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冒険者
残党処理
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マルダの街の中に入り込んだ敵兵はおよそ百人。
カクカミやメトが街に入ると建物を破壊してしまうので、メトは外の残敵処理、カクカミは脱出すら住民の警護をしてもらう事になった。
海上ではほとんどの船が破壊され、残骸が漂っているだけだった。
現在ヤトは一早く離脱を決めた部隊の追撃をしている。標的が居なくなってしまい、名残惜しそうに一隻ずつ撃沈している。
彼も身体が大きすぎる為、街の中どころか周辺で暴れるのは良くない。
艦船の撃破が済んだら帰ってもらおうと思う。
私達はマルダの冒険者達と共に街の中に入る。
ディーンの案内で街の中央部へとやって来た。
中央広場にはバリケードが築かれており、マルダに駐留する兵士達が敵を待ち構えていた。
ディーンは指揮をとっている将校と話を始める。カクカミ達ご味方である事と私達が援護に来た事で西門の安全が確保された事を報告している様だ。
「よし、バリケードを越えて残敵掃討に向かうぞ」
説明を終えたディーンがやって来て冒険者達に告げる。
兵士達はここの防衛から殆ど動かせない様なので冒険者のみで敵兵の排除を行う様だ。
「パーティ毎に持ち場を説明するぞ」
ヴァンが兵士から街の地図を借りて来て見せてくれる。
東側の地区は区画が整備されていない為、大小様々な建物が乱立していて入り組んでいる所が多い。
敵軍も陣形を作る事はできないので冒険者達が各個撃破していくのには都合の良い地形だ。
逃げ遅れた住民がいれば保護して防衛線のこちらまで連れて来る。人命優先だそうだ。
「敵に増援はない。街に入り込んだ奴らを排除すれば俺達の勝利だ」
各パーティの持ち場を言い渡される。
私達は大通りに近い商店が立ち並ぶエリアだ。死角が少なく不意打ちを受けにくい場所に割り振られたのはランクを見ての配慮だろう。
説明が一通り終わると全員一斉に動き出す。
私達も持ち場に急ぐ事にした。
「颯太は前衛に入って頂戴。カナエは後列から魔法で援護よ」
「分かったよ」
「お任せください!」
持ち場にはすぐに到着することができた。緩やかにカーブを描いている平らな通りで幅は二メートル程だ。左右に更に細い道が幾つもある。
「敵って、東門から侵入したら大通りを通って中央広場まで来るんじゃないの?」
「そうとは限らないよ。退路を断たれているから、籠城できる場所を探して狭い方へとやって来る可能性があるんだ。そうだよね?母さん」
「ええそうよ」
芽依の質問に答える颯太。この子は教えてもいないのに意図を良く理解してくれるから頼りになる。
通りの向こうからファディア兵がやって来るのが見えた。
「僕が先に前に出るよ」
「じゃあ次は私!」
颯太は両手に剣を下げたまま前進する。その後ろを少し遅れて芽依が続く。その後ろにはセロが続いた。
この幅では二人並んで戦うのは難しい。
敵兵はその事を理解できていないのか二人並んで剣を構えて前進して来た。
突然颯太は両手の剣を投げつけた。
剣は回転しながら弧を描き兵士二人の頭に命中。そのままうつ伏せに倒れた。
後ろに続く兵士二人は面食らい足を止める。そこに颯太は走り込んで蹴りを二発、左右の兵士の首をへし折った。
颯太の脇をすり抜けて芽依が更に後ろの兵士に斬り込む。
兵士と兵士の間に突如現れた芽依の攻撃をまともに受けて、三列目にいた二人も重傷を負う。そのまま回し蹴りを二回放って三列目の二人を壁に叩きつけて倒した。
まだ四人残っていたが、あっという間に六人を倒されて恐れ慄き逃げていく。
「逃がしませんよ!」
カナエが空から雷を落として敵兵を撃つ。凄まじい音と光に包まれた四人は
ブスブスと煙を上げて折り重なる様にして倒れていた。
「出番なかったね」
「はい」
後方で杖と弓をそれぞれ構えていたリンとミラが呟いた。
カクカミやメトが街に入ると建物を破壊してしまうので、メトは外の残敵処理、カクカミは脱出すら住民の警護をしてもらう事になった。
海上ではほとんどの船が破壊され、残骸が漂っているだけだった。
現在ヤトは一早く離脱を決めた部隊の追撃をしている。標的が居なくなってしまい、名残惜しそうに一隻ずつ撃沈している。
彼も身体が大きすぎる為、街の中どころか周辺で暴れるのは良くない。
艦船の撃破が済んだら帰ってもらおうと思う。
私達はマルダの冒険者達と共に街の中に入る。
ディーンの案内で街の中央部へとやって来た。
中央広場にはバリケードが築かれており、マルダに駐留する兵士達が敵を待ち構えていた。
ディーンは指揮をとっている将校と話を始める。カクカミ達ご味方である事と私達が援護に来た事で西門の安全が確保された事を報告している様だ。
「よし、バリケードを越えて残敵掃討に向かうぞ」
説明を終えたディーンがやって来て冒険者達に告げる。
兵士達はここの防衛から殆ど動かせない様なので冒険者のみで敵兵の排除を行う様だ。
「パーティ毎に持ち場を説明するぞ」
ヴァンが兵士から街の地図を借りて来て見せてくれる。
東側の地区は区画が整備されていない為、大小様々な建物が乱立していて入り組んでいる所が多い。
敵軍も陣形を作る事はできないので冒険者達が各個撃破していくのには都合の良い地形だ。
逃げ遅れた住民がいれば保護して防衛線のこちらまで連れて来る。人命優先だそうだ。
「敵に増援はない。街に入り込んだ奴らを排除すれば俺達の勝利だ」
各パーティの持ち場を言い渡される。
私達は大通りに近い商店が立ち並ぶエリアだ。死角が少なく不意打ちを受けにくい場所に割り振られたのはランクを見ての配慮だろう。
説明が一通り終わると全員一斉に動き出す。
私達も持ち場に急ぐ事にした。
「颯太は前衛に入って頂戴。カナエは後列から魔法で援護よ」
「分かったよ」
「お任せください!」
持ち場にはすぐに到着することができた。緩やかにカーブを描いている平らな通りで幅は二メートル程だ。左右に更に細い道が幾つもある。
「敵って、東門から侵入したら大通りを通って中央広場まで来るんじゃないの?」
「そうとは限らないよ。退路を断たれているから、籠城できる場所を探して狭い方へとやって来る可能性があるんだ。そうだよね?母さん」
「ええそうよ」
芽依の質問に答える颯太。この子は教えてもいないのに意図を良く理解してくれるから頼りになる。
通りの向こうからファディア兵がやって来るのが見えた。
「僕が先に前に出るよ」
「じゃあ次は私!」
颯太は両手に剣を下げたまま前進する。その後ろを少し遅れて芽依が続く。その後ろにはセロが続いた。
この幅では二人並んで戦うのは難しい。
敵兵はその事を理解できていないのか二人並んで剣を構えて前進して来た。
突然颯太は両手の剣を投げつけた。
剣は回転しながら弧を描き兵士二人の頭に命中。そのままうつ伏せに倒れた。
後ろに続く兵士二人は面食らい足を止める。そこに颯太は走り込んで蹴りを二発、左右の兵士の首をへし折った。
颯太の脇をすり抜けて芽依が更に後ろの兵士に斬り込む。
兵士と兵士の間に突如現れた芽依の攻撃をまともに受けて、三列目にいた二人も重傷を負う。そのまま回し蹴りを二回放って三列目の二人を壁に叩きつけて倒した。
まだ四人残っていたが、あっという間に六人を倒されて恐れ慄き逃げていく。
「逃がしませんよ!」
カナエが空から雷を落として敵兵を撃つ。凄まじい音と光に包まれた四人は
ブスブスと煙を上げて折り重なる様にして倒れていた。
「出番なかったね」
「はい」
後方で杖と弓をそれぞれ構えていたリンとミラが呟いた。
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