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冒険者
正式なパーティ
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「分かった!ただし抽出に少し時間が掛かるからな。出来上がるまでは今の武器で頑張ってくれ」
「はい!」
ついでに芽依の小剣と防具を点検してもらう事になった。
「ほお…コイツは良い出来だ」
小剣と軽鎧を見せると感心しながら細部まで点検してくれた。
「まだまだ大丈夫だが、自分でも簡単な手入れを覚えた方がいいぞ。殆どやっていないだろう?」
「はい。全然やってないです」
「よし、俺が手入れの仕方を教えてやるからな」
「お願いします!」
ハンクは芽依に剣の手入れを丁寧に教えてくれた。
「錆があったら砥石で軽く表面を削るんだ。仕上げにオイルを塗って……これでよし!」
「ピカピカになった!」
「砥石とオイルと拭き取り用の布はやるよ。それが擦り切れたら今度は新しいのを買ってくれ」
「ありがとうございます!」
芽依は嬉しそうにニコニコ顔でお礼を言っている。
その他鎧については問題なし。留め金部分の錆に気をつける様に指導していた。
「小剣二本はコイツと同じ位で良いのかい?」
「はい!」
「よっしゃ、久し振りに腕が振るえるな!」
ハンクも張り切っている。
「それで料金はどれくらい掛かりますか?」
「抽出の手数料と製造で、五千ってトコだな」
「分かりました」
「一週間は見ておいてくれ」
「宜しくお願いします!」
私達の用事は終わり。
「ハンクさん、この剣の鞘を作ってくれないか?」
セロはあの剣の鞘を作るらしい。
あの剣は台座から引き抜いたままなので鞘なんて何処にもなかった。
西洋の剣と同じ様なので、少し触ったくらいで切れたりはしないから抜身でぶら下げていても大丈夫だった。
しかし見栄えが悪い。
なのでハンクに見せて鞘を作ってもらう事にしたのだと言っていた。
「おう、剣を見せてもらえるか?」
「すみません。これ、所有者指定が付いていてメチャ重いですよ」
「そうか。じゃあそこの台に置いてくれ」
セロはヴォーリヤアステールを台に置く。ハンクは素早く採寸して言う。
「コイツなら今ある鞘を少しいじれば合うやつが奥にあるぞ。ちょっと待ってろ」
そう言ってハンクは奥に引っ込んでガタゴトと何やら大きな物音を立てていた。
少しして一本の鞘を手に戻ってくる。
「コイツを試してくれ。合うはずだ」
セロは受け取ると長剣を鞘に納める。
「凄い、ピッタリだ」
「だろ?」
「幾らですか?」
「そうだな……二百でいいぞ」
「ありがとうハンクさん」
使わなくなった方の長剣は持っていても重いだけなので売る事にした。
その長剣の買取り価格が二百だったので金銭のやり取りはせずに済んだ。
「しかしセロよ、両手に花どころか両手に花束だな!」
「ハルさんとメイさんは正式なパーティじゃないよ」
セロは照れながらもハッキリと否定した。
「私はハルさん達がこれからも一緒に組んでくれたら嬉しいけどな……」
「私もです。もしハルさんとメイさんが良かったら正式にパーティを組みませんか?」
彼らには既に色々話してしまっているし、一緒に仕事をしてみた感じでは相性も良さそうだ。
「芽依はどうしたい?」
「私はパーティ組みたいよ。お母さんが良いって言うなら」
「私も賛成よ」
「じゃあ、宜しくお願いします!」
「ありがとう!こちらこそよろしく!」
私と芽依は三人と代わる代わる握手をしていく。
「良かったじゃねぇか。お前ら三人じゃ危なっかしかったからな」
ハンクは笑いながら言っている。
子供にしか見えない私達を冒険者として扱ってくれている様だ。
「私達まだ最低ランクだけどね」
「お嬢ちゃんの剣を見せてもらったが、剣の扱いが丁寧なのが分かった。かなり腕の立つ剣士だろ?」
「えへへ、それほどでも……」
「芽依はウルゼイドの剣術大会での最高成績は一般の部準優勝よ」
照れて顔の緩んでいる芽依の横で補足すると、ハンクと三人は固まってしまった。
「マジ?」
「うん!」
鍛冶屋に驚きの声がこだました。
「はい!」
ついでに芽依の小剣と防具を点検してもらう事になった。
「ほお…コイツは良い出来だ」
小剣と軽鎧を見せると感心しながら細部まで点検してくれた。
「まだまだ大丈夫だが、自分でも簡単な手入れを覚えた方がいいぞ。殆どやっていないだろう?」
「はい。全然やってないです」
「よし、俺が手入れの仕方を教えてやるからな」
「お願いします!」
ハンクは芽依に剣の手入れを丁寧に教えてくれた。
「錆があったら砥石で軽く表面を削るんだ。仕上げにオイルを塗って……これでよし!」
「ピカピカになった!」
「砥石とオイルと拭き取り用の布はやるよ。それが擦り切れたら今度は新しいのを買ってくれ」
「ありがとうございます!」
芽依は嬉しそうにニコニコ顔でお礼を言っている。
その他鎧については問題なし。留め金部分の錆に気をつける様に指導していた。
「小剣二本はコイツと同じ位で良いのかい?」
「はい!」
「よっしゃ、久し振りに腕が振るえるな!」
ハンクも張り切っている。
「それで料金はどれくらい掛かりますか?」
「抽出の手数料と製造で、五千ってトコだな」
「分かりました」
「一週間は見ておいてくれ」
「宜しくお願いします!」
私達の用事は終わり。
「ハンクさん、この剣の鞘を作ってくれないか?」
セロはあの剣の鞘を作るらしい。
あの剣は台座から引き抜いたままなので鞘なんて何処にもなかった。
西洋の剣と同じ様なので、少し触ったくらいで切れたりはしないから抜身でぶら下げていても大丈夫だった。
しかし見栄えが悪い。
なのでハンクに見せて鞘を作ってもらう事にしたのだと言っていた。
「おう、剣を見せてもらえるか?」
「すみません。これ、所有者指定が付いていてメチャ重いですよ」
「そうか。じゃあそこの台に置いてくれ」
セロはヴォーリヤアステールを台に置く。ハンクは素早く採寸して言う。
「コイツなら今ある鞘を少しいじれば合うやつが奥にあるぞ。ちょっと待ってろ」
そう言ってハンクは奥に引っ込んでガタゴトと何やら大きな物音を立てていた。
少しして一本の鞘を手に戻ってくる。
「コイツを試してくれ。合うはずだ」
セロは受け取ると長剣を鞘に納める。
「凄い、ピッタリだ」
「だろ?」
「幾らですか?」
「そうだな……二百でいいぞ」
「ありがとうハンクさん」
使わなくなった方の長剣は持っていても重いだけなので売る事にした。
その長剣の買取り価格が二百だったので金銭のやり取りはせずに済んだ。
「しかしセロよ、両手に花どころか両手に花束だな!」
「ハルさんとメイさんは正式なパーティじゃないよ」
セロは照れながらもハッキリと否定した。
「私はハルさん達がこれからも一緒に組んでくれたら嬉しいけどな……」
「私もです。もしハルさんとメイさんが良かったら正式にパーティを組みませんか?」
彼らには既に色々話してしまっているし、一緒に仕事をしてみた感じでは相性も良さそうだ。
「芽依はどうしたい?」
「私はパーティ組みたいよ。お母さんが良いって言うなら」
「私も賛成よ」
「じゃあ、宜しくお願いします!」
「ありがとう!こちらこそよろしく!」
私と芽依は三人と代わる代わる握手をしていく。
「良かったじゃねぇか。お前ら三人じゃ危なっかしかったからな」
ハンクは笑いながら言っている。
子供にしか見えない私達を冒険者として扱ってくれている様だ。
「私達まだ最低ランクだけどね」
「お嬢ちゃんの剣を見せてもらったが、剣の扱いが丁寧なのが分かった。かなり腕の立つ剣士だろ?」
「えへへ、それほどでも……」
「芽依はウルゼイドの剣術大会での最高成績は一般の部準優勝よ」
照れて顔の緩んでいる芽依の横で補足すると、ハンクと三人は固まってしまった。
「マジ?」
「うん!」
鍛冶屋に驚きの声がこだました。
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