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勇者
報告
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地上に戻ってキャンプのバルドルに報告する。
「何?もう終わったのか?やっぱりセロの剣じゃないと駄目だったか?」
「ええ。私の魔法も芽依やエレの攻撃でもダメージが入らなかったわ」
「やはり俺の読みは正しかったな」
そう言って頷くバルドル。
このまま調査の報告を始める。
「──で、遺跡の中でその子供を見つけたと」
「ええ」
「人間ではないよな?」
「ずっと遺跡にいたそうなので人間ではないでしょうね」
まさか神だとは言えない。
マイには私に任せるように言ってあるので何も言わずに私にしがみついている。
「ハルに懐いている様だな?」
バルドルが顔を近付けると私の後ろに隠れてしまった。
「バルドルさんの顔が怖いから怯えちゃったよ。離れて?」
「お、おう。すまねえな」
芽依に言われて謝るバルドル。実はマイには今は何か聞かれてボロを出さない為にそうする様に指示してあるだけだ。
「その子供が何なのか調べる必要があると思うが、どうする?」
「どうするって、こんな小さな子に何をする気なの?」
「い、いや……遺跡で見つかったものなら調べた方がいいんじゃないか?」
「……物みたいに扱って。そちらがその気ならこちらだって考えがあるわよ。遺跡で取得したものは私達のものでしょう?私達がこの子をどうしようと勝手だわ。なのでこの子を調べさせる事はさせません」
私が強めに言うとバルドルは諦めた様に項垂れた。
「分かった。ハルがそう言うなら仕方がねえ。だがリフィナがどう言うか分からねえから、その時は呼び出すかもしれんぞ」
「それで構わないわ」
取り敢えずマイを調べられる事は回避出来た。宿に帰ってからマイに話を聞きながら今後の事を話し合おう。
「おつかれ~。食事の準備がもうすぐ出来るから食べてってね」
「やった!お腹空いていたんです!」
サポートに来ていた女性冒険者が声をかけて来る。エレは大喜びだ。
サポートメンバーには悪いがこれで仕事は終わったので食事をとったら撤収してもらう事になる。
「もう終わり?帰れるんならありがてえな!」
どうやらサポートの冒険者達は期間関係なく一律で報酬が出る契約だった様だ。
「セロ達のチームならそんなに時間は掛からねえと思っていたから補給物資は少なめにしたんだが、正解だった様だな」
食事の準備を手伝いながらバルドルは笑っていた。
みんなで食事をいただいて片付けを手伝ったら街に向かって引き上げる。
今回は遺跡の中で価値のあるものを拾う事はなかった。
ギルドとしては何の成果も無くさぞ残念だっただろう。だからこそマイの事をよく調べたかったのかも知れないが、今はまだ調べさせたくない。
ギルドに帰って報酬を受け取ると『白い蝙蝠亭』へ向かう。
ジェイドとセロ達も一緒に来てもらって少し話をする事にした。
「マイは私達が預かる形でよろしいですか?」
「勿論だ」
「俺達も異論はないよ」
四人はよく理解してくれていた。
「それから報酬について。マイを取得物とするなら私達の報酬は皆さんに差し上げようかと思うのですが」
「いやいや、その子は物じゃあない。自分の意志でハル達について行く事を選んだんだ。だから報酬をどうのってのは無しだぜ」
ジェイドがハッキリと断ってくる。
「そうだよ。私達はマイちゃんを人間として扱うつもりだよ?」
ありがたい事にリンもマイの事を神ではなく人として扱ってくれると言う。セロとミラもそのつもりの様で頷いてくれていた。
「ありがとう。マイは私の娘としてこれから行動を共にする予定です」
「じゃあ冒険者登録からだな」
「そうですね。マイは何ができるのかしら?」
「光の魔法と大地の魔法が得意です。あとはゴーレムの生成もできます」
「明日は装備を整えて街の外で試してみましょう」
「はい、頑張るです!」
マイは張り切っていた。
「何?もう終わったのか?やっぱりセロの剣じゃないと駄目だったか?」
「ええ。私の魔法も芽依やエレの攻撃でもダメージが入らなかったわ」
「やはり俺の読みは正しかったな」
そう言って頷くバルドル。
このまま調査の報告を始める。
「──で、遺跡の中でその子供を見つけたと」
「ええ」
「人間ではないよな?」
「ずっと遺跡にいたそうなので人間ではないでしょうね」
まさか神だとは言えない。
マイには私に任せるように言ってあるので何も言わずに私にしがみついている。
「ハルに懐いている様だな?」
バルドルが顔を近付けると私の後ろに隠れてしまった。
「バルドルさんの顔が怖いから怯えちゃったよ。離れて?」
「お、おう。すまねえな」
芽依に言われて謝るバルドル。実はマイには今は何か聞かれてボロを出さない為にそうする様に指示してあるだけだ。
「その子供が何なのか調べる必要があると思うが、どうする?」
「どうするって、こんな小さな子に何をする気なの?」
「い、いや……遺跡で見つかったものなら調べた方がいいんじゃないか?」
「……物みたいに扱って。そちらがその気ならこちらだって考えがあるわよ。遺跡で取得したものは私達のものでしょう?私達がこの子をどうしようと勝手だわ。なのでこの子を調べさせる事はさせません」
私が強めに言うとバルドルは諦めた様に項垂れた。
「分かった。ハルがそう言うなら仕方がねえ。だがリフィナがどう言うか分からねえから、その時は呼び出すかもしれんぞ」
「それで構わないわ」
取り敢えずマイを調べられる事は回避出来た。宿に帰ってからマイに話を聞きながら今後の事を話し合おう。
「おつかれ~。食事の準備がもうすぐ出来るから食べてってね」
「やった!お腹空いていたんです!」
サポートに来ていた女性冒険者が声をかけて来る。エレは大喜びだ。
サポートメンバーには悪いがこれで仕事は終わったので食事をとったら撤収してもらう事になる。
「もう終わり?帰れるんならありがてえな!」
どうやらサポートの冒険者達は期間関係なく一律で報酬が出る契約だった様だ。
「セロ達のチームならそんなに時間は掛からねえと思っていたから補給物資は少なめにしたんだが、正解だった様だな」
食事の準備を手伝いながらバルドルは笑っていた。
みんなで食事をいただいて片付けを手伝ったら街に向かって引き上げる。
今回は遺跡の中で価値のあるものを拾う事はなかった。
ギルドとしては何の成果も無くさぞ残念だっただろう。だからこそマイの事をよく調べたかったのかも知れないが、今はまだ調べさせたくない。
ギルドに帰って報酬を受け取ると『白い蝙蝠亭』へ向かう。
ジェイドとセロ達も一緒に来てもらって少し話をする事にした。
「マイは私達が預かる形でよろしいですか?」
「勿論だ」
「俺達も異論はないよ」
四人はよく理解してくれていた。
「それから報酬について。マイを取得物とするなら私達の報酬は皆さんに差し上げようかと思うのですが」
「いやいや、その子は物じゃあない。自分の意志でハル達について行く事を選んだんだ。だから報酬をどうのってのは無しだぜ」
ジェイドがハッキリと断ってくる。
「そうだよ。私達はマイちゃんを人間として扱うつもりだよ?」
ありがたい事にリンもマイの事を神ではなく人として扱ってくれると言う。セロとミラもそのつもりの様で頷いてくれていた。
「ありがとう。マイは私の娘としてこれから行動を共にする予定です」
「じゃあ冒険者登録からだな」
「そうですね。マイは何ができるのかしら?」
「光の魔法と大地の魔法が得意です。あとはゴーレムの生成もできます」
「明日は装備を整えて街の外で試してみましょう」
「はい、頑張るです!」
マイは張り切っていた。
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