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冒険者
襲撃
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「神聖魔法についてだったね。私の知っている事なら全部話すよ」
リンが神聖魔法について説明してくれる。
神聖魔法とは、神に祈って行使する魔法で、魔法元素を使用せずに発動できる不思議な力らしい。
詠唱も不要で、術者の神の奇跡を求める心の強さで効果が変わるそうだ。
神とは私が会ったあの子の事だろうか?
祈ればあの子が力を貸してくれるのか……?
実感が湧きそうにない。
そもそもこの大地に神聖魔法を行使する者は無数に居るだろう。その一人一人の祈りを聞き届けて力を貸していたら大変だろう。
きっともっと違った構造をしているのだろうが、リンが言った方法で発現出来るのならそれを教わってみたい。
「それって教えてもらう事は出来ませんか?」
「え?私がハルさんに……?別にいいけど」
「私も教わりたいです」
芽依も興味がある様だ。
「うん、いいよ。それなら明日から街の外で練習してみようか」
「皆さんはお仕事とか大丈夫なのですか?」
「まあ……一日や二日くらい休んでも大丈夫だよ」
セロはそう言っているが、あまり懐事情は良くなさそうだ。
「それなら私達と一緒に薬草採集をしながらでいかがでしょう?休憩時間に少しずつ教えて貰えればいいので」
「私達薬草集めるの得意なんだよ!パーティを組んで五人で均等に分けても結構稼げるよ」
芽依が付け加えて後押しする。
「そうなの?それは有難いけどいいのですか?採集場所を私達に教える事になってしまいますけど」
「いいですよ。また見つければ良いだけなので」
「それなら是非頼むよ」
明日からはセロ達と薬草採集をする事になった。
明朝、三の鐘…恐らく九時位に西門で待ち合わせをする事にして、三人とは別れた。
「初めて知らない人とパーティだね!」
「ええ。私達は素人だから失礼の無い様なしなくてはね」
部屋に戻ってお湯をもらって身体を拭きながら芽依と話をする。
「神聖魔法も教えてもらえるし、楽しみだよ」
ニコニコと笑顔でいる芽依を見ていると私も嬉しくなる。
少し早いが眠る事にした。
その夜。
時間はどれ位だろうか?街の喧騒も聞こえなくなった真夜中、聴き慣れない物音で目を覚ます。
……これは足音?音をたてない様にしている様だが木の軋む音が僅かに聞こえる。
《遠隔視野》で見てみると、一階の奥、階段付近に黒い服に身を包んだ五人が抜き足差し足で歩いていた。手には小刀。刃には何かが塗られている。
この宿の客は私達だけだ。奴らは私達を狙っているのだろう。
(お母さん……何か変だよ)
布団の中から顔だけ出して小声で話し掛けて来る芽依。
流石ね。こんな僅かな物音にも反応出来るなんて。
(私達を狙った賊が侵入したみたいよ。芽依は武器を手元に。ベッドの下に隠れて)
(うん)
音を立てない様にベッドから出て、下に潜り込む芽依。
私もそろりとベッドを出て扉の裏側で聞き耳を立てる。
「あなた方はお客様ではありませんね?」
「いつの間に……!?仕方ねぇ、コイツもやれ!」
ラティーシアが物音に気付いて出て来てしまったか……!
「芽依、ラティーシアが賊と出会したわ。助けに行きます!」
芽依の返事を待たずに扉を勢いよく開けて廊下に飛び出す。階段に向かって走ると、下から黒ずくめの者が二人慌てた様子で駆け上がって来た。
「なっ!?テメェ……!」
先頭を走ってきた者は私に面識がある様だ。短刀を振りかざして襲いかかってくる。
後ろに下がりながら魔法で壁や廊下の板から木の枝を無数に飛び出させて行手を阻む。
「くそっ……また妙な魔法を使いやがって!」
枝を乱暴に切り付けるが短刀くらいでは切り裂けない。道を塞いでしまってはラティーシアを助けに行けない。直ぐに枝を操作して黒ずくめの二人を串刺しにする。
ただの枝なので致命傷にはならないが動きを止める事はできる。
そのまま枝を凍らせて固定した。
早くラティーシアを助けに行かなくては。
リンが神聖魔法について説明してくれる。
神聖魔法とは、神に祈って行使する魔法で、魔法元素を使用せずに発動できる不思議な力らしい。
詠唱も不要で、術者の神の奇跡を求める心の強さで効果が変わるそうだ。
神とは私が会ったあの子の事だろうか?
祈ればあの子が力を貸してくれるのか……?
実感が湧きそうにない。
そもそもこの大地に神聖魔法を行使する者は無数に居るだろう。その一人一人の祈りを聞き届けて力を貸していたら大変だろう。
きっともっと違った構造をしているのだろうが、リンが言った方法で発現出来るのならそれを教わってみたい。
「それって教えてもらう事は出来ませんか?」
「え?私がハルさんに……?別にいいけど」
「私も教わりたいです」
芽依も興味がある様だ。
「うん、いいよ。それなら明日から街の外で練習してみようか」
「皆さんはお仕事とか大丈夫なのですか?」
「まあ……一日や二日くらい休んでも大丈夫だよ」
セロはそう言っているが、あまり懐事情は良くなさそうだ。
「それなら私達と一緒に薬草採集をしながらでいかがでしょう?休憩時間に少しずつ教えて貰えればいいので」
「私達薬草集めるの得意なんだよ!パーティを組んで五人で均等に分けても結構稼げるよ」
芽依が付け加えて後押しする。
「そうなの?それは有難いけどいいのですか?採集場所を私達に教える事になってしまいますけど」
「いいですよ。また見つければ良いだけなので」
「それなら是非頼むよ」
明日からはセロ達と薬草採集をする事になった。
明朝、三の鐘…恐らく九時位に西門で待ち合わせをする事にして、三人とは別れた。
「初めて知らない人とパーティだね!」
「ええ。私達は素人だから失礼の無い様なしなくてはね」
部屋に戻ってお湯をもらって身体を拭きながら芽依と話をする。
「神聖魔法も教えてもらえるし、楽しみだよ」
ニコニコと笑顔でいる芽依を見ていると私も嬉しくなる。
少し早いが眠る事にした。
その夜。
時間はどれ位だろうか?街の喧騒も聞こえなくなった真夜中、聴き慣れない物音で目を覚ます。
……これは足音?音をたてない様にしている様だが木の軋む音が僅かに聞こえる。
《遠隔視野》で見てみると、一階の奥、階段付近に黒い服に身を包んだ五人が抜き足差し足で歩いていた。手には小刀。刃には何かが塗られている。
この宿の客は私達だけだ。奴らは私達を狙っているのだろう。
(お母さん……何か変だよ)
布団の中から顔だけ出して小声で話し掛けて来る芽依。
流石ね。こんな僅かな物音にも反応出来るなんて。
(私達を狙った賊が侵入したみたいよ。芽依は武器を手元に。ベッドの下に隠れて)
(うん)
音を立てない様にベッドから出て、下に潜り込む芽依。
私もそろりとベッドを出て扉の裏側で聞き耳を立てる。
「あなた方はお客様ではありませんね?」
「いつの間に……!?仕方ねぇ、コイツもやれ!」
ラティーシアが物音に気付いて出て来てしまったか……!
「芽依、ラティーシアが賊と出会したわ。助けに行きます!」
芽依の返事を待たずに扉を勢いよく開けて廊下に飛び出す。階段に向かって走ると、下から黒ずくめの者が二人慌てた様子で駆け上がって来た。
「なっ!?テメェ……!」
先頭を走ってきた者は私に面識がある様だ。短刀を振りかざして襲いかかってくる。
後ろに下がりながら魔法で壁や廊下の板から木の枝を無数に飛び出させて行手を阻む。
「くそっ……また妙な魔法を使いやがって!」
枝を乱暴に切り付けるが短刀くらいでは切り裂けない。道を塞いでしまってはラティーシアを助けに行けない。直ぐに枝を操作して黒ずくめの二人を串刺しにする。
ただの枝なので致命傷にはならないが動きを止める事はできる。
そのまま枝を凍らせて固定した。
早くラティーシアを助けに行かなくては。
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