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勇者
裁定者
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裁定する者と名乗ったライブラの服装は白のワンピース姿。マイと同じ神なのだろうか?
「あなたは神様?」
『いいえ』
「では神に創られたのかしら?」
『神の定義が不明です。質問を変えてください』
「マイファメイアと同等の者があなたを創ったの?」
『名称マイファメイアに該当する者は登録されていません』
マイファメイアが彼女よりも後に生まれた神という可能性もある。本人に確認してみるのが一番だが、それよりも優先して確認する事がある。
「あなたはロボット?機械なのかしら?」
『私はバイオノイドです』
バイオノイド……?そういう機械という事かしら?
「バイオノイドについて教えて」
『バイオノイドは人間とほぼ同じ肉体を持つアンドロイドです』
アンドロイド……何処かで聞いた事のある単語だけど……後年持っていた携帯電話の種類だったかしら?息子や孫達に教えてもらったのだけどよく覚えていない。
彼女が携帯電話という訳ではないだろうし……まあつまり機械という事だろう。
「分かりました。あなたの存在理由……裁定する者とは具体的に何をするの?」
『凶石の排除です』
「凶石……それは生き物に寄生する石の事?」
『はい』
ルドガイアの竜王はここにライブラがある事を知っていて封印を指示した様だ。
彼らは例の石を使い侵略を繰り返している。つまりルドガイアのガルムンドやモールドーテの様な石を取り込んだ者の天敵になる存在なのだろう。
彼女は有益かも知れない。
しかし機械であるなら破壊するべきだろう。彼女の事を調べ上げ、人間が同じ物を作れる様になったら戦争の道具にしてしまうだろう。
……いや。
「あなた、戦闘能力はあるの?」
『私のスペックをお答えできるのは管理者権限を有している者のみです。登録管理者を検索……該当なし。管理者として登録しますか?』
管理者は古代の人間だから既にこの世にはいない。なので管理者にならないかと聞いてきているのか。
「管理者としてしなければならない事は何?」
『私への指示です』
それだけ?ならば特には問題ないか。
「分かったわ。管理者として登録します」
『了解。手をお取りください』
そう言って右手を差し出してくる。握手?
握手をすると手の平にチクリと痛みが走った。
『生体認証開始……エラー。生体認証不能』
手の平には針で刺した様な小さな穴が空いていて僅かに血が出ていた。
「私のこの身体は仮初のものなので登録が出来ないのかも知れないわ」
『了解。声紋による簡易登録を実行、完了しました』
声紋……声で登録したのね?でも声も作り物なのでは?
「僕が聞いていた限り、母さんの声は《実体化》していない時の声と変わらないよ」
「そうなのね。まあいいわ。ライブラ、あなたの能力を教えて」
『了解──』
ライブラは自分の身体能力について数値で説明するが、イマイチよく分からない。
「何か分かりやすく説明する方法はない?」
『ご覧下さい』
そう言うとライブラは見えない相手と戦う様に身体を動かし始める。
その動きは鋭く、繰り出す拳の威力は高そうだ。
しかし素手で戦う気なのだろうか?
『専用武装があります』
そう言うと奥の壁方へ向かうライブラ。
彼女が壁の前に立つと、壁の一箇所が裏返り一振りの剣が出てきた。
サイズはセロの持つ長剣ヴォーリヤアステールよりは長く、エレの持つ大剣よりは短い。シンプルな剣に見える。
それを手に取ると剣を鞘から抜き振り始める。鋭い斬撃を数度放った後、動きを止めると剣が振動を始めた。
振動する剣を振り始めるが、先程とは違いかなり力を入れている様だ。振る度に風が巻き起こる。
確かにその剣なら大きな威力を期待できる。
『如何でしょう?』
「ええ、もういいわ。ありがとう」
ライブラに礼を言うと彼女は剣の振動を止めて鞘に納めた。
さて、私は彼女の管理者として登録されているが『自身を破壊して機能を停止させろ』と命じたら実行するだろうか?
「あなたは神様?」
『いいえ』
「では神に創られたのかしら?」
『神の定義が不明です。質問を変えてください』
「マイファメイアと同等の者があなたを創ったの?」
『名称マイファメイアに該当する者は登録されていません』
マイファメイアが彼女よりも後に生まれた神という可能性もある。本人に確認してみるのが一番だが、それよりも優先して確認する事がある。
「あなたはロボット?機械なのかしら?」
『私はバイオノイドです』
バイオノイド……?そういう機械という事かしら?
「バイオノイドについて教えて」
『バイオノイドは人間とほぼ同じ肉体を持つアンドロイドです』
アンドロイド……何処かで聞いた事のある単語だけど……後年持っていた携帯電話の種類だったかしら?息子や孫達に教えてもらったのだけどよく覚えていない。
彼女が携帯電話という訳ではないだろうし……まあつまり機械という事だろう。
「分かりました。あなたの存在理由……裁定する者とは具体的に何をするの?」
『凶石の排除です』
「凶石……それは生き物に寄生する石の事?」
『はい』
ルドガイアの竜王はここにライブラがある事を知っていて封印を指示した様だ。
彼らは例の石を使い侵略を繰り返している。つまりルドガイアのガルムンドやモールドーテの様な石を取り込んだ者の天敵になる存在なのだろう。
彼女は有益かも知れない。
しかし機械であるなら破壊するべきだろう。彼女の事を調べ上げ、人間が同じ物を作れる様になったら戦争の道具にしてしまうだろう。
……いや。
「あなた、戦闘能力はあるの?」
『私のスペックをお答えできるのは管理者権限を有している者のみです。登録管理者を検索……該当なし。管理者として登録しますか?』
管理者は古代の人間だから既にこの世にはいない。なので管理者にならないかと聞いてきているのか。
「管理者としてしなければならない事は何?」
『私への指示です』
それだけ?ならば特には問題ないか。
「分かったわ。管理者として登録します」
『了解。手をお取りください』
そう言って右手を差し出してくる。握手?
握手をすると手の平にチクリと痛みが走った。
『生体認証開始……エラー。生体認証不能』
手の平には針で刺した様な小さな穴が空いていて僅かに血が出ていた。
「私のこの身体は仮初のものなので登録が出来ないのかも知れないわ」
『了解。声紋による簡易登録を実行、完了しました』
声紋……声で登録したのね?でも声も作り物なのでは?
「僕が聞いていた限り、母さんの声は《実体化》していない時の声と変わらないよ」
「そうなのね。まあいいわ。ライブラ、あなたの能力を教えて」
『了解──』
ライブラは自分の身体能力について数値で説明するが、イマイチよく分からない。
「何か分かりやすく説明する方法はない?」
『ご覧下さい』
そう言うとライブラは見えない相手と戦う様に身体を動かし始める。
その動きは鋭く、繰り出す拳の威力は高そうだ。
しかし素手で戦う気なのだろうか?
『専用武装があります』
そう言うと奥の壁方へ向かうライブラ。
彼女が壁の前に立つと、壁の一箇所が裏返り一振りの剣が出てきた。
サイズはセロの持つ長剣ヴォーリヤアステールよりは長く、エレの持つ大剣よりは短い。シンプルな剣に見える。
それを手に取ると剣を鞘から抜き振り始める。鋭い斬撃を数度放った後、動きを止めると剣が振動を始めた。
振動する剣を振り始めるが、先程とは違いかなり力を入れている様だ。振る度に風が巻き起こる。
確かにその剣なら大きな威力を期待できる。
『如何でしょう?』
「ええ、もういいわ。ありがとう」
ライブラに礼を言うと彼女は剣の振動を止めて鞘に納めた。
さて、私は彼女の管理者として登録されているが『自身を破壊して機能を停止させろ』と命じたら実行するだろうか?
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