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勇者
正規ルート
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「じゃあ他の連中が苦戦したって言う守護者を見に行くとするか」
「待ってください。少し考えがあります」
ジェイドがランタンを持って通路に入ろうとするので引き止める。
私達が以前に遺跡に来た時、床が崩壊して下層に落下した事。そこでモンスターと戦って勝利した後、順路から帰ったのではなく浮遊魔法で落ちてきた上層に戻って遺跡から出た事を説明する。
「なるほど。つまりここは出口って事か?」
「恐らくそうだと思います。遺跡を作った者の意図としては、下層からこの出口へ向かう様にしたかったのかと」
ジェイドに答えながら考える。
この遺跡の製作者は剣の所有者、セロのみを生かして下層から出口に向かわせたかった。調査隊の報告では何体かの魔物と戦ったそうだから、それらと一人で戦い成長を促したかったとしたら?
「逆走に問題があるのかな?」
「有るかも知れないし、無いかも知れないわね。遺跡を作った者の意図に従うのは癪だけど、完全に攻略するなら順路を辿った方が確実だと思うわ」
芽依も遺跡の製作者のいいなりは嫌そうだ。セロ以外を殺そうとしたのだ、リンもミラも、一人助かる予定だったセロは特に遺跡に対しては良い印象を持っていない。しかし確実な攻略をするなら順路を通るのが一番だと全員が判断していた。
「下層に降りる事は可能なんだな?」
「ええ。カナエ!」
「はい!」
《眷属召喚》でカナエを呼び寄せる。
「またこの遺跡ですか……」
「ギルドからの依頼で攻略する事になったの。下に降りるから魔法をお願い」
「分かりました!」
私でも出来るだろうけど、もし制御に失敗したら全員の命を奪う事になりかねない。今回はカナエにやってもらって確実に下に行く事にした。
「このままお手伝いしましょうか?」
「いいえ、私達だけで攻略してみるわ。ありがとうカナエ」
「危なくなったら直ぐに呼んでくださいね!」
カナエを送還する。
「さて!そんじゃ攻略しますかね!」
「はい!」「うん!」
下層に降りた私達は、かつてここで戦った竜頭戦士が出てきた通路へと向かう。
通路幅は二人並んで歩けそうだが戦うのは難しそうなので一列で進む事に。
先頭はジェイド、続いてセロ、ミラ、リン、私、芽依、エレの順番だ。背後からの奇襲も想定した隊列を組んである。陰湿な遺跡の製作者は隠し通路から魔物を放って来るかも知れないからだ。
暫く真っ直ぐと伸びた通路を進んでいくと両開きの扉が見えてきた。取手が無くどうやって開けるのだろうかと思いながら近付いていくと、ゆっくりと扉が開いていく。
部屋は直径20メートル程度のドーム状で高さは十分に有る。中央には身長3メートル程の全身鎧があり、それに見合った長剣が地面に突き立てられていた。
私達が部屋に入るとゆっくりと扉が閉じていく。
全身鎧の目が光り、ゆっくりと動き始める。
「待ち侘びたぞ、聖剣の主人よ。……どうやら仲間との別れは済んでいない様だな」
やはりあの罠は剣の持ち主以外を殺す事が目的だったのか。
全身鎧は突き立てられていた剣を引き抜く。
「我は聖剣の主人に剣を指南する者。地上に戻りたければ我に勝つ事だ。ただし──」
私は最大出力で光の魔法を全身鎧に照射する。眩い光を収束させて右手から放ち頭を撃ち抜いた。そのまま下に光条を移動させて両断する。
全身鎧は溶断されて左右に倒れた。どうやら中身はなかったらしい。
「な、何をする……」
「私達を殺そうとしたのです。当然でしょう?まさか自分が殺されないとでも思っているのですか?」
真っ二つになってもまだ話せるのね。
私は全身鎧に近づいて行き、光線を放って両手足を焼き切る。
「お、おお……」
「ここまですればもう何も出来ないでしょう。さて、私の質問に答える気はあるかしら?」
頭を踏みつけながら聞く。
「エゲツねえ……」
ジェイドの呟きが聞こえたが気にしないでおいた。
「待ってください。少し考えがあります」
ジェイドがランタンを持って通路に入ろうとするので引き止める。
私達が以前に遺跡に来た時、床が崩壊して下層に落下した事。そこでモンスターと戦って勝利した後、順路から帰ったのではなく浮遊魔法で落ちてきた上層に戻って遺跡から出た事を説明する。
「なるほど。つまりここは出口って事か?」
「恐らくそうだと思います。遺跡を作った者の意図としては、下層からこの出口へ向かう様にしたかったのかと」
ジェイドに答えながら考える。
この遺跡の製作者は剣の所有者、セロのみを生かして下層から出口に向かわせたかった。調査隊の報告では何体かの魔物と戦ったそうだから、それらと一人で戦い成長を促したかったとしたら?
「逆走に問題があるのかな?」
「有るかも知れないし、無いかも知れないわね。遺跡を作った者の意図に従うのは癪だけど、完全に攻略するなら順路を辿った方が確実だと思うわ」
芽依も遺跡の製作者のいいなりは嫌そうだ。セロ以外を殺そうとしたのだ、リンもミラも、一人助かる予定だったセロは特に遺跡に対しては良い印象を持っていない。しかし確実な攻略をするなら順路を通るのが一番だと全員が判断していた。
「下層に降りる事は可能なんだな?」
「ええ。カナエ!」
「はい!」
《眷属召喚》でカナエを呼び寄せる。
「またこの遺跡ですか……」
「ギルドからの依頼で攻略する事になったの。下に降りるから魔法をお願い」
「分かりました!」
私でも出来るだろうけど、もし制御に失敗したら全員の命を奪う事になりかねない。今回はカナエにやってもらって確実に下に行く事にした。
「このままお手伝いしましょうか?」
「いいえ、私達だけで攻略してみるわ。ありがとうカナエ」
「危なくなったら直ぐに呼んでくださいね!」
カナエを送還する。
「さて!そんじゃ攻略しますかね!」
「はい!」「うん!」
下層に降りた私達は、かつてここで戦った竜頭戦士が出てきた通路へと向かう。
通路幅は二人並んで歩けそうだが戦うのは難しそうなので一列で進む事に。
先頭はジェイド、続いてセロ、ミラ、リン、私、芽依、エレの順番だ。背後からの奇襲も想定した隊列を組んである。陰湿な遺跡の製作者は隠し通路から魔物を放って来るかも知れないからだ。
暫く真っ直ぐと伸びた通路を進んでいくと両開きの扉が見えてきた。取手が無くどうやって開けるのだろうかと思いながら近付いていくと、ゆっくりと扉が開いていく。
部屋は直径20メートル程度のドーム状で高さは十分に有る。中央には身長3メートル程の全身鎧があり、それに見合った長剣が地面に突き立てられていた。
私達が部屋に入るとゆっくりと扉が閉じていく。
全身鎧の目が光り、ゆっくりと動き始める。
「待ち侘びたぞ、聖剣の主人よ。……どうやら仲間との別れは済んでいない様だな」
やはりあの罠は剣の持ち主以外を殺す事が目的だったのか。
全身鎧は突き立てられていた剣を引き抜く。
「我は聖剣の主人に剣を指南する者。地上に戻りたければ我に勝つ事だ。ただし──」
私は最大出力で光の魔法を全身鎧に照射する。眩い光を収束させて右手から放ち頭を撃ち抜いた。そのまま下に光条を移動させて両断する。
全身鎧は溶断されて左右に倒れた。どうやら中身はなかったらしい。
「な、何をする……」
「私達を殺そうとしたのです。当然でしょう?まさか自分が殺されないとでも思っているのですか?」
真っ二つになってもまだ話せるのね。
私は全身鎧に近づいて行き、光線を放って両手足を焼き切る。
「お、おお……」
「ここまですればもう何も出来ないでしょう。さて、私の質問に答える気はあるかしら?」
頭を踏みつけながら聞く。
「エゲツねえ……」
ジェイドの呟きが聞こえたが気にしないでおいた。
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