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勇者
素材と交渉
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アルザハーン達とはディアブレルとの友好についても話し合っておく。
「ブランハザーンの政変の事はともかくとして、ハル様達の襲撃については許しておりません」
「それについては当時の国王が尽力して、国内から不穏分子を一掃したらしいわ。私はそれで水に流そうと思うけど、どうかしら?」
「ハル様がそうお決めになられたのなら私達はそれに従いましょう」
「ありがとう。数日の内に使者が来ると思うから宜しくね」
彼らは私の決定に従ってくれると言う。
負担にならないか聞いてみたが問題ないそうだ。
芽依の武器を見ていた思い出したのだが、私の指輪の中にガルムンドを入れたままにしていたのを忘れていた。
これは巨人達に渡すつもりだったので明日の朝、一度森に戻って渡してこよう。
指輪の《ストレージ》の容量についてザハーンに話を聞いておく。
「あの指輪の容量の限界はウルゼイドにある物では最高のものになっています。あれの容積を限界までという事は相当な物を格納したのですね」
「実は巨人達の住処を襲ったドラゴンを丸ごと入れたの」
「……それは今も入れたままなのですか?」
「ええ。巨人達に渡そうと思っていたのだけど忘れていたのよ。明日森に戻って置いて来ようと思うわ」
それを聞いて少し残念そうにするザハーン。
「ドラゴンの遺骸は宝の山なのです。大抵の部位が素材として使えますからね」
「そうでしょうね。彼らは住処を追われて大変でしょうから少しでも助けになればと思っているの」
「それでしたら私がお役に立てるかも知れません。ドラゴンの素材と交換で必要な物をご用意できると思います」
ザハーンは目を輝かせて話し出す。
こういう所はしっかり商人をしているわね。
「分かったわ。明日一緒に巨人達の所に行って交渉してみたらどうかしら?」
「是非お願いします!」
ザハーンは大喜びだ。
「イルよ、こんな席で商売の話など失礼であろう」
「そうでした。ハル様、申し訳ありません」
「いいのよ。ここでなければ話せない事だもの」
それにザハーンには世話になりっ放しだ。これで少しでも恩を返せればと思う。
今日来てくれた全員には泉の水を渡しておく。怪我にも病気にも効く泉の水があれば何かあった時に助けになるし、売り払えばかなりのお金になる筈だ。
持っている事を知られるとトラブルに巻き込まれるかも知れないという懸念もあったが、逆に私と親しい者として認識されるそうで、下手な手出しはされなくなるらしい。
御守り替わりになるのならそれも良いわね。
芽依はまだまだ話し足りない様だったが、明日も早くに出発する事になってしまったので早めにお開きになった。
翌日、朝食をいただいて、使用人の皆にも礼を言い、泉の水を渡してから出発する。
馬車で街の外まで送ってもらい、エレに変身してもらって森へ向かう。
ザハーンはエレがドラコニアンだと知らなかったので驚いていた。
巨人達が身を寄せているエルフの集落に行って、ザムドにガルムンドの遺骸を引き渡したいと話をしたが、『ハル様がお使いください』と言って聞かなかったので、ザムド達に確認をしながらこの場でザハーンと交渉する事にした。
広い所に移動してから指輪からガルムンドの遺骸を出して、ザハーンが希望する部位と何が交換できるかを話し合う事に。
物珍しさからか、エルフやダークエルフ、ドワーフ達も集まって来てその様子を見守っていた。
ガルムンドの素材はかなりの高品質らしい。例えば鱗一枚だけで巨人達の一ヶ月分の食糧と交換出来る程だと言う。
それならば暫くの食糧を供給出来るようにと手配しておく。
それから衣類や建材の類いも多めに頼んでおこう。
色々考えたが、私は建築の専門でもないので、竜の素材を多めに渡して暫く面倒を見て貰えるようにお願いする事にした。
「物資の輸送はトコヤミが出来るように話しておくわ」
「ありがとうございます!良い取引でした」
ザハーンは本当に喜んでいた。
「ブランハザーンの政変の事はともかくとして、ハル様達の襲撃については許しておりません」
「それについては当時の国王が尽力して、国内から不穏分子を一掃したらしいわ。私はそれで水に流そうと思うけど、どうかしら?」
「ハル様がそうお決めになられたのなら私達はそれに従いましょう」
「ありがとう。数日の内に使者が来ると思うから宜しくね」
彼らは私の決定に従ってくれると言う。
負担にならないか聞いてみたが問題ないそうだ。
芽依の武器を見ていた思い出したのだが、私の指輪の中にガルムンドを入れたままにしていたのを忘れていた。
これは巨人達に渡すつもりだったので明日の朝、一度森に戻って渡してこよう。
指輪の《ストレージ》の容量についてザハーンに話を聞いておく。
「あの指輪の容量の限界はウルゼイドにある物では最高のものになっています。あれの容積を限界までという事は相当な物を格納したのですね」
「実は巨人達の住処を襲ったドラゴンを丸ごと入れたの」
「……それは今も入れたままなのですか?」
「ええ。巨人達に渡そうと思っていたのだけど忘れていたのよ。明日森に戻って置いて来ようと思うわ」
それを聞いて少し残念そうにするザハーン。
「ドラゴンの遺骸は宝の山なのです。大抵の部位が素材として使えますからね」
「そうでしょうね。彼らは住処を追われて大変でしょうから少しでも助けになればと思っているの」
「それでしたら私がお役に立てるかも知れません。ドラゴンの素材と交換で必要な物をご用意できると思います」
ザハーンは目を輝かせて話し出す。
こういう所はしっかり商人をしているわね。
「分かったわ。明日一緒に巨人達の所に行って交渉してみたらどうかしら?」
「是非お願いします!」
ザハーンは大喜びだ。
「イルよ、こんな席で商売の話など失礼であろう」
「そうでした。ハル様、申し訳ありません」
「いいのよ。ここでなければ話せない事だもの」
それにザハーンには世話になりっ放しだ。これで少しでも恩を返せればと思う。
今日来てくれた全員には泉の水を渡しておく。怪我にも病気にも効く泉の水があれば何かあった時に助けになるし、売り払えばかなりのお金になる筈だ。
持っている事を知られるとトラブルに巻き込まれるかも知れないという懸念もあったが、逆に私と親しい者として認識されるそうで、下手な手出しはされなくなるらしい。
御守り替わりになるのならそれも良いわね。
芽依はまだまだ話し足りない様だったが、明日も早くに出発する事になってしまったので早めにお開きになった。
翌日、朝食をいただいて、使用人の皆にも礼を言い、泉の水を渡してから出発する。
馬車で街の外まで送ってもらい、エレに変身してもらって森へ向かう。
ザハーンはエレがドラコニアンだと知らなかったので驚いていた。
巨人達が身を寄せているエルフの集落に行って、ザムドにガルムンドの遺骸を引き渡したいと話をしたが、『ハル様がお使いください』と言って聞かなかったので、ザムド達に確認をしながらこの場でザハーンと交渉する事にした。
広い所に移動してから指輪からガルムンドの遺骸を出して、ザハーンが希望する部位と何が交換できるかを話し合う事に。
物珍しさからか、エルフやダークエルフ、ドワーフ達も集まって来てその様子を見守っていた。
ガルムンドの素材はかなりの高品質らしい。例えば鱗一枚だけで巨人達の一ヶ月分の食糧と交換出来る程だと言う。
それならば暫くの食糧を供給出来るようにと手配しておく。
それから衣類や建材の類いも多めに頼んでおこう。
色々考えたが、私は建築の専門でもないので、竜の素材を多めに渡して暫く面倒を見て貰えるようにお願いする事にした。
「物資の輸送はトコヤミが出来るように話しておくわ」
「ありがとうございます!良い取引でした」
ザハーンは本当に喜んでいた。
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