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冒険者
出発
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ホワイトビークは茶色と黒の美しい毛並みをしていてクチバシが真っ白だった。
「初めまして。あなたが連絡役をしてくれるのね?」
『はい。私を眷属にしてくだされば私はハル様とメイ様が何処にいても見つけられます』
「分かりました。名付けをすれば良いのね?そうね……オオトリでいいかしら?」
『ありがとうございます!我はオオトリ。ハル様とメイ様にお仕えして参ります!』
一回り大きくなって毛並みが虹色に輝き出した。
「わあっ!綺麗!」
芽依は大喜びだ。
『ありがとうございますメイ様』
「うん!よろしくねオオトリ!」
そういえば芽依は人間なのに動物の彼らと会話が出来ている。アインは話せなかったけど、何か違いがあるのだろうか?
「んーよく分からないけど、言ってる事は分かるよ。カクカミ達とも普通に話出来たし、普通だと思ってた」
「そういえばそうだね。あまりにも普通に話していたから違和感に気付かなかったよ」
颯太も気にした事は無かった様だ。
☆★☆★☆★☆★
学校の手続きが完了して今度は旅をする為の装備を合わせる事に。
服はメアリーとアンナが、装備の扱い方は従者が教えてくれた。
芽依は革製の軽鎧に白のケープ付きハーフコート。腰に小剣を二本と短剣を一本。
服は白のブラウスにジーンズの様なロングのズボン、編み上げの白のロングブーツ。
芽依は何を着せても可愛いわね。
私も白のブラウスに薄桃色の長めのスカート。黒の厚手の外套にブーツ。護身用に短剣も持たせてくれた。
一応使い方を教えてもらったけど、栄養吸収か魔法攻撃の方が早い。
そう思っていたが「持っている事が大切なんです」と説明された。
「お母さんは私が護るからね」
「ありがとう。私も芽依を護るからね」
二人で笑いながら話をする。
「お二人は私などよりもずっとお強い。しかし見た目で寄ってくる輩は多いでしょうから充分にお気を付けください」
従者は私達の事を心配してくれている。
「そうだね。母さんもメイも悪い人に気を付けるんだよ」
「分かっているわよ。人の善悪は見極められるから大丈夫よ」
颯太も心配しているが、その点は大丈夫だと言い切れる。私としては暴力で解決する事になった時にやり過ぎてしまわないかが心配だ。
あとは二人に《ストレージ》という魔法が込められた指輪をくれた。その中には着替えや医薬品、水や食料、野営用の調理道具に食器まで一通り入っている。使い方を教わり旅の準備は完了。
最後に二人とも背中には小さな鞄を背負う。これの中身はロープや折り畳まれた革の袋、様々な用途に使える大きめの布などが入っていた。
「鞄を持っていないと《ストレージ》のマジックアイテム持ちだと直ぐに分かってしまいます。その為にこれらは背負っておいでください」
「色々考えられているのね。分かったわ」
これで全ての用意が整った。明日の明け方にはここを出てトコヤミに人間の町の近くまで送ってもらう事になっている。
今晩はこの屋敷での最後の夜だ。私達の世話をしてくれた皆に礼を言い、心ばかりだが颯太からは世界樹の実を、私からは泉の水を全員に渡す。
「こんな物でしかお礼の気持ちを表せないけど、皆が居てくれて助かりました。本当にありがとう」
「いえ、これほどの物を私共にくださり感謝の言葉もございません」
執事をはじめ使用人は皆喜んでくれていた。
翌日、夜明け前に起きて食事をとり身支度を整えると街の外でトコヤミに乗って東にある人間の街に向かって移動する。
見送りにはアルザハーンにイルザハーン、ロイドやウェーク、先生達にセシリア達も来てくれていた。
皆に見送りの礼と別れの挨拶をして私達は出発する。
夜の冷たい風を切り裂いてトコヤミは飛ぶ。彼の黒い身体は闇に溶け込んで街の近くまで私達を運んでくれた。
さあ、いよいよ旅の始まりだ。
「初めまして。あなたが連絡役をしてくれるのね?」
『はい。私を眷属にしてくだされば私はハル様とメイ様が何処にいても見つけられます』
「分かりました。名付けをすれば良いのね?そうね……オオトリでいいかしら?」
『ありがとうございます!我はオオトリ。ハル様とメイ様にお仕えして参ります!』
一回り大きくなって毛並みが虹色に輝き出した。
「わあっ!綺麗!」
芽依は大喜びだ。
『ありがとうございますメイ様』
「うん!よろしくねオオトリ!」
そういえば芽依は人間なのに動物の彼らと会話が出来ている。アインは話せなかったけど、何か違いがあるのだろうか?
「んーよく分からないけど、言ってる事は分かるよ。カクカミ達とも普通に話出来たし、普通だと思ってた」
「そういえばそうだね。あまりにも普通に話していたから違和感に気付かなかったよ」
颯太も気にした事は無かった様だ。
☆★☆★☆★☆★
学校の手続きが完了して今度は旅をする為の装備を合わせる事に。
服はメアリーとアンナが、装備の扱い方は従者が教えてくれた。
芽依は革製の軽鎧に白のケープ付きハーフコート。腰に小剣を二本と短剣を一本。
服は白のブラウスにジーンズの様なロングのズボン、編み上げの白のロングブーツ。
芽依は何を着せても可愛いわね。
私も白のブラウスに薄桃色の長めのスカート。黒の厚手の外套にブーツ。護身用に短剣も持たせてくれた。
一応使い方を教えてもらったけど、栄養吸収か魔法攻撃の方が早い。
そう思っていたが「持っている事が大切なんです」と説明された。
「お母さんは私が護るからね」
「ありがとう。私も芽依を護るからね」
二人で笑いながら話をする。
「お二人は私などよりもずっとお強い。しかし見た目で寄ってくる輩は多いでしょうから充分にお気を付けください」
従者は私達の事を心配してくれている。
「そうだね。母さんもメイも悪い人に気を付けるんだよ」
「分かっているわよ。人の善悪は見極められるから大丈夫よ」
颯太も心配しているが、その点は大丈夫だと言い切れる。私としては暴力で解決する事になった時にやり過ぎてしまわないかが心配だ。
あとは二人に《ストレージ》という魔法が込められた指輪をくれた。その中には着替えや医薬品、水や食料、野営用の調理道具に食器まで一通り入っている。使い方を教わり旅の準備は完了。
最後に二人とも背中には小さな鞄を背負う。これの中身はロープや折り畳まれた革の袋、様々な用途に使える大きめの布などが入っていた。
「鞄を持っていないと《ストレージ》のマジックアイテム持ちだと直ぐに分かってしまいます。その為にこれらは背負っておいでください」
「色々考えられているのね。分かったわ」
これで全ての用意が整った。明日の明け方にはここを出てトコヤミに人間の町の近くまで送ってもらう事になっている。
今晩はこの屋敷での最後の夜だ。私達の世話をしてくれた皆に礼を言い、心ばかりだが颯太からは世界樹の実を、私からは泉の水を全員に渡す。
「こんな物でしかお礼の気持ちを表せないけど、皆が居てくれて助かりました。本当にありがとう」
「いえ、これほどの物を私共にくださり感謝の言葉もございません」
執事をはじめ使用人は皆喜んでくれていた。
翌日、夜明け前に起きて食事をとり身支度を整えると街の外でトコヤミに乗って東にある人間の街に向かって移動する。
見送りにはアルザハーンにイルザハーン、ロイドやウェーク、先生達にセシリア達も来てくれていた。
皆に見送りの礼と別れの挨拶をして私達は出発する。
夜の冷たい風を切り裂いてトコヤミは飛ぶ。彼の黒い身体は闇に溶け込んで街の近くまで私達を運んでくれた。
さあ、いよいよ旅の始まりだ。
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