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冒険者
野盗
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私は土の魔法で地面から石の槍を無数に出す。
不意をつかれた男達はそれに次々と貫かれていった。
地面から突き上げられ手足をビクビクと痙攣させているがすぐに動かなくなる。
「警告は一度だけよ。他にも仲間はいるのかしら?」
吊るされた男に聞く。
「くっ……化け物め……」
「答えなさい。聞く者も証言する者も一人いればいい」
そう言って黙ったままの男を見る。
もう一人の男は言った意味を理解して騒ぎ出す。
「わ、わかった!俺が全部喋るから殺さないでくれ!」
昏倒している男と両足を負傷している男も生きているのだ。話す気がない者は生かしておかないと脅したら素直に口を割った。
この男達は元々は盗賊らしく、冒険者として登録し、弱くて若い冒険者を言葉巧みに人目のつかない所へと誘導して暴行、人買いに売り渡していたそうだ。
「それで、買い取りに来るのは何時何処なの?」
「そ、それは言えねぇ……言ったら元締めに殺される」
「元締め、ね。まだ仲間がいるという事ね」
しまったといった顔をして口を噤んでいるがもう遅い。
「洗いざらい話しなさい。そうすれば死なずに済むわ」
「ふざけるな!ここで殺されなくても役人に突き出されればどの道死刑だ!」
男は開き直ってしまった。
「それもそうね。でも、ここで死ぬのはとても苦しい死に方になるけどいいかしら?」
「へっ!脅しても無駄だぜ!」
仕方が無い。前にやった方法でも試してみるか。
男の右脚に手を触れて《栄養吸収》を使用。脚のみを枯れ木の様に変える。
「な、な、何を……」
狼狽る男。構わずその脚を持ち、足首を捻って折る。ゴロリと地面に転がる足。
男は声にならない悲鳴を上げる。
「次は膝からいくわよ」
「ひぃっ……や、やめてくれ……話す!話すから……」
泣きながら懇願してくる男。
泉の水をかけて脚は再生しておく。
連行する時に歩けないと面倒だからだ。
昏倒している男と脚を怪我している男も治療してツタで縛り付けておく。
この男達を従えている者がいるらしく、その男の指示で人攫いを繰り返していたらしい。
少年の方は殺して、少女二人は明朝にこの森の奥で人買いに売り渡す予定だったそうだ。
「お母さん……」
三人のいる所からこちらにやって来た芽依の顔色が悪い。人の死ぬ所を見るのに慣れていないからだろう。
「芽依、この男達の所業を許す訳にはいかないわ。人買いもまとめて捕らえようと思うのだけど、芽依はその子達と一緒に街に戻れる?」
「私はお母さんと一緒に戦うよ。チームだもん」
芽依は私を一人にさせる気はない様だ。
「分かったわ。一緒に悪党を捕らえましょう」
この子の戦闘力なら問題ないだろう。いざとなれば逃げてくれればいい。
そうと決まればあの三人には街に戻ってもらい、この事を知らせてもらおう。
「あの……助けていただいたありがとうございました」
少年も目を覚ましたらしく、横たわったまま礼を言ってくる。
「偶々見つけただけだから気にしないで。それよりもあなた達にはこの事を街に知らせてもらいたいのだけど、動けそう?」
「はい。何とか」
少女二人に支えられながら身体を起こす。
「この水を飲んでおいて。失った血を回復してくれるわ」
水筒に入れた泉の水を飲ませる。
「スゴい……身体が動く!」
少年は何事も無かったかの様に立ち上がり身体を動かしている。
「じゃあ街の方へ知らせるのを任せるわね。私はハル、こっちは芽依よ。昨日冒険者になったわ。ギルドのリフィナさんかバルドルさんなら私達の事を知っているから伝えて」
「分かりました!」
三人は森を逆戻り街を目指して歩き出す。
死んでいる男達はそのままにして、ツタを巻き付けた男四人を歩ける様にして道案内をさせた。
念の為逃げられない様に互いをツタで連結しておく。
森の奥の合流地点に着いたので、男達に野営の準備をさせて、明日の夜明けを待つ事にした。
不意をつかれた男達はそれに次々と貫かれていった。
地面から突き上げられ手足をビクビクと痙攣させているがすぐに動かなくなる。
「警告は一度だけよ。他にも仲間はいるのかしら?」
吊るされた男に聞く。
「くっ……化け物め……」
「答えなさい。聞く者も証言する者も一人いればいい」
そう言って黙ったままの男を見る。
もう一人の男は言った意味を理解して騒ぎ出す。
「わ、わかった!俺が全部喋るから殺さないでくれ!」
昏倒している男と両足を負傷している男も生きているのだ。話す気がない者は生かしておかないと脅したら素直に口を割った。
この男達は元々は盗賊らしく、冒険者として登録し、弱くて若い冒険者を言葉巧みに人目のつかない所へと誘導して暴行、人買いに売り渡していたそうだ。
「それで、買い取りに来るのは何時何処なの?」
「そ、それは言えねぇ……言ったら元締めに殺される」
「元締め、ね。まだ仲間がいるという事ね」
しまったといった顔をして口を噤んでいるがもう遅い。
「洗いざらい話しなさい。そうすれば死なずに済むわ」
「ふざけるな!ここで殺されなくても役人に突き出されればどの道死刑だ!」
男は開き直ってしまった。
「それもそうね。でも、ここで死ぬのはとても苦しい死に方になるけどいいかしら?」
「へっ!脅しても無駄だぜ!」
仕方が無い。前にやった方法でも試してみるか。
男の右脚に手を触れて《栄養吸収》を使用。脚のみを枯れ木の様に変える。
「な、な、何を……」
狼狽る男。構わずその脚を持ち、足首を捻って折る。ゴロリと地面に転がる足。
男は声にならない悲鳴を上げる。
「次は膝からいくわよ」
「ひぃっ……や、やめてくれ……話す!話すから……」
泣きながら懇願してくる男。
泉の水をかけて脚は再生しておく。
連行する時に歩けないと面倒だからだ。
昏倒している男と脚を怪我している男も治療してツタで縛り付けておく。
この男達を従えている者がいるらしく、その男の指示で人攫いを繰り返していたらしい。
少年の方は殺して、少女二人は明朝にこの森の奥で人買いに売り渡す予定だったそうだ。
「お母さん……」
三人のいる所からこちらにやって来た芽依の顔色が悪い。人の死ぬ所を見るのに慣れていないからだろう。
「芽依、この男達の所業を許す訳にはいかないわ。人買いもまとめて捕らえようと思うのだけど、芽依はその子達と一緒に街に戻れる?」
「私はお母さんと一緒に戦うよ。チームだもん」
芽依は私を一人にさせる気はない様だ。
「分かったわ。一緒に悪党を捕らえましょう」
この子の戦闘力なら問題ないだろう。いざとなれば逃げてくれればいい。
そうと決まればあの三人には街に戻ってもらい、この事を知らせてもらおう。
「あの……助けていただいたありがとうございました」
少年も目を覚ましたらしく、横たわったまま礼を言ってくる。
「偶々見つけただけだから気にしないで。それよりもあなた達にはこの事を街に知らせてもらいたいのだけど、動けそう?」
「はい。何とか」
少女二人に支えられながら身体を起こす。
「この水を飲んでおいて。失った血を回復してくれるわ」
水筒に入れた泉の水を飲ませる。
「スゴい……身体が動く!」
少年は何事も無かったかの様に立ち上がり身体を動かしている。
「じゃあ街の方へ知らせるのを任せるわね。私はハル、こっちは芽依よ。昨日冒険者になったわ。ギルドのリフィナさんかバルドルさんなら私達の事を知っているから伝えて」
「分かりました!」
三人は森を逆戻り街を目指して歩き出す。
死んでいる男達はそのままにして、ツタを巻き付けた男四人を歩ける様にして道案内をさせた。
念の為逃げられない様に互いをツタで連結しておく。
森の奥の合流地点に着いたので、男達に野営の準備をさせて、明日の夜明けを待つ事にした。
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