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冒険者
脱出
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倒れた芽依に駆け寄る。
「いったたたぁ……」
「芽依!大丈夫?」
「うん。受け身取り損なっちゃったけど平気」
そう言ってすぐに立ち上がる芽依。
念の為泉の水をかけておく。
「ありがとうお母さん。あの大きいのはどうなった?」
「それなら……」
振り返って竜頭戦士を見る。
セロが首の後ろに突き込んだのが致命傷となっていた。
うつ伏せに倒れたまま動かない竜頭戦士から剣を引き抜いている所だった。
私と芽依に気付いてこちらにやって来る。
「メイさん大丈夫?」
「うん、ちょっと痛かったけどもう平気」
リンとミラも駆け寄って来る。
「メイちゃん凄かったよ!何であんな事が出来るの?」
「うーん……何となくやってみたら出来ちゃった」
芽依ったら思いつきで剣を投げたのね。
「メイさんが剣を投げてくれたから倒せたよ。それに背中を駆け上がったり首の裏の弱点まで……本当に君は凄いよ」
「えへへ、褒めすぎだよセロさん」
くすぐったそうに身を捩る芽依。
「これで試練はお終いかしら?」
倒れて動かなくなった竜頭戦士を見ながら四人に訊いてみる。
「どうでしょう……他に敵は来ないみたいですが」
ミラはまだ弓矢を手にしたままだ。
「あの剣と盾って使えないかな?」
「えー?大き過ぎるんじゃない?」
芽依とリンはゆっくりと竜頭戦士に近付いて行く。
「奴が出てきた所は空いたままだね。あそこに進めって事だろうか?」
「進めそうな所はあそこしか無さそうだし、そういう事かも知れないわね」
私とセロは周囲を見渡しながら話をする。
「んー……!重い!」
「そりゃそうでしょ。芽依ちゃんには扱えないよ」
芽依は鉄骨の様な剣を持ち上げようとしていたけどビクともしない。
「でもずっとここにいたのに錆びてないって事は特殊な金属なんじゃないかなって」
今度は手で盾を叩きながら言っている芽依。
確かに普通の金属なら錆びるわよね。
何かに使えるかも知れないし貰っておきましょう。
「気になるなら持って帰りましょうか。指輪に入るならね」
「うん!」
芽依が指輪をかざすと目の前の盾が消える。続いて剣も格納することができた。
「出来た!」
「その指輪凄いね」
あんな大きなものが入るとは思わなかったわ。こんな凄い物を貰ってしまって良かったのかしら。
「俺達は遺跡から出なくちゃいけない。あそこから先に進めるみたいだけど、みんなはどう思う?」
「行くしかないですね」
「そうだね。かなり下に落ちてきちゃったみたいだし、あそこから外に出るしかないんじゃない?」
ミラとリンそう言っていた。
芽依も頷いている。
「私は……ここを作った者の言いなりにはなりたくありませんね」
「そんな事を言ってもあそこしか進む道は無いよ?」
芽依の言う通りだがそれが気に食わない。
「みんなはまだこの遺跡にいたい?」
「出来るなら直ぐにでも帰りたいかな」
「遺跡の探索なんて私達にはまだ早いです」
リンとミラは弱気だ。
「俺もこれ以上みんなを危険に晒したくない。先に進んでまた戦闘になったら次は犠牲者が出るかも知れないし」
セロも皆の事を考えてそう言った。
「それなら今すぐここを出ましょう」
「どうやって?」
芽依が聞き返して来る。
私は上を指差しながら続ける。
「飛んで出ましょう。カナエ、出来るわね?」
「はい勿論です!」
カナエが風の魔法で私達を宙に浮かせる。
「おおお……!?」
急に身体が浮き上がって戸惑うセロ。
「私達を助けてくれた時と同じ要領でここから出してくれるのですか?」
ミラは落ちてきた時に意識はあったし、風に包まれても落ち着いてる。
「そうだよー!上に飛べばすぐに脱出なんだよね?」
「ええ。カナエ、お願い」
「お任せください!」
カナエは器用に魔法を操って、私達を入ってきた穴の所まで運んでくれる。
「ありがとうカナエ。あとは歩いて帰れるわ」
「お役にたてて良かったです!」
「カナエちゃんまたね!」
このまま街まで運んでもらう事も考えたが、騒ぎになるといけないのでカナエにはここまでにしてもらった。
「いったたたぁ……」
「芽依!大丈夫?」
「うん。受け身取り損なっちゃったけど平気」
そう言ってすぐに立ち上がる芽依。
念の為泉の水をかけておく。
「ありがとうお母さん。あの大きいのはどうなった?」
「それなら……」
振り返って竜頭戦士を見る。
セロが首の後ろに突き込んだのが致命傷となっていた。
うつ伏せに倒れたまま動かない竜頭戦士から剣を引き抜いている所だった。
私と芽依に気付いてこちらにやって来る。
「メイさん大丈夫?」
「うん、ちょっと痛かったけどもう平気」
リンとミラも駆け寄って来る。
「メイちゃん凄かったよ!何であんな事が出来るの?」
「うーん……何となくやってみたら出来ちゃった」
芽依ったら思いつきで剣を投げたのね。
「メイさんが剣を投げてくれたから倒せたよ。それに背中を駆け上がったり首の裏の弱点まで……本当に君は凄いよ」
「えへへ、褒めすぎだよセロさん」
くすぐったそうに身を捩る芽依。
「これで試練はお終いかしら?」
倒れて動かなくなった竜頭戦士を見ながら四人に訊いてみる。
「どうでしょう……他に敵は来ないみたいですが」
ミラはまだ弓矢を手にしたままだ。
「あの剣と盾って使えないかな?」
「えー?大き過ぎるんじゃない?」
芽依とリンはゆっくりと竜頭戦士に近付いて行く。
「奴が出てきた所は空いたままだね。あそこに進めって事だろうか?」
「進めそうな所はあそこしか無さそうだし、そういう事かも知れないわね」
私とセロは周囲を見渡しながら話をする。
「んー……!重い!」
「そりゃそうでしょ。芽依ちゃんには扱えないよ」
芽依は鉄骨の様な剣を持ち上げようとしていたけどビクともしない。
「でもずっとここにいたのに錆びてないって事は特殊な金属なんじゃないかなって」
今度は手で盾を叩きながら言っている芽依。
確かに普通の金属なら錆びるわよね。
何かに使えるかも知れないし貰っておきましょう。
「気になるなら持って帰りましょうか。指輪に入るならね」
「うん!」
芽依が指輪をかざすと目の前の盾が消える。続いて剣も格納することができた。
「出来た!」
「その指輪凄いね」
あんな大きなものが入るとは思わなかったわ。こんな凄い物を貰ってしまって良かったのかしら。
「俺達は遺跡から出なくちゃいけない。あそこから先に進めるみたいだけど、みんなはどう思う?」
「行くしかないですね」
「そうだね。かなり下に落ちてきちゃったみたいだし、あそこから外に出るしかないんじゃない?」
ミラとリンそう言っていた。
芽依も頷いている。
「私は……ここを作った者の言いなりにはなりたくありませんね」
「そんな事を言ってもあそこしか進む道は無いよ?」
芽依の言う通りだがそれが気に食わない。
「みんなはまだこの遺跡にいたい?」
「出来るなら直ぐにでも帰りたいかな」
「遺跡の探索なんて私達にはまだ早いです」
リンとミラは弱気だ。
「俺もこれ以上みんなを危険に晒したくない。先に進んでまた戦闘になったら次は犠牲者が出るかも知れないし」
セロも皆の事を考えてそう言った。
「それなら今すぐここを出ましょう」
「どうやって?」
芽依が聞き返して来る。
私は上を指差しながら続ける。
「飛んで出ましょう。カナエ、出来るわね?」
「はい勿論です!」
カナエが風の魔法で私達を宙に浮かせる。
「おおお……!?」
急に身体が浮き上がって戸惑うセロ。
「私達を助けてくれた時と同じ要領でここから出してくれるのですか?」
ミラは落ちてきた時に意識はあったし、風に包まれても落ち着いてる。
「そうだよー!上に飛べばすぐに脱出なんだよね?」
「ええ。カナエ、お願い」
「お任せください!」
カナエは器用に魔法を操って、私達を入ってきた穴の所まで運んでくれる。
「ありがとうカナエ。あとは歩いて帰れるわ」
「お役にたてて良かったです!」
「カナエちゃんまたね!」
このまま街まで運んでもらう事も考えたが、騒ぎになるといけないのでカナエにはここまでにしてもらった。
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