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勇者
王都へ
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マカミを撫でながらここでの暮らしを聞く。
マカミは興奮した様子で何を見て誰と会ったのかを話してくれる。
その様子からしてこの子はまだ子供だ。
正気に戻ったばかりの時は落ち着いた喋り方をしていたと思ったけど、まさか名前を付けた事で精神年齢が退化したという可能性があるのだろうか?
『俺もトコヤミ様みたいにハル様達を乗せて走りたいです!』
『今のお前の走り方ではハル様達に怪我をさせてしまうぞ。カクカミ殿にご教授してもらえ』
『はい!』
トコヤミに言われて元気に返事をするマカミ。
「マカミ、もしかしたらあなたを王都で召喚するかも知れないわ」
『俺をですか?』
「王都であの森の事を説明するの。その時にモールドーテの話をしなければならないから、証人として呼び出すかもしれないわ。でも安心して。あなたには手出しはさせないから」
『はい!』
楽しみなのか元気に返事をするマカミ。
命の危険がある事を伝えたかったのだけど、信頼されているのか理解していないのか。
その辺りはカクカミ達にも話してもらって理解してもらおう。
『そうだ、ハル様!大森林に住む種族の代表が会いたいそうですよ』
「ええ。みんなの所にも挨拶に行くつもりよ」
マカミが思い出した様に言う。
ダークエルフ達から言伝を頼まれて私に会いに来たのだろうけど、今の今まで忘れていたのね。
『お前、大事な要件を忘れるとは何事だ!』
『ハル様に会えると思ったら嬉しくてつい……』
トコヤミが一喝し、マカミは申し訳なさそうに伏せている。
「マカミを責めちゃダメだよ。そもそもそんなに大した内容じゃないよ?」
「そうよトコヤミ。そこまで怒る事ではないわ」
『はい。失礼致しました』
芽依と私に言われてトコヤミも頭を伏せていた。
「ところで私達がここにいるのをどうやって知ったの?」
『匂いです』
「匂い……」
マカミは物凄く鼻が良い様だ。一度嗅いだ匂いはどこまででも追えるらしい。
「マカミスゴいね!」
加えて走る速度ならカクカミよりも早いらしい。
『木々を薙ぎ倒しながらですがね』
それは少々問題ね。
リザードマン達と話を終えて、各種族の様子を見に行く事に。
皆元気そうで、要望も特にないらしい。
畑作を始める種族も出始め、より文化的な暮らしも出来そうだ。
最近ではウルゼイドとの商取引も盛んに行われているらしい。
人間の街では亜人は魔物と呼ばれ、討伐の対象になっているが、ここにいる皆は理性的で思慮深い。全ての亜人がそうでは無いかもしれないが、ここのもの達とは仲良くしてもらいたいと思う。
☆★☆★☆★☆★
泉で三日を眷属の皆と交流を重ねて過ごし、私達は王都に向かう事にした。
途中セイランに立ち寄ってリフィナから紹介状を受け取って、王都を目指す。
要らぬ混乱を避けるために明け方、トコヤミに王都の側まで送ってもらう事にした。
夜が明けてから王都の入り口に向かう。
街に入るための手続きを行う。私が冒険者証を見せると衛兵達は驚き戸惑っていた。
「先日は騒がせてすみませんでした。今回は第一騎士団クーゲル団長の呼び出しで参りました。団長は討伐の任からまだお戻りになられていないと思いますので、暫く冒険者の仕事をして待とうかと思います」
「そ、そうか……分かった。問題を起こさぬ様に気を付けてくれ」
戸惑いながらも入場を許してくれた。
他の皆は問題なく通過していたので一緒に街に入る。
前回、空から街を見ていたのでよく知っていたが、改めて見るとこの街は素晴らしい。
全ての街が石畳で舗装され、区画も綺麗に整えられている。
立ち並ぶ建物は石造りで色も白で統一され見事な景観だ。
まだ早朝だというのに人の往来はかなりあり、その多くは商人達だった。
セイランも発展した街だと思っていたが、この街を見てしまうと辺境の小都市なのだと思い知らされてしまう。
「お母さん、早くー!」
みんないつの間にか先に進んでいた。芽依が振り返って手を振っている。
私達は冒険者ギルドに挨拶に行く事にした。
マカミは興奮した様子で何を見て誰と会ったのかを話してくれる。
その様子からしてこの子はまだ子供だ。
正気に戻ったばかりの時は落ち着いた喋り方をしていたと思ったけど、まさか名前を付けた事で精神年齢が退化したという可能性があるのだろうか?
『俺もトコヤミ様みたいにハル様達を乗せて走りたいです!』
『今のお前の走り方ではハル様達に怪我をさせてしまうぞ。カクカミ殿にご教授してもらえ』
『はい!』
トコヤミに言われて元気に返事をするマカミ。
「マカミ、もしかしたらあなたを王都で召喚するかも知れないわ」
『俺をですか?』
「王都であの森の事を説明するの。その時にモールドーテの話をしなければならないから、証人として呼び出すかもしれないわ。でも安心して。あなたには手出しはさせないから」
『はい!』
楽しみなのか元気に返事をするマカミ。
命の危険がある事を伝えたかったのだけど、信頼されているのか理解していないのか。
その辺りはカクカミ達にも話してもらって理解してもらおう。
『そうだ、ハル様!大森林に住む種族の代表が会いたいそうですよ』
「ええ。みんなの所にも挨拶に行くつもりよ」
マカミが思い出した様に言う。
ダークエルフ達から言伝を頼まれて私に会いに来たのだろうけど、今の今まで忘れていたのね。
『お前、大事な要件を忘れるとは何事だ!』
『ハル様に会えると思ったら嬉しくてつい……』
トコヤミが一喝し、マカミは申し訳なさそうに伏せている。
「マカミを責めちゃダメだよ。そもそもそんなに大した内容じゃないよ?」
「そうよトコヤミ。そこまで怒る事ではないわ」
『はい。失礼致しました』
芽依と私に言われてトコヤミも頭を伏せていた。
「ところで私達がここにいるのをどうやって知ったの?」
『匂いです』
「匂い……」
マカミは物凄く鼻が良い様だ。一度嗅いだ匂いはどこまででも追えるらしい。
「マカミスゴいね!」
加えて走る速度ならカクカミよりも早いらしい。
『木々を薙ぎ倒しながらですがね』
それは少々問題ね。
リザードマン達と話を終えて、各種族の様子を見に行く事に。
皆元気そうで、要望も特にないらしい。
畑作を始める種族も出始め、より文化的な暮らしも出来そうだ。
最近ではウルゼイドとの商取引も盛んに行われているらしい。
人間の街では亜人は魔物と呼ばれ、討伐の対象になっているが、ここにいる皆は理性的で思慮深い。全ての亜人がそうでは無いかもしれないが、ここのもの達とは仲良くしてもらいたいと思う。
☆★☆★☆★☆★
泉で三日を眷属の皆と交流を重ねて過ごし、私達は王都に向かう事にした。
途中セイランに立ち寄ってリフィナから紹介状を受け取って、王都を目指す。
要らぬ混乱を避けるために明け方、トコヤミに王都の側まで送ってもらう事にした。
夜が明けてから王都の入り口に向かう。
街に入るための手続きを行う。私が冒険者証を見せると衛兵達は驚き戸惑っていた。
「先日は騒がせてすみませんでした。今回は第一騎士団クーゲル団長の呼び出しで参りました。団長は討伐の任からまだお戻りになられていないと思いますので、暫く冒険者の仕事をして待とうかと思います」
「そ、そうか……分かった。問題を起こさぬ様に気を付けてくれ」
戸惑いながらも入場を許してくれた。
他の皆は問題なく通過していたので一緒に街に入る。
前回、空から街を見ていたのでよく知っていたが、改めて見るとこの街は素晴らしい。
全ての街が石畳で舗装され、区画も綺麗に整えられている。
立ち並ぶ建物は石造りで色も白で統一され見事な景観だ。
まだ早朝だというのに人の往来はかなりあり、その多くは商人達だった。
セイランも発展した街だと思っていたが、この街を見てしまうと辺境の小都市なのだと思い知らされてしまう。
「お母さん、早くー!」
みんないつの間にか先に進んでいた。芽依が振り返って手を振っている。
私達は冒険者ギルドに挨拶に行く事にした。
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