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勇者
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芽依の提案を試してみようと思う。
あの店は人手が不足しているし、このおじさんは店が無くて困っている。
上手く折り合いが付けば良いパートナーになるのではないだろうか?
一番の問題問題は──
「調理法は教えても構わないよ。俺も教えてもらっただけだから。パオを売れるなら店の仕事も覚えるよ」
「それなら一度交渉してみませんか?実物を食べてもらった方が話が早いと思います」
「分かったよ」
露店を片付けて蒸し立てのパオを持って昨日の食堂へ。
「おはようございます」
「おお?昨日の嬢ちゃん達じゃないか。また手伝いに来てくれたのか?」
「今日は紹介したい人を連れて来ました」
私がそう言うとパオをもったおじさんが前に出る。
「まずはコイツを食ってみてくれ」
「なんだこりゃ?」
そう言いながらセイロからパオを手に取って迷わず口にする店主。
「ほお……コイツは美味えな」
「だろ?俺はこれをこの街で流行らせたいんだ」
「聞かせてくれ」
興味を持った店主はおじさんの話を聞いて様々条件を提示していく。
メニューに加える代わりに店の仕事をやる事。販売の価格については少しもめた。
「いや、仕入れ次第だがそれだと利益が出ないんじゃないか?」
「この街の連中は新しいものに消極的だから安くしないと食ってくれないぞ」
中々折り合いがつかない。
「それなら初めだけ安くしてみるのはどうですか?お試しと言う事でお勧めするのも良いと思いますよ」
「そいつはいいな!」「それでいってみるか!」
私が提案したら二人はそれで納得してくれた。
どうやらこの店で働く事になった様だ。
「良かったね!おじさん」
「ありがとうな!お嬢ちゃんのおかげだよ」
これでここの人手不足も解消出来て一石二鳥ね。
「お嬢ちゃん達もたまには手伝いに来てくれよ。もちろん金は払うからな」
「おじさんがいれば人手は足りるんじゃないの?」
「オッサン二人よりお嬢ちゃん達がいてくれた方がいいんだよ。暇な時だけでいいから」
「うーん、分かった!暇な時だけだよ?」
芽依は頼まれると断りきれないみたいね。
「ご飯は出ますか?」
「おう、勿論だ」「パオも出すぞ」
「じゃあやります!」
ご飯に釣られて快諾しているエレ。
二人が良いのなら構わないわ。私も手伝いましょう。
話をしていたらお客さんが入ってきた。
「らっしゃい!なんだ、今日はやけに早いじゃないか?」
「いやぁ……昨日の店員さんが見えたからつい……」
笑いながら席につく職人風の若い男性。
「今日はお手伝いしないつもりなんだけど……」
「ええっ……じゃあ帰ろうかな」
何を目当てで来たのかしらね。
「おはよう!もうやってるかい?」
お客さんがどんどん入ってくる。
「こりゃあ参ったな。どうやらお嬢ちゃん達目当てで集まって来ちまってるみたいだ。仕込みは終わってるからすぐに作れば出せるが……」
「パオなら蒸せば直ぐに出せるぞ!」
「よし、二人で調理だ。嬢ちゃん達、少しの間だけ手伝ってくれ」
「分かった!」
成り行きでまた手伝いをする事になってしまった。
「新しいメニューが追加されたんですけど、とっても美味しいんですよ。おひとつどうですか?」
「じゃあ頼むよ」「俺も!」
注文を取る時に勧めるとみんな頼んでくれた。
「こりゃ美味いな!」
「手軽に食えるから便利だぞ」
「試してみるもんだな!」
食べた人からはかなり良い反応が返ってくる。大好評だ。
「仕込み分がもう無くなりそうだ。今から追加で作るから少し注文を止めてくれ」
「はーい!」
店自体もあっという間に満席になって大忙し。お昼前までにかなりのお客さんをさばいた。
「ごめんなさい。私達お昼から用事があるので」
「そうだったのか……忙しい時にすまなかったな」
「お嬢ちゃん達、ありがとうな!これ、食べてくれ」
そう言ってパオを袋一杯にくれた。
「ありがとうございます!」
エレはそれだけで大喜びだった。
あの店は人手が不足しているし、このおじさんは店が無くて困っている。
上手く折り合いが付けば良いパートナーになるのではないだろうか?
一番の問題問題は──
「調理法は教えても構わないよ。俺も教えてもらっただけだから。パオを売れるなら店の仕事も覚えるよ」
「それなら一度交渉してみませんか?実物を食べてもらった方が話が早いと思います」
「分かったよ」
露店を片付けて蒸し立てのパオを持って昨日の食堂へ。
「おはようございます」
「おお?昨日の嬢ちゃん達じゃないか。また手伝いに来てくれたのか?」
「今日は紹介したい人を連れて来ました」
私がそう言うとパオをもったおじさんが前に出る。
「まずはコイツを食ってみてくれ」
「なんだこりゃ?」
そう言いながらセイロからパオを手に取って迷わず口にする店主。
「ほお……コイツは美味えな」
「だろ?俺はこれをこの街で流行らせたいんだ」
「聞かせてくれ」
興味を持った店主はおじさんの話を聞いて様々条件を提示していく。
メニューに加える代わりに店の仕事をやる事。販売の価格については少しもめた。
「いや、仕入れ次第だがそれだと利益が出ないんじゃないか?」
「この街の連中は新しいものに消極的だから安くしないと食ってくれないぞ」
中々折り合いがつかない。
「それなら初めだけ安くしてみるのはどうですか?お試しと言う事でお勧めするのも良いと思いますよ」
「そいつはいいな!」「それでいってみるか!」
私が提案したら二人はそれで納得してくれた。
どうやらこの店で働く事になった様だ。
「良かったね!おじさん」
「ありがとうな!お嬢ちゃんのおかげだよ」
これでここの人手不足も解消出来て一石二鳥ね。
「お嬢ちゃん達もたまには手伝いに来てくれよ。もちろん金は払うからな」
「おじさんがいれば人手は足りるんじゃないの?」
「オッサン二人よりお嬢ちゃん達がいてくれた方がいいんだよ。暇な時だけでいいから」
「うーん、分かった!暇な時だけだよ?」
芽依は頼まれると断りきれないみたいね。
「ご飯は出ますか?」
「おう、勿論だ」「パオも出すぞ」
「じゃあやります!」
ご飯に釣られて快諾しているエレ。
二人が良いのなら構わないわ。私も手伝いましょう。
話をしていたらお客さんが入ってきた。
「らっしゃい!なんだ、今日はやけに早いじゃないか?」
「いやぁ……昨日の店員さんが見えたからつい……」
笑いながら席につく職人風の若い男性。
「今日はお手伝いしないつもりなんだけど……」
「ええっ……じゃあ帰ろうかな」
何を目当てで来たのかしらね。
「おはよう!もうやってるかい?」
お客さんがどんどん入ってくる。
「こりゃあ参ったな。どうやらお嬢ちゃん達目当てで集まって来ちまってるみたいだ。仕込みは終わってるからすぐに作れば出せるが……」
「パオなら蒸せば直ぐに出せるぞ!」
「よし、二人で調理だ。嬢ちゃん達、少しの間だけ手伝ってくれ」
「分かった!」
成り行きでまた手伝いをする事になってしまった。
「新しいメニューが追加されたんですけど、とっても美味しいんですよ。おひとつどうですか?」
「じゃあ頼むよ」「俺も!」
注文を取る時に勧めるとみんな頼んでくれた。
「こりゃ美味いな!」
「手軽に食えるから便利だぞ」
「試してみるもんだな!」
食べた人からはかなり良い反応が返ってくる。大好評だ。
「仕込み分がもう無くなりそうだ。今から追加で作るから少し注文を止めてくれ」
「はーい!」
店自体もあっという間に満席になって大忙し。お昼前までにかなりのお客さんをさばいた。
「ごめんなさい。私達お昼から用事があるので」
「そうだったのか……忙しい時にすまなかったな」
「お嬢ちゃん達、ありがとうな!これ、食べてくれ」
そう言ってパオを袋一杯にくれた。
「ありがとうございます!」
エレはそれだけで大喜びだった。
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