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冒険者
旅路
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ハーツには「私達が志願したのです」と話すと今度は私達も叱られる事になってしまった。
商隊の行軍は止める事は出来ない為、あまりここで長話をしていると置いていかれてしまう。
「まあ、今回は無事だったから良かったが、次からは気をつけるんだぞ」
「……はい」
芽依は叱られ慣れていない所為か、泣きそうな顔をしていた。
自分達の事を本気で心配してくれているのだ。その気持ちは良くわかった。
最後にハーツはヴァンに「あの子達の事を頼むぞ」と言って引き上げて行った。
私達も急いで商隊に追い付く。
「ったくよぉ、自分達でやるって言い出したのに何で俺達が怒られなきゃなんねーんだよ」
「いい迷惑だぜ」
レイルとロッシュは、わざと聞こえるように言っている。
「分隊長の言う事は尤もだ。その場の空気に流されてしまったが、どう考えても俺達が悪い。いや、判断したのは俺だから、レイルとロッシュは悪くないさ」
「頼んますよヴァンさん」
「俺達お守りはゴメンですぜ」
文句しか言わない二人。
芽依は目を赤くして睨んでいた。
「芽依、今回は私達が無茶をして迷惑を掛けてしまったの。ハーツさんも言った通り、これからはチームで事に当たろうね」
「……うん」
早足で移動しながら芽依と話をする。
三十分程で商隊に追いつく事ができた。
私達が抜けていたので陣形は変更されていて、後方にはヴァンさんのパーティの弓使いの女性がセロ達と歩いていた。
「すまないエルザ。遅くなった」
「随分長めのお説教だったのね。お疲れ様」
エルザはヴァンに陣形を説明する。
「分かった。レイルとロッシュは前衛に出てくれ。後方の警戒はエルザが引き継ぐ」
「やっとお守りから解放されるぜ」
二人は愚痴を言いながら前方へと進んで行った。
「アイツら嫌い」
「同感です」
「まあまあ、俺達だって分不相応な仕事に就かせてもらっているんだ。ここは堪えよう」
リンとミラは怒りを露わにしているが、セロは二人を宥めていた。
「改めてよろしくね」
「よろしくお願いします」
エルザは明るい茶色の長い髪を後ろで束ねた背の高い女性だ。年齢は二十歳くらいか、腰には小剣も下げていて弓以外も使えるのだろう。防具は革の胸当てとアームガードのみと軽装だ。
「ハルは索敵能力が高いのね。商隊の目になって貰えると助かるわ」
「はい。任せてください」
エルザは歩きながらこの商隊の行程や一日の動きを簡単に説明してくれた。
「朝昼の食事は簡単に済ませるけど、夜はしっかりと食べるから一日頑張ってね」
「はい」
「あなた達は夕食の準備を任されると思うけど、料理が出来る子は何人いる?」
リンとミラは困った顔をして互いを見合っていた。
「私は一応できますが」
「ハルだけなのね。それじゃ、今日の支度は私も手伝うからみんなで覚えよう」
「ありがとうございます」
お昼は堅く焼いたパンと干し肉のみ。馬を休ませるついでに食べている感じだ。
さらに馬車は進み夕方。
隊列が道を逸れて平らな広場に移動した。
草の生えていない広いスペースに馬車を止めて馬を外していく。
周りを見渡すと井戸があった。
商人達は手慣れていて荷馬車から野営用の道具を下ろしたり、水を汲んだりを始めた。
「今日の宿営地よ。街道にはこんな感じの所が点在しているわ。私達も準備しましょう」
エルザはそう言って馬車から荷物を下ろし始める。私達も手伝った。
「さあ、夕食を作りましょう。セロは水を汲んできて。ミラとメイは火を起こして。リンは皮を剥いたり刻んだりはできるわね?ハルは私の助手よ」
「はい!」「分かりました!」
エルザは全員に指示を出しながらテキパキと料理を作っていく。
少ない調理器具で効率良く調理していくエルザ。私はそれを手伝いながらコツを憶えていった。
他の冒険者が野営の準備を終える頃には夕食は完成。全員に配り終えて私達も食事をとった。
商隊の行軍は止める事は出来ない為、あまりここで長話をしていると置いていかれてしまう。
「まあ、今回は無事だったから良かったが、次からは気をつけるんだぞ」
「……はい」
芽依は叱られ慣れていない所為か、泣きそうな顔をしていた。
自分達の事を本気で心配してくれているのだ。その気持ちは良くわかった。
最後にハーツはヴァンに「あの子達の事を頼むぞ」と言って引き上げて行った。
私達も急いで商隊に追い付く。
「ったくよぉ、自分達でやるって言い出したのに何で俺達が怒られなきゃなんねーんだよ」
「いい迷惑だぜ」
レイルとロッシュは、わざと聞こえるように言っている。
「分隊長の言う事は尤もだ。その場の空気に流されてしまったが、どう考えても俺達が悪い。いや、判断したのは俺だから、レイルとロッシュは悪くないさ」
「頼んますよヴァンさん」
「俺達お守りはゴメンですぜ」
文句しか言わない二人。
芽依は目を赤くして睨んでいた。
「芽依、今回は私達が無茶をして迷惑を掛けてしまったの。ハーツさんも言った通り、これからはチームで事に当たろうね」
「……うん」
早足で移動しながら芽依と話をする。
三十分程で商隊に追いつく事ができた。
私達が抜けていたので陣形は変更されていて、後方にはヴァンさんのパーティの弓使いの女性がセロ達と歩いていた。
「すまないエルザ。遅くなった」
「随分長めのお説教だったのね。お疲れ様」
エルザはヴァンに陣形を説明する。
「分かった。レイルとロッシュは前衛に出てくれ。後方の警戒はエルザが引き継ぐ」
「やっとお守りから解放されるぜ」
二人は愚痴を言いながら前方へと進んで行った。
「アイツら嫌い」
「同感です」
「まあまあ、俺達だって分不相応な仕事に就かせてもらっているんだ。ここは堪えよう」
リンとミラは怒りを露わにしているが、セロは二人を宥めていた。
「改めてよろしくね」
「よろしくお願いします」
エルザは明るい茶色の長い髪を後ろで束ねた背の高い女性だ。年齢は二十歳くらいか、腰には小剣も下げていて弓以外も使えるのだろう。防具は革の胸当てとアームガードのみと軽装だ。
「ハルは索敵能力が高いのね。商隊の目になって貰えると助かるわ」
「はい。任せてください」
エルザは歩きながらこの商隊の行程や一日の動きを簡単に説明してくれた。
「朝昼の食事は簡単に済ませるけど、夜はしっかりと食べるから一日頑張ってね」
「はい」
「あなた達は夕食の準備を任されると思うけど、料理が出来る子は何人いる?」
リンとミラは困った顔をして互いを見合っていた。
「私は一応できますが」
「ハルだけなのね。それじゃ、今日の支度は私も手伝うからみんなで覚えよう」
「ありがとうございます」
お昼は堅く焼いたパンと干し肉のみ。馬を休ませるついでに食べている感じだ。
さらに馬車は進み夕方。
隊列が道を逸れて平らな広場に移動した。
草の生えていない広いスペースに馬車を止めて馬を外していく。
周りを見渡すと井戸があった。
商人達は手慣れていて荷馬車から野営用の道具を下ろしたり、水を汲んだりを始めた。
「今日の宿営地よ。街道にはこんな感じの所が点在しているわ。私達も準備しましょう」
エルザはそう言って馬車から荷物を下ろし始める。私達も手伝った。
「さあ、夕食を作りましょう。セロは水を汲んできて。ミラとメイは火を起こして。リンは皮を剥いたり刻んだりはできるわね?ハルは私の助手よ」
「はい!」「分かりました!」
エルザは全員に指示を出しながらテキパキと料理を作っていく。
少ない調理器具で効率良く調理していくエルザ。私はそれを手伝いながらコツを憶えていった。
他の冒険者が野営の準備を終える頃には夕食は完成。全員に配り終えて私達も食事をとった。
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