を治療する。
凄まじい威力だった。
私だけに当たって幸運だ。他の者では即死だろう。
「ハルさん…だ、大丈夫ですか?」
「ええ。すぐに治るわ」
セロが心配して聞いてくる。この身体は痛覚が鈍いのだが流石に腕を一本吹き飛ばされたら痛い。
衝撃が強すぎて何処から撃たれたのかが特定出来なかった。ただ分かるのはかなり遠くからだったという事くらいか。となると…不味いわね。
「全員すぐに伏せて」
私がそう言うと全員が地面に伏せる。
その直後マイが魔法で作った壁が轟音と共に粉々に吹き飛んだ。
弾は貫通して地面に突き刺さり石畳を大きく抉り取っていた。
高台からの長距離射撃か。大通りに沿って飛んできたからこの通りの建物からか、もっと遠くから撃ってきているか。
攻撃が雑に見えるのは狙いが定められない程遠くからと考えてもいい。
それはつまり周りにいるこの子達に銃弾が当たる可能性を示していた。
「マイ、お願いがあるのだけど」
「はい!何でも言ってくださいです!」
マイに先程の壁を等間隔に並べて立ててもらう。恰もそちらに私達が逃げているかの様に。私は同時に泉の水を《気化》させて視界を悪くする。
凄まじい轟音と共にマイが少し離れた所に発生させた一枚目の壁が吹き飛んだ。
同時に《遠隔視野》で高い建物を重点的に犯人を捜索する。
……街の建物には銃らしきものを構えているものは見当たらない。
二枚目の壁が弾け飛んだ。
もっと遠くから狙って来ている様だ。
マイが三枚目の壁を作る。
位置を特定するのも大事だが安全な所へ逃げる事も考える必要がある。
建物の陰に入れば安全だろうか?貫通しては来ないか?……いや、考えを絞らなければ。
今は敵の位置の特定だ。
街の外はどうだろうか?かなり遠くだが小高い丘がある。
しかし幾ら銃が強力だからといってあんな遠くから撃てるものだろうか?
少なくとも地球の銃であの距離から狙えるものは無いと思うがこの世界には魔法がある。地球の常識に囚われてはいけないと《遠隔視野》で捜してみる。
……あれか?
丘の上にうつ伏せになって何かを構えている者が見える。
周りの地面が土埃を上げた。その瞬間三枚目の壁が吹き飛ぶ。
間違いない、あれだ。
更にその人物に寄ってみると見覚えのある男だった。
それはヨアン。
彼はシュウの側に付いたということか。
「攻撃をして来ている者の位置がわかりました。反撃を行います」
「私達はどうすればいい?」
芽依が伏せたまま聞いてくる。
「暫くここに隠れていて。マイ、ここに壁を三重に作って」
「はいです!」
マイが作った壁一枚ずつに《硬化》をかける。これなら暫くは耐えられるはずだ。
私は再生が終わった右腕を確認する。
元通りになっている。服の袖は吹き飛ばされて無くなってしまったが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
『ハル様!ご無事ですか!?』
オオトリが上空から声を掛けてくる。
「空は危険よ。直ぐにここから離れなさい!」
オオトリは大森林との連絡役も兼ねている。直ぐにこちらに来なかったのは偶々森林の方へと行っていたからだろう。
オオトリは私の指示通りに距離を取ろうと大きく羽ばたくが、彼の左翼に銃弾が命中して中程から吹き飛ばされた。
「オオトリ!」
芽依が叫ぶ。
オオトリは錐揉みに回転しながら少し離れた所に落ちていった。
後で必ず助けに行くから無事でいて。
「カナエ!」
『はーい!』
「今から敵に反撃をするわ。手伝って頂戴」
私はカナエを召喚して援護を頼むことにした。
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