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勇者
芽依の成長
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朝、ちょっとした騒ぎが起きた。
「ハル様!メイ様が……!」
私は寝る必要もないので、皆が寝静まった後で泉の畔で色々と考えていた。
マカミが側に来てフカフカの毛皮に包まれていたので温かく過ごしていたのだが、そこに慌ててやって来たのはエレだった。
「どうしたの?」
「それが……来てもらってよろしいですか?」
どう説明したら良いのか困っている様だったので芽依のところに行って確かめる事に。
部屋の外にはセロが、中にはリンとミラが心配そうにしていた。
「お母さん……」
「芽依……?」
ベッドに座っていた芽依はかなり困惑している。
服の袖丈は短くなっていて胸元ははだけていた。髪もかなり伸びている。
芽依は成長していた。リン達と同じくらいの歳に見えるが、一晩でこんなに変わってしまったのは何故だろうか。
「眷属化の影響じゃないかな?」
颯太はシーツを持ってきて芽依の肩に掛ける。
「アインの時はこんな事はなかったのに」
「彼は既に大人だったからね。あれ以上成長したら衰えてしまうよ」
つまり眷属化は身体能力を向上させる効果があり、適正年齢まで強制的に成長させる効果があるという事?
芽依とアインにしか施した事はないので推測しか出来ないが。
「芽依、どこか痛かったりはしない?」
「うん……平気だよ」
涙目になりながら答える芽依。
「芽依、ごめんなさい。私が眷属化した所為みたい」
「ううん、気にしないで。ちょっとビックリしただけだから。着替えの服とかみんな着られなくなっちゃったね」
芽依は無理に笑ってみせる。
私は芽依を抱き寄せて頭を撫でる。
「何も心配しなくていいのよ。普通の人より少し早く成長しただけだから」
「うん……」
昨日まで同じくらいの身長だったのに、こんなに大きくなって。成長は嬉しいけど本人は不安になるわよね。
「お母さん……」
「なあに?」
「お母さんってこんなに小っちゃかったんだね」
「そうよ。あなたも同じくらいだったんだから」
「お母さんは大きくならないの?」
「どうかしらね」
私だって気にしているのだからね。
メトとトコヤミ、マカミが心配そうに入り口から顔を覗かせていたので状況を説明して安心させる。
皆、落ち着いたみたいなので颯太と朝食の準備をする。
「母さん、朝食の準備が終わったら芽依の服を全部出しておいてくれるかい?」
「ええ、何で?」
「手直しすればまだ着られると思うから、新しいのを買うまでの代用だよ」
「颯太、あなたそんな事まで覚えたの?」
「うん。自分の服を作って練習していたんだよ。今着ているのも自分で裾を直したんだ」
私達の服を作る事も考えていたらしい。
本当、この子は家族思いの良い子だわ。
芽依はエレの服を借りて寝室から出てきていた。
エレの方が少し背が高いけど、服は殆ど同じサイズの様だ。
「メイ様が宜しければそのままお使い下さい」
「いいの?悪いよ……」
「少しの間借りておいてよ。芽依の服は僕が調整してみるから」
「ありがとうソータお兄ちゃん!」
朝食を食べ終わったら颯太は芽依の採寸をして服の調整をする。
食器の片付けはセロ、リン、ミラがやってくれるそうだ。
私とエレとマイは掃除をしてしまおう。
掃除と言っても洗浄の魔法を掛けるのが大半なので全く苦労はない。
『ハル様、ディアブレルの者が来た様です』
家の外でオオトリが告げてくる。
「分かったわ。すぐに行きます」
魔法での掃除は終わっているのでエレとマイにあとは任せて私はトコヤミに乗って出迎えに行く。
向こうから飛んできているものが見える。鷲の頭をしいるが獣の様な体を持った馬よりも大きな生き物だ。
『あれはグリフォンです。あれを使役できる者がいるのですね』
トコヤミが教えてくれた。
「グリフォンは珍しいの?」
『魔族や人間に使役されるグリフォンは珍しいと思います。あれは無駄にプライドだけは高いですから』
トコヤミはそう言いつつも、『我ら竜族の方が優秀です』と付け加えていた。
空を飛ぶものとして譲れないものがあるのだろう。
「ハル様!メイ様が……!」
私は寝る必要もないので、皆が寝静まった後で泉の畔で色々と考えていた。
マカミが側に来てフカフカの毛皮に包まれていたので温かく過ごしていたのだが、そこに慌ててやって来たのはエレだった。
「どうしたの?」
「それが……来てもらってよろしいですか?」
どう説明したら良いのか困っている様だったので芽依のところに行って確かめる事に。
部屋の外にはセロが、中にはリンとミラが心配そうにしていた。
「お母さん……」
「芽依……?」
ベッドに座っていた芽依はかなり困惑している。
服の袖丈は短くなっていて胸元ははだけていた。髪もかなり伸びている。
芽依は成長していた。リン達と同じくらいの歳に見えるが、一晩でこんなに変わってしまったのは何故だろうか。
「眷属化の影響じゃないかな?」
颯太はシーツを持ってきて芽依の肩に掛ける。
「アインの時はこんな事はなかったのに」
「彼は既に大人だったからね。あれ以上成長したら衰えてしまうよ」
つまり眷属化は身体能力を向上させる効果があり、適正年齢まで強制的に成長させる効果があるという事?
芽依とアインにしか施した事はないので推測しか出来ないが。
「芽依、どこか痛かったりはしない?」
「うん……平気だよ」
涙目になりながら答える芽依。
「芽依、ごめんなさい。私が眷属化した所為みたい」
「ううん、気にしないで。ちょっとビックリしただけだから。着替えの服とかみんな着られなくなっちゃったね」
芽依は無理に笑ってみせる。
私は芽依を抱き寄せて頭を撫でる。
「何も心配しなくていいのよ。普通の人より少し早く成長しただけだから」
「うん……」
昨日まで同じくらいの身長だったのに、こんなに大きくなって。成長は嬉しいけど本人は不安になるわよね。
「お母さん……」
「なあに?」
「お母さんってこんなに小っちゃかったんだね」
「そうよ。あなたも同じくらいだったんだから」
「お母さんは大きくならないの?」
「どうかしらね」
私だって気にしているのだからね。
メトとトコヤミ、マカミが心配そうに入り口から顔を覗かせていたので状況を説明して安心させる。
皆、落ち着いたみたいなので颯太と朝食の準備をする。
「母さん、朝食の準備が終わったら芽依の服を全部出しておいてくれるかい?」
「ええ、何で?」
「手直しすればまだ着られると思うから、新しいのを買うまでの代用だよ」
「颯太、あなたそんな事まで覚えたの?」
「うん。自分の服を作って練習していたんだよ。今着ているのも自分で裾を直したんだ」
私達の服を作る事も考えていたらしい。
本当、この子は家族思いの良い子だわ。
芽依はエレの服を借りて寝室から出てきていた。
エレの方が少し背が高いけど、服は殆ど同じサイズの様だ。
「メイ様が宜しければそのままお使い下さい」
「いいの?悪いよ……」
「少しの間借りておいてよ。芽依の服は僕が調整してみるから」
「ありがとうソータお兄ちゃん!」
朝食を食べ終わったら颯太は芽依の採寸をして服の調整をする。
食器の片付けはセロ、リン、ミラがやってくれるそうだ。
私とエレとマイは掃除をしてしまおう。
掃除と言っても洗浄の魔法を掛けるのが大半なので全く苦労はない。
『ハル様、ディアブレルの者が来た様です』
家の外でオオトリが告げてくる。
「分かったわ。すぐに行きます」
魔法での掃除は終わっているのでエレとマイにあとは任せて私はトコヤミに乗って出迎えに行く。
向こうから飛んできているものが見える。鷲の頭をしいるが獣の様な体を持った馬よりも大きな生き物だ。
『あれはグリフォンです。あれを使役できる者がいるのですね』
トコヤミが教えてくれた。
「グリフォンは珍しいの?」
『魔族や人間に使役されるグリフォンは珍しいと思います。あれは無駄にプライドだけは高いですから』
トコヤミはそう言いつつも、『我ら竜族の方が優秀です』と付け加えていた。
空を飛ぶものとして譲れないものがあるのだろう。
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