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勇者
セイランに帰還
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村の人達に状況を報告して、翌朝私達はセイランに帰る事になった。
こんなにすぐに終わってしまうとは思っていなかったので拍子抜けだ。
他の冒険者達は騎士のゾンビとの戦いで精神的に疲労しているようだ。
本来ならば『早く終わり過ぎて日当が減った』くらいの文句も出そうだが、そう言った話も聞くことはなかった。
馬車に揺られて一日、私達はセイランへと戻ってきた。
ギルドにてジェイドとセロでリフィナに報告を行うと、騎士団からも早馬で報告が来ていたらしく、報酬については大幅な増額されていた。
確かに騎士のゾンビを魔物と数えるならかなりの数を倒した事になるし、あの気持ちの悪い厄介な魔物についても倒したのは私達だ。
「ジェイドさんとセロさん達以外の三パーティには追加報酬で十万エルズが支払われます」
「殆ど何もしていないのにそんなにもらっていいのか?」
ジェイドがリフィナに訊いている。
「ええ。第一騎士団長のクーゲル・ヴァルスビア様からの指示ですので間違いありません」
これは気遣いなのか、それとも口止め料なのか。リフィナからは特に何も言われなかったので気遣いなのだろう。
「それからセロさん達のパーティは三十万エルズの上乗せになります」
そんなに貰って良いのだろうか?
「クーゲル様からは『諸々含まれている』と言伝がありました」
こちらは口止め料も含まれている様だ。
「それからセロさん達には王都へ来ていただきたいとの連絡もありました」
「それは……何故でしょう?」
緊張した面持ちで訊ねるセロ。
「この度の討伐について、特に活躍されたセロさん達のパーティからも報告が欲しいとの事でした」
なるほど。今回の討伐隊の壊滅について、クーゲルだけの報告では上が納得しないと判断したのだろう。
それも含めての『諸々』なのかしらね。
「いつ向かえば良いのですか?」
「王都までは馬車で十五日掛かります。二十日後までに到着して欲しいとの事でした」
リフィナの言う馬車とは旅客用馬車の事だ。荷馬車と違って一日の航続距離が長いので王都までの道のりはマルダよりも随分と遠い。
しかし期限に随分と余裕があるわね。
エレかトコヤミに乗って行けば数時間で着くのだが、肝心のクーゲル達が王都に到着していなければ話にならない。
私達は暫くセイランで体を休めてから行くとしようか。
「王都までは馬車で行かれますか?」
「いえ、竜で行こうかと。構いませんよね?」
リフィナに聞かれたので私が答える。
「勿論です。その方が助かります」
セロ達も馬車での長旅は嫌な様だ。
「それなら少し早く王都に行ってあちらで色々見て来てはいかがでしょう。あちらで仕事をする事も出来ますよ」
リフィナが提案してくる。
成る程、観光と仕事か。それも良いかも知れないわね。
「王都か。俺行ったこと無いんだよな」
「どんな服が流行ってるのかな?」
「冒険者の実力はどれ程なのでしょう?」
セロ、リン、ミラはそれぞれ楽しみの様だ。
「美味しいものはありますか?ありますよね?お金も沢山貰ったし食べ歩けますね!」
「メイお姉ちゃんとカンコーです!」
「早めに行って色々見て回ろうよお母さん!」
皆本当に楽しそう。
「何か私達に頼みたい事がありますか?」
リフィナは私達をしきりに王都へ向かわせたがっている様だった。
何か意図があるのだろうか?
「実は王都のギルドマスターが皆さんに是非会いたいと言っていまして、来てくれるのなら旅費は全てあちらのマスターが持ってくださるそうなのです」
「あちらのマスターと仲が良いのですね」
「実は私の父なのです。先日手紙で皆さんの事を紹介したら興味をもってしまったみたいで……お願いできないでしょうか?」
皆は王都への興味で一杯だ。
旅費もタダになるというし、リフィナの父親の世話になってしまおう。
こんなにすぐに終わってしまうとは思っていなかったので拍子抜けだ。
他の冒険者達は騎士のゾンビとの戦いで精神的に疲労しているようだ。
本来ならば『早く終わり過ぎて日当が減った』くらいの文句も出そうだが、そう言った話も聞くことはなかった。
馬車に揺られて一日、私達はセイランへと戻ってきた。
ギルドにてジェイドとセロでリフィナに報告を行うと、騎士団からも早馬で報告が来ていたらしく、報酬については大幅な増額されていた。
確かに騎士のゾンビを魔物と数えるならかなりの数を倒した事になるし、あの気持ちの悪い厄介な魔物についても倒したのは私達だ。
「ジェイドさんとセロさん達以外の三パーティには追加報酬で十万エルズが支払われます」
「殆ど何もしていないのにそんなにもらっていいのか?」
ジェイドがリフィナに訊いている。
「ええ。第一騎士団長のクーゲル・ヴァルスビア様からの指示ですので間違いありません」
これは気遣いなのか、それとも口止め料なのか。リフィナからは特に何も言われなかったので気遣いなのだろう。
「それからセロさん達のパーティは三十万エルズの上乗せになります」
そんなに貰って良いのだろうか?
「クーゲル様からは『諸々含まれている』と言伝がありました」
こちらは口止め料も含まれている様だ。
「それからセロさん達には王都へ来ていただきたいとの連絡もありました」
「それは……何故でしょう?」
緊張した面持ちで訊ねるセロ。
「この度の討伐について、特に活躍されたセロさん達のパーティからも報告が欲しいとの事でした」
なるほど。今回の討伐隊の壊滅について、クーゲルだけの報告では上が納得しないと判断したのだろう。
それも含めての『諸々』なのかしらね。
「いつ向かえば良いのですか?」
「王都までは馬車で十五日掛かります。二十日後までに到着して欲しいとの事でした」
リフィナの言う馬車とは旅客用馬車の事だ。荷馬車と違って一日の航続距離が長いので王都までの道のりはマルダよりも随分と遠い。
しかし期限に随分と余裕があるわね。
エレかトコヤミに乗って行けば数時間で着くのだが、肝心のクーゲル達が王都に到着していなければ話にならない。
私達は暫くセイランで体を休めてから行くとしようか。
「王都までは馬車で行かれますか?」
「いえ、竜で行こうかと。構いませんよね?」
リフィナに聞かれたので私が答える。
「勿論です。その方が助かります」
セロ達も馬車での長旅は嫌な様だ。
「それなら少し早く王都に行ってあちらで色々見て来てはいかがでしょう。あちらで仕事をする事も出来ますよ」
リフィナが提案してくる。
成る程、観光と仕事か。それも良いかも知れないわね。
「王都か。俺行ったこと無いんだよな」
「どんな服が流行ってるのかな?」
「冒険者の実力はどれ程なのでしょう?」
セロ、リン、ミラはそれぞれ楽しみの様だ。
「美味しいものはありますか?ありますよね?お金も沢山貰ったし食べ歩けますね!」
「メイお姉ちゃんとカンコーです!」
「早めに行って色々見て回ろうよお母さん!」
皆本当に楽しそう。
「何か私達に頼みたい事がありますか?」
リフィナは私達をしきりに王都へ向かわせたがっている様だった。
何か意図があるのだろうか?
「実は王都のギルドマスターが皆さんに是非会いたいと言っていまして、来てくれるのなら旅費は全てあちらのマスターが持ってくださるそうなのです」
「あちらのマスターと仲が良いのですね」
「実は私の父なのです。先日手紙で皆さんの事を紹介したら興味をもってしまったみたいで……お願いできないでしょうか?」
皆は王都への興味で一杯だ。
旅費もタダになるというし、リフィナの父親の世話になってしまおう。
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