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勇者
泉へ
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私達は三日間休息を取る事にした。
その間は完全に休息を取る事にする。
街にいる時の日課になりつつある訓練も休みだ。
あの一件で森には住人が増えたし、マカミとリザードマン達とも話をしなければならないだろう。
一度泉へ戻りたいと話したらセロ達も含めた全員が行きたいと言ってきた。
「この前トコヤミに乗って行った所で、何もない所ですよ?」
「あんな美しい所見たことがないよ。是非連れて行ってください」
「私も行きたい」「私もです」
そう言うのなら連れて行くことに問題はない。芽依も「泉に帰れる!」と大はしゃぎだ。
マイにも案内してあげなければならないだろう。
それを話したらマイも両手を上げて飛び跳ねていた。
今回はエレに乗って行く事にする。
「ふふふ~トコヤミ様に自慢しちゃいますよ~。これからは私がハル様達を乗せますからね~」
エレはご機嫌で飛んでいるが、トコヤミほど人を乗せて飛んでいないからか少し危なっかしい。
「エレさん楽しそうだね」
「はい!これでトコヤミ様の悔しそうな顔が見れます!」
エレのこの執着、トコヤミと何かあったのだろうか?
半日掛けて泉に到着する。大森林の上空に差し掛かるとトコヤミが飛んできた。
『ハル様!』
「トコヤミ、出迎えご苦労様」
「おかえりなさいハル様!」
「カナエも来たのね。ありがとう」
トコヤミの首に掴まっていたカナエ。
『それはそうとエレ、お前では心配だ。ハル様達を我の背に移せ』
「やーですよーだ!これからは私がハル様を運びますからトコヤミ様はもう来なくても大丈夫ですよー」
『貴様……調子に乗りおって!』
「トコヤミ、おやめなさい」
トコヤミがムキになっていたので嗜める。
「じゃ、私もハル様と同じエレの背中に移ろーっと」
カナエは私の肩にちょこんと乗る。
「カナエ、エレとトコヤミは何かあったの?」
「そういえばハル様達はいませんでしたね」
カナエが教えてくれたのだが、エレが来たばかりの頃にトコヤミに飛行訓練と称して散々追いかけ回されていたらしい。
私がウルゼイドとの橋渡しをしている時の話ね。
エレは私達と冒険者をやる事が確定していて、『お前はハル様達をお乗せする事が多くなる筈だから今から鍛えてやる』と言っていたらしい。
トコヤミもちゃんと考えてくれていたのね。
「でもエレがすぐに逃げ出すからただの追いかけっこになってたんですよ。それで最後は人の姿になってソータ様に泣きついていました」
「だって、トコヤミ様が本気でブレスを吐いてくるんですよ!」
カナエの話を聞いていたエレが抗議する。
『本気ではないぞ。もし我が本気でブレスを吐いていたらお前なぞ逃げる暇もなく消し炭だ』
「あの時の私じゃ力の差があり過ぎたんですー」
『ほう?今ならその力の差が埋まっているとでも言いたげだな?』
今度はトコヤミと並んで飛びながら言い合っている。
「あの時はまだ変身用の腕輪がなかったから大変だったでしょうに」
「毎回全裸でソータ様に泣き付いていましたね」
それはちょっと端ないわね。颯太も困ったでしょうに。
「泉にいた時はドラゴンの姿だったの?」
「はい。流石に呼ばれる数日前にはいつ呼ばれても良い様に人の姿で生活させていました。勿論持って来た服は着ていましたよ」
それなら良かった。
街の中でドラゴンの姿や全裸で呼び出したら色々マズい。
『ソータ様はお優しいからエレを庇われてしまわれる』
呆れた様に言うトコヤミ。
「ソータ様は大好きです!あの果物すごく美味しいです!」
エレが言っているのは世界樹の実の事ね。食べ物の事だけで見ていないでしょうね?
『ふん、まあいい。もうすぐ泉だ、案内するからついて来い』
「はーい!」
そう言って少し先を飛ぶトコヤミ。
絶妙な位置取りで風避けになってくれている。
なんだかんだ言ってトコヤミも気遣いの出来る良い子だわ。
エレも本当に嫌っている訳ではないのは分かる。子供が親に戯れている様な感覚なのかも知れないわね。
泉の畔に着地すると颯太達が出迎えてくれた。
その間は完全に休息を取る事にする。
街にいる時の日課になりつつある訓練も休みだ。
あの一件で森には住人が増えたし、マカミとリザードマン達とも話をしなければならないだろう。
一度泉へ戻りたいと話したらセロ達も含めた全員が行きたいと言ってきた。
「この前トコヤミに乗って行った所で、何もない所ですよ?」
「あんな美しい所見たことがないよ。是非連れて行ってください」
「私も行きたい」「私もです」
そう言うのなら連れて行くことに問題はない。芽依も「泉に帰れる!」と大はしゃぎだ。
マイにも案内してあげなければならないだろう。
それを話したらマイも両手を上げて飛び跳ねていた。
今回はエレに乗って行く事にする。
「ふふふ~トコヤミ様に自慢しちゃいますよ~。これからは私がハル様達を乗せますからね~」
エレはご機嫌で飛んでいるが、トコヤミほど人を乗せて飛んでいないからか少し危なっかしい。
「エレさん楽しそうだね」
「はい!これでトコヤミ様の悔しそうな顔が見れます!」
エレのこの執着、トコヤミと何かあったのだろうか?
半日掛けて泉に到着する。大森林の上空に差し掛かるとトコヤミが飛んできた。
『ハル様!』
「トコヤミ、出迎えご苦労様」
「おかえりなさいハル様!」
「カナエも来たのね。ありがとう」
トコヤミの首に掴まっていたカナエ。
『それはそうとエレ、お前では心配だ。ハル様達を我の背に移せ』
「やーですよーだ!これからは私がハル様を運びますからトコヤミ様はもう来なくても大丈夫ですよー」
『貴様……調子に乗りおって!』
「トコヤミ、おやめなさい」
トコヤミがムキになっていたので嗜める。
「じゃ、私もハル様と同じエレの背中に移ろーっと」
カナエは私の肩にちょこんと乗る。
「カナエ、エレとトコヤミは何かあったの?」
「そういえばハル様達はいませんでしたね」
カナエが教えてくれたのだが、エレが来たばかりの頃にトコヤミに飛行訓練と称して散々追いかけ回されていたらしい。
私がウルゼイドとの橋渡しをしている時の話ね。
エレは私達と冒険者をやる事が確定していて、『お前はハル様達をお乗せする事が多くなる筈だから今から鍛えてやる』と言っていたらしい。
トコヤミもちゃんと考えてくれていたのね。
「でもエレがすぐに逃げ出すからただの追いかけっこになってたんですよ。それで最後は人の姿になってソータ様に泣きついていました」
「だって、トコヤミ様が本気でブレスを吐いてくるんですよ!」
カナエの話を聞いていたエレが抗議する。
『本気ではないぞ。もし我が本気でブレスを吐いていたらお前なぞ逃げる暇もなく消し炭だ』
「あの時の私じゃ力の差があり過ぎたんですー」
『ほう?今ならその力の差が埋まっているとでも言いたげだな?』
今度はトコヤミと並んで飛びながら言い合っている。
「あの時はまだ変身用の腕輪がなかったから大変だったでしょうに」
「毎回全裸でソータ様に泣き付いていましたね」
それはちょっと端ないわね。颯太も困ったでしょうに。
「泉にいた時はドラゴンの姿だったの?」
「はい。流石に呼ばれる数日前にはいつ呼ばれても良い様に人の姿で生活させていました。勿論持って来た服は着ていましたよ」
それなら良かった。
街の中でドラゴンの姿や全裸で呼び出したら色々マズい。
『ソータ様はお優しいからエレを庇われてしまわれる』
呆れた様に言うトコヤミ。
「ソータ様は大好きです!あの果物すごく美味しいです!」
エレが言っているのは世界樹の実の事ね。食べ物の事だけで見ていないでしょうね?
『ふん、まあいい。もうすぐ泉だ、案内するからついて来い』
「はーい!」
そう言って少し先を飛ぶトコヤミ。
絶妙な位置取りで風避けになってくれている。
なんだかんだ言ってトコヤミも気遣いの出来る良い子だわ。
エレも本当に嫌っている訳ではないのは分かる。子供が親に戯れている様な感覚なのかも知れないわね。
泉の畔に着地すると颯太達が出迎えてくれた。
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