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冒険者
ウルゼイド会談
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ウルゼイドの街の外にトコヤミに降りてもらい門に歩いていくと、馬車がやって来た。
「やはりハル様でしたか!ご無沙汰しております。お変わりはない様で安心しました」
馬車から降りて来て駆け寄って来たのはザハーンだった。近付いて来て跪き挨拶をする。
「お久しぶりですザハーン。迎えに来てくれたのですか?」
「はい。トコヤミ様が降りてくるのが見えたので、もしやと思い馬車を走らせて来ました」
彼は嬉しそうに話してくれる。
「ザハーンおじさん、お久しぶり!」
「メイ様、お久しぶりでございます」
芽依が駆け寄っていく。ザハーンも顔を綻ばせていた。
「ザハーン、紹介します。ライアッド王国ソリムド伯爵の側近の騎士のお二人よ」
「フリッツ・ヴィンヤードです」
「アルバート・アレクシアだ」
「これはこれは。私はザハーンと申します。マスカダール商会の会頭でございます」
立ち上がり二人の前でお辞儀をするザハーン。
「マスカダール商会……確かディレク商会と取引をしていると聞いておりますな」
「よくご存知で。セイランのディレク商会とは良い取引をさせていただいております」
フリッツはマスカダール商会の事を知っていた。
「今日来たのは、ソリムド伯爵の依頼でウルゼイドとの会談を手配する為に来ました」
「そうでしたか。それでは国王陛下にお話し致しましょう。馬車をもう一台手配致しますのでお待ち下さい」
ザハーンが遣いを出して馬車をもう一台呼んできて、分乗して王城に向かう。私と芽依とザハーンが同じ馬車。セロ、リン、ミラ、フリッツ、エドワードが別の馬車に乗っている。
「ライアッド王国とはあまり良い取引は出来ていないのが実状です。こちらからの輸出品には高い関税がかけられており、その上取引の量も制限されております」
ウルゼイドからは魔法に関する品物を輸出しているそうだが、人間の国よりも遥かに上質の物の為に制限が掛けられているそうだ。
「ライアッド王国はウルゼイドに対して敵対的だと判断しております。そこにハル様が現れた事でそれを利用しようとしているのかと心配しております」
「今ソリムド領は他国からの侵攻とそれに呼応した内乱によって兵力の大半を失っています。その為ウルゼイドが攻撃をして来ない様に一時的に友好を結びたいのだと思います」
どんな事情であれ隣国と友好を結ぶ事は良い事だ。このまま永く友好を結んで貰えれば良いのだが。
「そうでしたか。一時的にでもライアッド王国と友好を結べるのなら良い事です。国王も喜ぶでしょう」
ザハーンは笑いながら話している。
ウルゼイドの軍事力ならソリムド伯が暴発しても敵ではないし、恐らくライアッド王国が全力で攻めてこようとも問題はないだろう。
いざという時は大森林が彼らを守るから。
アルザハーンも好んで戦争をする様な男ではない。戦争のリスクを回避できるのなら、一時的でも喜んで友好を結ぶだろう。
この会談は問題なく成功する。
王城に到着してザハーンが話を通してくれる。直ぐに謁見の間に通してもらえた。
「ハル様、お久しぶりにございます」
玉座から降りて私の方へ来るアルザハーン。
跪こうとするものだから慌てて彼に駆け寄って止める。
「アルザハーン、家臣や他国の者の前で国王が跪いてはいけませんよ」
「そうですな……大変失礼しました」
小声でやり取りをする。
意図せず再会を喜び抱擁する様な格好になってしまった。
「お母さんズルい!私も!」
「ええ、勿論ですとも。メイ様もお久しぶりですな。少し見ないうちに少し背が伸びましたかな?」
その様子を見て芽依もアルザハーンに抱きついている。
「国王とあんなに親しく……」
「彼女達の話は本当だった様だな」
エドワードとフリッツは驚き呟いていた。
「やはりハル様でしたか!ご無沙汰しております。お変わりはない様で安心しました」
馬車から降りて来て駆け寄って来たのはザハーンだった。近付いて来て跪き挨拶をする。
「お久しぶりですザハーン。迎えに来てくれたのですか?」
「はい。トコヤミ様が降りてくるのが見えたので、もしやと思い馬車を走らせて来ました」
彼は嬉しそうに話してくれる。
「ザハーンおじさん、お久しぶり!」
「メイ様、お久しぶりでございます」
芽依が駆け寄っていく。ザハーンも顔を綻ばせていた。
「ザハーン、紹介します。ライアッド王国ソリムド伯爵の側近の騎士のお二人よ」
「フリッツ・ヴィンヤードです」
「アルバート・アレクシアだ」
「これはこれは。私はザハーンと申します。マスカダール商会の会頭でございます」
立ち上がり二人の前でお辞儀をするザハーン。
「マスカダール商会……確かディレク商会と取引をしていると聞いておりますな」
「よくご存知で。セイランのディレク商会とは良い取引をさせていただいております」
フリッツはマスカダール商会の事を知っていた。
「今日来たのは、ソリムド伯爵の依頼でウルゼイドとの会談を手配する為に来ました」
「そうでしたか。それでは国王陛下にお話し致しましょう。馬車をもう一台手配致しますのでお待ち下さい」
ザハーンが遣いを出して馬車をもう一台呼んできて、分乗して王城に向かう。私と芽依とザハーンが同じ馬車。セロ、リン、ミラ、フリッツ、エドワードが別の馬車に乗っている。
「ライアッド王国とはあまり良い取引は出来ていないのが実状です。こちらからの輸出品には高い関税がかけられており、その上取引の量も制限されております」
ウルゼイドからは魔法に関する品物を輸出しているそうだが、人間の国よりも遥かに上質の物の為に制限が掛けられているそうだ。
「ライアッド王国はウルゼイドに対して敵対的だと判断しております。そこにハル様が現れた事でそれを利用しようとしているのかと心配しております」
「今ソリムド領は他国からの侵攻とそれに呼応した内乱によって兵力の大半を失っています。その為ウルゼイドが攻撃をして来ない様に一時的に友好を結びたいのだと思います」
どんな事情であれ隣国と友好を結ぶ事は良い事だ。このまま永く友好を結んで貰えれば良いのだが。
「そうでしたか。一時的にでもライアッド王国と友好を結べるのなら良い事です。国王も喜ぶでしょう」
ザハーンは笑いながら話している。
ウルゼイドの軍事力ならソリムド伯が暴発しても敵ではないし、恐らくライアッド王国が全力で攻めてこようとも問題はないだろう。
いざという時は大森林が彼らを守るから。
アルザハーンも好んで戦争をする様な男ではない。戦争のリスクを回避できるのなら、一時的でも喜んで友好を結ぶだろう。
この会談は問題なく成功する。
王城に到着してザハーンが話を通してくれる。直ぐに謁見の間に通してもらえた。
「ハル様、お久しぶりにございます」
玉座から降りて私の方へ来るアルザハーン。
跪こうとするものだから慌てて彼に駆け寄って止める。
「アルザハーン、家臣や他国の者の前で国王が跪いてはいけませんよ」
「そうですな……大変失礼しました」
小声でやり取りをする。
意図せず再会を喜び抱擁する様な格好になってしまった。
「お母さんズルい!私も!」
「ええ、勿論ですとも。メイ様もお久しぶりですな。少し見ないうちに少し背が伸びましたかな?」
その様子を見て芽依もアルザハーンに抱きついている。
「国王とあんなに親しく……」
「彼女達の話は本当だった様だな」
エドワードとフリッツは驚き呟いていた。
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