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勇者
進撃のお婆ちゃん
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「じゃあ少し行ってくるわね」
「私も行く!」
「面白いものではないからみんなと留守番していて」
芽依の頭を撫でながら言うと、「うん」と素直に引いてくれた。
エリオットを立たせてギルドの外に出る。途中伸びている魔術師を見つけたので一緒に引きずって来た。
「王都はどっち?」
「はい……ここからだと北東です」
エリオットに聞いたら素直に答えてくれた。
「オオトリ!」
空に向かって叫ぶと巨鳥が空から降りてくる。
『お呼びですかハル様?』
「この男を北東の城のある街まで運んで。城の庭にでも置いてきて」
「畏まりました」
オオトリが魔術師の男を足で掴もうとした時、彼は目を覚まして暴れ出した。
「丁度いいわ。よく聞きなさい。今からあなたを王都に連れて行きます。城に着いたらエリオット殿下の件で泉の精霊が国王陛下に抗議に来ると伝えなさい」
魔術師は勢いよく何度も首を縦に振っている。
オオトリが魔術師の両肩を掴んで空高く飛び上がっていった。
「さあ、私達も行きましょうか」
待っていた馬車にエリオットを乗せて街の外まで行ってもらう。
「トコヤミ!」
私が呼ぶと空に真っ黒な巨大な竜が出現する。
「ひぃっ!?」
「安心なさい、私の家族よ」
『ハル様、それは何ですか?』
「この国の第二王子のエリオット殿下よ。今から王都に行くから連れていって貰えるかしら?」
「お安い御用です」
エリオットがトコヤミの背に乗るのを嫌がったので咥えて行ってもらう事にする。勿論私は背中に乗った。
トコヤミの飛行速度はオオトリよりも随分と速い。追いつかない様に速度を落としてもらい、王都への入り方を思案する。
あの魔術師に伝言を頼んだが普通に行っても相手にされない可能性が高い。
颯太を呼び出して助言をもらう事にした。
「母さんがそこまで怒るのも珍しいね。それなら思い切りやってみたらいいんじゃないかな?みんなも手伝ってくれるよ」
「分かったわ。今回は正面から乗り込みます」
「うん。僕も手伝うからね」
少々手荒な訪問になるが、サッサと終わらせて皆の所に帰りたい。
大きな街に囲まれた立派な城が見えて来た。テーマパークにありそうな西洋の立派な城だ。
巨大な塀に囲まれた周りの街も綺麗に区画が整理されていてとても美しい。
私達が街に近付くと街へと続く門の格子状の扉が降ろされてしまう。
「僕達が地上から行くよ。母さんは空から見ていて」
「ええ。お願いね」
私は《眷属召喚》でカクカミ、メト、ヤト、カナエ、ギョクリュウを呼び出して颯太に預ける。
颯太が皆に事情を説明すると雄叫びを上げて張り切っていた。
やり過ぎなければ良いのだけど。
トコヤミの背に乗って空から様子を見させてもらう。
カクカミは巨大な塀を飛び越えて大通りに入り、メトは壁をよじ登っていた。
颯太を乗せたギョクリュウは体当たりで格子戸を破壊して中に入る。
兵士達もいるのだが颯太が何かを言ったのだろう。攻撃を仕掛けてくる者は少数で、その者達もカナエに無力化されていた。
大通りは広くカクカミ達は家屋を破壊する事なく真っ直ぐ城へと悠々と歩いていく。
轟音と振動と共に城の地下からヤトが出て来るとあっという間に城に巻き付いた。
綺麗な城が少し傷ついてしまったけど、それくらいは構わないわ。
城の兵士達は突如現れた巨大な蛇に驚いて弓矢や魔法で攻撃しているが、ヤトの鱗に傷を付ける事は無かった。
カクカミとメトの歩調に合わせて空を行くトコヤミもゆっくりと城に進んでいく。
多くの人がその様子を見上げて固まっていた。
城の中庭にトコヤミが着地する。
咥えていたエリオットを地面に下ろして一言。「我が主人、ハル様の御前である。武器を手にする者があれば我の一息で灰塵に帰すものと心得よ」
集まって来た騎士、兵士は皆武器を投げ捨てた。
「私も行く!」
「面白いものではないからみんなと留守番していて」
芽依の頭を撫でながら言うと、「うん」と素直に引いてくれた。
エリオットを立たせてギルドの外に出る。途中伸びている魔術師を見つけたので一緒に引きずって来た。
「王都はどっち?」
「はい……ここからだと北東です」
エリオットに聞いたら素直に答えてくれた。
「オオトリ!」
空に向かって叫ぶと巨鳥が空から降りてくる。
『お呼びですかハル様?』
「この男を北東の城のある街まで運んで。城の庭にでも置いてきて」
「畏まりました」
オオトリが魔術師の男を足で掴もうとした時、彼は目を覚まして暴れ出した。
「丁度いいわ。よく聞きなさい。今からあなたを王都に連れて行きます。城に着いたらエリオット殿下の件で泉の精霊が国王陛下に抗議に来ると伝えなさい」
魔術師は勢いよく何度も首を縦に振っている。
オオトリが魔術師の両肩を掴んで空高く飛び上がっていった。
「さあ、私達も行きましょうか」
待っていた馬車にエリオットを乗せて街の外まで行ってもらう。
「トコヤミ!」
私が呼ぶと空に真っ黒な巨大な竜が出現する。
「ひぃっ!?」
「安心なさい、私の家族よ」
『ハル様、それは何ですか?』
「この国の第二王子のエリオット殿下よ。今から王都に行くから連れていって貰えるかしら?」
「お安い御用です」
エリオットがトコヤミの背に乗るのを嫌がったので咥えて行ってもらう事にする。勿論私は背中に乗った。
トコヤミの飛行速度はオオトリよりも随分と速い。追いつかない様に速度を落としてもらい、王都への入り方を思案する。
あの魔術師に伝言を頼んだが普通に行っても相手にされない可能性が高い。
颯太を呼び出して助言をもらう事にした。
「母さんがそこまで怒るのも珍しいね。それなら思い切りやってみたらいいんじゃないかな?みんなも手伝ってくれるよ」
「分かったわ。今回は正面から乗り込みます」
「うん。僕も手伝うからね」
少々手荒な訪問になるが、サッサと終わらせて皆の所に帰りたい。
大きな街に囲まれた立派な城が見えて来た。テーマパークにありそうな西洋の立派な城だ。
巨大な塀に囲まれた周りの街も綺麗に区画が整理されていてとても美しい。
私達が街に近付くと街へと続く門の格子状の扉が降ろされてしまう。
「僕達が地上から行くよ。母さんは空から見ていて」
「ええ。お願いね」
私は《眷属召喚》でカクカミ、メト、ヤト、カナエ、ギョクリュウを呼び出して颯太に預ける。
颯太が皆に事情を説明すると雄叫びを上げて張り切っていた。
やり過ぎなければ良いのだけど。
トコヤミの背に乗って空から様子を見させてもらう。
カクカミは巨大な塀を飛び越えて大通りに入り、メトは壁をよじ登っていた。
颯太を乗せたギョクリュウは体当たりで格子戸を破壊して中に入る。
兵士達もいるのだが颯太が何かを言ったのだろう。攻撃を仕掛けてくる者は少数で、その者達もカナエに無力化されていた。
大通りは広くカクカミ達は家屋を破壊する事なく真っ直ぐ城へと悠々と歩いていく。
轟音と振動と共に城の地下からヤトが出て来るとあっという間に城に巻き付いた。
綺麗な城が少し傷ついてしまったけど、それくらいは構わないわ。
城の兵士達は突如現れた巨大な蛇に驚いて弓矢や魔法で攻撃しているが、ヤトの鱗に傷を付ける事は無かった。
カクカミとメトの歩調に合わせて空を行くトコヤミもゆっくりと城に進んでいく。
多くの人がその様子を見上げて固まっていた。
城の中庭にトコヤミが着地する。
咥えていたエリオットを地面に下ろして一言。「我が主人、ハル様の御前である。武器を手にする者があれば我の一息で灰塵に帰すものと心得よ」
集まって来た騎士、兵士は皆武器を投げ捨てた。
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