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養育
移住
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数回に分けてダークエルフを泉へと運ぶ。
一度泉で彼らの話を聞く事にした。
「さて、私は自分の身を守るとはいえ、あなた達の家族を殺しました。私はゾルと約束したからあなた達をディアブレルから解放しました。もう自由です」
「精霊様、ありがとうございました。そして命じられていたとはいえ生命を狙い申し訳ありません」
そう言って来たのは首長なのだろうダークエルフの青年だ。
彼らもエルフと同じである程度までしか歳を取らないらしく、老人どころか中年も見当たらない。
「済んだ事として水に流したいと思います」
「ありがとうございます……」
全員が跪いて首を垂れていた。
私に対して憎しみを抱く者もいるだろう。いずれ敵対してくる可能性もある。
その時は完全に滅ぼすしかないが、それは今ではない。
「行くところが無いのならあなた達に住処を与えましょう。エルフと同じ山の麓になりますが構いませんか?」
「それはもう……」
彼らに行く当てがない事は分かっていた。
あの地ならエルフ達に世話を任せられるしトコヤミの住処の側なので何かあればすぐに分かる。
それよりも一つ聞いておきたい事があった。
「ところであなた達は住処を追われてディアブレルに行ったそうだけど、何が攻めて来たの?」
「あれは魔物の群れでした」
ダークエルフの長が言うには集落を襲って来たのは様々な魔物達だったらしい。
それらを纏めていたのは竜だったと言う。
「竜が他種族を従えるのは普通の事なの?」
『我ら竜種は下等な生物を飼う趣向はありません。飼うくらいなら糧にするでしょう』
トコヤミに聞いたらもっともな意見を返してきた。
長は具体的に挙げてくれた。
リザードマンという蜥蜴人間や上半身が人で下半身が馬のケンタウロス。ハーピィという鳥と人間の混ざった様な生き物に二足歩行の狼や虎もいたそうだ。
「奴らはかなりの規模で各地の集落を攻撃している様です」
北部の町も彼らの仕業かも知れない。
私達の所には被害が出ていないが、いずれ接触する事になるだろう。大森林に住む全てのものに警戒を促しておいた方がいいかも知らない。
「ありがとう。トコヤミの住処の山に住んでいる限りあなた達の身の安全は保証しましょう。何かあればトコヤミに言いなさい」
「はい。ありがとうございます」
ダークエルフ達はトコヤミに送ってもらい、私は芽依に会いに行く。家に入ると芽依が出迎えてくれた。
「お母さん!」
「ただいま。終わったからもう大丈夫よ」
抱きついてくる芽依。頭を撫でて落ち着かせる。目に涙を浮かべていた。
「私ね、もっともっと強くなる。それでお母さんとお兄ちゃんを守れる様になる」
「ええ。でも背伸びはしなくていいのよ。芽依は自分のペースで色んな事を学んでいけばいいわ」
「うん。頑張る」
芽依は頷く。真剣な眼差しには何か決意の様なものが宿っている気がした。
☆★☆★☆★☆★
あれから更に三年が経った。
私は学校で教師を続け、芽依は十二歳で高等武術科に飛び級していた。
芽依はあれから三回、剣術大会一般の部に出場しているが優勝は出来ていない。
一度目は準々決勝、二度目は準決勝、今年は決勝戦で冒険者の男に負けた。
「勝者、ロイド!」
「むぅ~また負けたぁ……」
「はっはっはっ!中々良かったがまだ俺の方が強かったな!」
剣術大会の決勝戦は、去年の準決勝のカードと同じだった。
ロイドは芽依が八歳と九歳の時にエキシビジョンで戦った冒険者だ。彼はこの国一番の冒険者として名を馳せている。
そんな彼は三年前のあの一件以来私達の護衛として屋敷に詰めており、通学の時には馬車に乗っている。
芽依はすぐに彼と打ち解けてより実践的な剣術を教わっていた。
「今年こそ勝てると思ったのに~……」
ペタリと座り込んで天を仰ぎ、悔しそうにしている芽依。
惜しかったわね。でも、来年には勝てるかも知れないわ。
私達は健闘を称えて拍手を送った。
一度泉で彼らの話を聞く事にした。
「さて、私は自分の身を守るとはいえ、あなた達の家族を殺しました。私はゾルと約束したからあなた達をディアブレルから解放しました。もう自由です」
「精霊様、ありがとうございました。そして命じられていたとはいえ生命を狙い申し訳ありません」
そう言って来たのは首長なのだろうダークエルフの青年だ。
彼らもエルフと同じである程度までしか歳を取らないらしく、老人どころか中年も見当たらない。
「済んだ事として水に流したいと思います」
「ありがとうございます……」
全員が跪いて首を垂れていた。
私に対して憎しみを抱く者もいるだろう。いずれ敵対してくる可能性もある。
その時は完全に滅ぼすしかないが、それは今ではない。
「行くところが無いのならあなた達に住処を与えましょう。エルフと同じ山の麓になりますが構いませんか?」
「それはもう……」
彼らに行く当てがない事は分かっていた。
あの地ならエルフ達に世話を任せられるしトコヤミの住処の側なので何かあればすぐに分かる。
それよりも一つ聞いておきたい事があった。
「ところであなた達は住処を追われてディアブレルに行ったそうだけど、何が攻めて来たの?」
「あれは魔物の群れでした」
ダークエルフの長が言うには集落を襲って来たのは様々な魔物達だったらしい。
それらを纏めていたのは竜だったと言う。
「竜が他種族を従えるのは普通の事なの?」
『我ら竜種は下等な生物を飼う趣向はありません。飼うくらいなら糧にするでしょう』
トコヤミに聞いたらもっともな意見を返してきた。
長は具体的に挙げてくれた。
リザードマンという蜥蜴人間や上半身が人で下半身が馬のケンタウロス。ハーピィという鳥と人間の混ざった様な生き物に二足歩行の狼や虎もいたそうだ。
「奴らはかなりの規模で各地の集落を攻撃している様です」
北部の町も彼らの仕業かも知れない。
私達の所には被害が出ていないが、いずれ接触する事になるだろう。大森林に住む全てのものに警戒を促しておいた方がいいかも知らない。
「ありがとう。トコヤミの住処の山に住んでいる限りあなた達の身の安全は保証しましょう。何かあればトコヤミに言いなさい」
「はい。ありがとうございます」
ダークエルフ達はトコヤミに送ってもらい、私は芽依に会いに行く。家に入ると芽依が出迎えてくれた。
「お母さん!」
「ただいま。終わったからもう大丈夫よ」
抱きついてくる芽依。頭を撫でて落ち着かせる。目に涙を浮かべていた。
「私ね、もっともっと強くなる。それでお母さんとお兄ちゃんを守れる様になる」
「ええ。でも背伸びはしなくていいのよ。芽依は自分のペースで色んな事を学んでいけばいいわ」
「うん。頑張る」
芽依は頷く。真剣な眼差しには何か決意の様なものが宿っている気がした。
☆★☆★☆★☆★
あれから更に三年が経った。
私は学校で教師を続け、芽依は十二歳で高等武術科に飛び級していた。
芽依はあれから三回、剣術大会一般の部に出場しているが優勝は出来ていない。
一度目は準々決勝、二度目は準決勝、今年は決勝戦で冒険者の男に負けた。
「勝者、ロイド!」
「むぅ~また負けたぁ……」
「はっはっはっ!中々良かったがまだ俺の方が強かったな!」
剣術大会の決勝戦は、去年の準決勝のカードと同じだった。
ロイドは芽依が八歳と九歳の時にエキシビジョンで戦った冒険者だ。彼はこの国一番の冒険者として名を馳せている。
そんな彼は三年前のあの一件以来私達の護衛として屋敷に詰めており、通学の時には馬車に乗っている。
芽依はすぐに彼と打ち解けてより実践的な剣術を教わっていた。
「今年こそ勝てると思ったのに~……」
ペタリと座り込んで天を仰ぎ、悔しそうにしている芽依。
惜しかったわね。でも、来年には勝てるかも知れないわ。
私達は健闘を称えて拍手を送った。
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