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冒険者
滅多打ち
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掴まれた左腕が痛む。
「強引なのは感心しませんね」
「ゴチャゴチャ言ってねぇで早く来い!」
乱暴に引き寄せられる。私は軽いからさぞ簡単だったろう。
先に手を出したのはそちらよ。
男の胸に右手で触れると《栄養吸収》で生命力を奪い取る。
「な、に……を?」
「少し生命力を奪いました。あなたが悪いのですよ?」
力が抜けてその場に崩れ落ちる男。
「テメェ!何しやがった!!」
「コイツ…舐めた真似しやがって!」
男達は武器を抜く。
己の行いを棚に上げて何を言っているのかしら。
「先に手を出したのはこの人です。私は自衛の為に力を使っただけ」
「やめろよ!ハルさんは何も悪くないだろ!」
「セロ、テメェも調子に乗ってるんじゃあねぇ!」
この男達はどれほどのランクの冒険者なのだろうか?
精々セロの一つ上くらいにしか見えないが。
四人の男は全員長剣を抜いていた。
街中で武器を抜くなんて良いのかしら?
セロと芽依も武器を抜こうとするがそれを止めた。
「あなた達は手を出さないで。大丈夫、すぐに済むから」
こちらも武器を抜いて交戦すると、あとでどちらが先に抜いたかで揉めるかも知れない。私は素手で相手をさせてもらう。勿論魔法は使うけど。
四人は私を取り囲み同時に斬りかかってくる。
どうやら加減をするつもりはないらしい。ならばこちらも遠慮はしない。
地面から石の槍を無数に出して四人の男を貫いた。
流石に殺すのは後味が悪い。致命傷は避けて脚や腕を貫いて動きを封じた。
通りに男達の悲鳴が響き渡る。
「何度も言いますが先に手を出して来たのはそちらです。生きているだけ良しとしなさい」
「あ、ぐ……なんだコイツ……」
「痛え、痛えよ……」
直ぐに治してやることも出来るが、彼らには反省する時間が必要だろう。
苦しむ男達に冷たい視線を向けているとギルドからバルドルが走って来た。
「おいおいおい……何してやがる」
「バルドルさん」
「大体状況は分かるから、早く手当てをしてやれ」
「はい」
バルドルが言うのなら仕方がない。槍を引っ込めて傷口に水を掛けて治療する。
「よし、全員ギルドに来い!話はそれからだ」
男達は地面に座り込んで茫然としているが、バルドルの大声に驚いて立ち上がると大人しくついて行く。
私達もそれに続いた。
「ったく…お前は街中でなんてことをしやがる」
ギルドホールの一角でバルドルの前に全員が並ぶ。芽依が敵意剥き出しで男達を睨み、男達は気圧され畏縮していた。
「お母さんは悪くないよ!そっちの人達が先に手を出したんだから!」
芽依がバルドルに食って掛かる。その剣幕にたじろぐバルドル。
「本当か?」
「さ、さて……どうだったかな?」
とぼける長身の男。
私は男を真っ直ぐ見据える。目が合うと動揺して汗を吹き出し視線を逸らす。
「俺達が先に手を出しました」
「ならハルがやった事は正当防衛でいいな?」
「はい……」
「ったくよぉ、ハルとメイに手を出すとは……命知らずな奴らだぜ」
バルドルはもう行けと男達に手で合図しながら言う。
男達は逃げるようにギルドから出て行った。
「騒ぎを大くしてしまい申し訳ありませんでした」
「いや、お前の実力ならアイツらを殺す事なんて造作も無かっただろ。よく堪えてくれたな」
謝罪すると意外な言葉が返ってきた。
「おやおや……何やら乱闘騒ぎがあったと聞いて来てみれば、僕の担当パーティでしたねぇ」
そう言って現れたのは中肉中背の茶色の長い髪の男。この男もギルド員だ。何度か受付で見た事がある。
「トーマス、街中での乱闘があったがもう解決した」
丸眼鏡を掛けた糸目の男、トーマスはバルドルの言葉を聞いて、顎に手を当て首を傾げる。
「彼らは明日、商隊の護衛をしてもらう予定だったのですが、あの様子では仕事どころではないでしょう。困りましたねぇ」
などと言っているがその目は冷たく私の方を見ていた。
「強引なのは感心しませんね」
「ゴチャゴチャ言ってねぇで早く来い!」
乱暴に引き寄せられる。私は軽いからさぞ簡単だったろう。
先に手を出したのはそちらよ。
男の胸に右手で触れると《栄養吸収》で生命力を奪い取る。
「な、に……を?」
「少し生命力を奪いました。あなたが悪いのですよ?」
力が抜けてその場に崩れ落ちる男。
「テメェ!何しやがった!!」
「コイツ…舐めた真似しやがって!」
男達は武器を抜く。
己の行いを棚に上げて何を言っているのかしら。
「先に手を出したのはこの人です。私は自衛の為に力を使っただけ」
「やめろよ!ハルさんは何も悪くないだろ!」
「セロ、テメェも調子に乗ってるんじゃあねぇ!」
この男達はどれほどのランクの冒険者なのだろうか?
精々セロの一つ上くらいにしか見えないが。
四人の男は全員長剣を抜いていた。
街中で武器を抜くなんて良いのかしら?
セロと芽依も武器を抜こうとするがそれを止めた。
「あなた達は手を出さないで。大丈夫、すぐに済むから」
こちらも武器を抜いて交戦すると、あとでどちらが先に抜いたかで揉めるかも知れない。私は素手で相手をさせてもらう。勿論魔法は使うけど。
四人は私を取り囲み同時に斬りかかってくる。
どうやら加減をするつもりはないらしい。ならばこちらも遠慮はしない。
地面から石の槍を無数に出して四人の男を貫いた。
流石に殺すのは後味が悪い。致命傷は避けて脚や腕を貫いて動きを封じた。
通りに男達の悲鳴が響き渡る。
「何度も言いますが先に手を出して来たのはそちらです。生きているだけ良しとしなさい」
「あ、ぐ……なんだコイツ……」
「痛え、痛えよ……」
直ぐに治してやることも出来るが、彼らには反省する時間が必要だろう。
苦しむ男達に冷たい視線を向けているとギルドからバルドルが走って来た。
「おいおいおい……何してやがる」
「バルドルさん」
「大体状況は分かるから、早く手当てをしてやれ」
「はい」
バルドルが言うのなら仕方がない。槍を引っ込めて傷口に水を掛けて治療する。
「よし、全員ギルドに来い!話はそれからだ」
男達は地面に座り込んで茫然としているが、バルドルの大声に驚いて立ち上がると大人しくついて行く。
私達もそれに続いた。
「ったく…お前は街中でなんてことをしやがる」
ギルドホールの一角でバルドルの前に全員が並ぶ。芽依が敵意剥き出しで男達を睨み、男達は気圧され畏縮していた。
「お母さんは悪くないよ!そっちの人達が先に手を出したんだから!」
芽依がバルドルに食って掛かる。その剣幕にたじろぐバルドル。
「本当か?」
「さ、さて……どうだったかな?」
とぼける長身の男。
私は男を真っ直ぐ見据える。目が合うと動揺して汗を吹き出し視線を逸らす。
「俺達が先に手を出しました」
「ならハルがやった事は正当防衛でいいな?」
「はい……」
「ったくよぉ、ハルとメイに手を出すとは……命知らずな奴らだぜ」
バルドルはもう行けと男達に手で合図しながら言う。
男達は逃げるようにギルドから出て行った。
「騒ぎを大くしてしまい申し訳ありませんでした」
「いや、お前の実力ならアイツらを殺す事なんて造作も無かっただろ。よく堪えてくれたな」
謝罪すると意外な言葉が返ってきた。
「おやおや……何やら乱闘騒ぎがあったと聞いて来てみれば、僕の担当パーティでしたねぇ」
そう言って現れたのは中肉中背の茶色の長い髪の男。この男もギルド員だ。何度か受付で見た事がある。
「トーマス、街中での乱闘があったがもう解決した」
丸眼鏡を掛けた糸目の男、トーマスはバルドルの言葉を聞いて、顎に手を当て首を傾げる。
「彼らは明日、商隊の護衛をしてもらう予定だったのですが、あの様子では仕事どころではないでしょう。困りましたねぇ」
などと言っているがその目は冷たく私の方を見ていた。
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