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勇者
処遇
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巨人達の問題を解決してやりたいが、フランシス達の事はどうするか。
「俺達はここで処刑か?今頃ヨアンが待機している冒険者に状況を伝えて動き始めているだろう」
ゲルハルトが聞いてくる。
ゲルハルトとルーウェンの武器は颯太が没収してくれていた。
「冒険者達がフランシス王子を救出に来たら死人が増えるわね」
「人の生き死にについて関心がないのかい?」
ルーウェンは落ち着いている様に見える。既に覚悟が決まっているのか、それとも殺されないという自信があるのか……
「さあ、どうかしら?私にも人の心はあるつもりよ」
「だったらこんな争いは止めるべきだ」
「先に仕掛けてきたのはそちらよ。戦争をしたいのではなかったの?それとも一方的に排除するから争いにならないとでも思った?」
考えが甘いのよ。命のやり取りになれば相手だって死に物狂いで抵抗するのは当然。その上で自分達が殺されるかもしれないと何故考えられないのか。
「私が邪魔だと言えば大人しく泉に帰る事も選べたわ。しかし攻撃された以上黙ってはいられないわ」
彼らがシュウという男に使われていたのは分かっている。
シュウに会って真意を確かめる必要がある。
それで、彼らの処遇だけど。
「お母さん……ライアッド王国と戦うの?」
不安そうに聞いてくる芽依。
「今の所そうなりそうね。芽依は嫌?」
「うん。私が攻撃された事に怒ってるのなら……ほら、私は元気だしもう大丈夫だよ?」
芽依は大きな争いになるのが自分の責任だと思っているのだろう。
確かに芽依が死にかけた事に対する怒りは大きいが本当の原因はそれ以外にある。
「芽依が嫌なら今はやめておこうかしら」
「ホント?」
「ええ。颯太、二人に武器を返していいわ」
颯太は笑顔で槍と剣をゲルハルトとルーウェンに返した。
「どう言うつもりだ?」
流石に武器を構えては来なかったが警戒しながら聞いてくるゲルハルト。
「あなた達を開放します」
「それで全部無かった事にしろっていうのか?」
「いいえ、あなた達には国に戻ってもらい、事の次第を全て国王に伝えてもらいます。その上で私達と戦うのなら、どちらかが滅ぶまでやりましょう。勿論嘘を伝えても構わないわ。私は国の動き方でどうするか決めましょう」
フランシスが国王に嘘を伝えて私と事を構えるというのなら今度こそ容赦はしない。しかし私達と友好を保つというのならそれも良し。
つまりはフランシス次第という事だ。
「フランシス王子、王都まではトコヤミに送らせましょう。そこから先はご自身でお決めなさい」
フランシスは何も言わずに私を睨んだ。
「一つだけ聞きたいことがあります。この武器で撃たれた事はありますか?」
「あ、あるわけないだろう」
私は銃を確認する。どうやら弾は込められている様だ。
私はフランシスの足に銃口を向けて引き金を引く。
ドンと衝撃音がして銃が跳ね上がる。
後ろに身体が押されてフラついた所を颯太が受け止めてくれた。
「うわぁァァァァぁっっ!!?」
フランシスの右太腿に弾丸が命中し血が噴き出す。
「痛いでしょう?これで撃たれたらこんなにも痛いのよ」
銃は私の収納指輪の中にしまっておく。
「殿下!?」
「なんて事を!」
ゲルハルトとルーウェンが私を睨んでくるが気にしない。
私は泉の水を出してフランシスに掛ける。
「今の事も踏まえて好きに報告すれば良い。お父上に泣き付いて国全体を巻き込んだ命の取り合いをするか、嘘偽りなく報告して自身が処罰されるか、好きになさい。トコヤミ!」
『はっ!』
「彼らを王都まで送りなさい」
『御意』
トコヤミを召喚して指示を出す。
ゲルハルトとルーウェンはフランシスとカーミラを連れて素直にトコヤミの背に乗り飛び立っていった。
これでいい。芽依がくれた一度限りの機会、後悔しない様に使いなさい。
「俺達はここで処刑か?今頃ヨアンが待機している冒険者に状況を伝えて動き始めているだろう」
ゲルハルトが聞いてくる。
ゲルハルトとルーウェンの武器は颯太が没収してくれていた。
「冒険者達がフランシス王子を救出に来たら死人が増えるわね」
「人の生き死にについて関心がないのかい?」
ルーウェンは落ち着いている様に見える。既に覚悟が決まっているのか、それとも殺されないという自信があるのか……
「さあ、どうかしら?私にも人の心はあるつもりよ」
「だったらこんな争いは止めるべきだ」
「先に仕掛けてきたのはそちらよ。戦争をしたいのではなかったの?それとも一方的に排除するから争いにならないとでも思った?」
考えが甘いのよ。命のやり取りになれば相手だって死に物狂いで抵抗するのは当然。その上で自分達が殺されるかもしれないと何故考えられないのか。
「私が邪魔だと言えば大人しく泉に帰る事も選べたわ。しかし攻撃された以上黙ってはいられないわ」
彼らがシュウという男に使われていたのは分かっている。
シュウに会って真意を確かめる必要がある。
それで、彼らの処遇だけど。
「お母さん……ライアッド王国と戦うの?」
不安そうに聞いてくる芽依。
「今の所そうなりそうね。芽依は嫌?」
「うん。私が攻撃された事に怒ってるのなら……ほら、私は元気だしもう大丈夫だよ?」
芽依は大きな争いになるのが自分の責任だと思っているのだろう。
確かに芽依が死にかけた事に対する怒りは大きいが本当の原因はそれ以外にある。
「芽依が嫌なら今はやめておこうかしら」
「ホント?」
「ええ。颯太、二人に武器を返していいわ」
颯太は笑顔で槍と剣をゲルハルトとルーウェンに返した。
「どう言うつもりだ?」
流石に武器を構えては来なかったが警戒しながら聞いてくるゲルハルト。
「あなた達を開放します」
「それで全部無かった事にしろっていうのか?」
「いいえ、あなた達には国に戻ってもらい、事の次第を全て国王に伝えてもらいます。その上で私達と戦うのなら、どちらかが滅ぶまでやりましょう。勿論嘘を伝えても構わないわ。私は国の動き方でどうするか決めましょう」
フランシスが国王に嘘を伝えて私と事を構えるというのなら今度こそ容赦はしない。しかし私達と友好を保つというのならそれも良し。
つまりはフランシス次第という事だ。
「フランシス王子、王都まではトコヤミに送らせましょう。そこから先はご自身でお決めなさい」
フランシスは何も言わずに私を睨んだ。
「一つだけ聞きたいことがあります。この武器で撃たれた事はありますか?」
「あ、あるわけないだろう」
私は銃を確認する。どうやら弾は込められている様だ。
私はフランシスの足に銃口を向けて引き金を引く。
ドンと衝撃音がして銃が跳ね上がる。
後ろに身体が押されてフラついた所を颯太が受け止めてくれた。
「うわぁァァァァぁっっ!!?」
フランシスの右太腿に弾丸が命中し血が噴き出す。
「痛いでしょう?これで撃たれたらこんなにも痛いのよ」
銃は私の収納指輪の中にしまっておく。
「殿下!?」
「なんて事を!」
ゲルハルトとルーウェンが私を睨んでくるが気にしない。
私は泉の水を出してフランシスに掛ける。
「今の事も踏まえて好きに報告すれば良い。お父上に泣き付いて国全体を巻き込んだ命の取り合いをするか、嘘偽りなく報告して自身が処罰されるか、好きになさい。トコヤミ!」
『はっ!』
「彼らを王都まで送りなさい」
『御意』
トコヤミを召喚して指示を出す。
ゲルハルトとルーウェンはフランシスとカーミラを連れて素直にトコヤミの背に乗り飛び立っていった。
これでいい。芽依がくれた一度限りの機会、後悔しない様に使いなさい。
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