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養育
剣術
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何度か芽依の打ち込みを受けてブライドンが言う。
「なかなか良い筋をしているな!」
「あれやりたい!」
芽依が言っているのは一対一の模擬戦の事だった。
「いやいや、流石にお嬢ちゃんには早いだろう」
「そうね芽依にはまだ早いわよ」
「むー……やってみたい~」
駄々をこねる所は子供らしくて可愛いわ。
「じゃあ僕とやろうか?」
颯太がそう言うと芽依は目を輝かせて大きく頷いた。
「大丈夫なの?」
「うん、メイだって少しやったら満足するだろうし、子供のする事だからね。ブライドンさん、木剣を貸してもらえる?」
「おう」
木剣を受け取って片手で構える颯太。
「さあ、いいよ」
「うん!」
嬉しそうに小木剣を構えて斬りかかる芽依。それを受け止める颯太。
芽依は教えていない連撃を颯太に向かって当て始める。颯太は片手で捌いているけど半歩後ろに下がった。
「ほう、あの嬢ちゃんスゲェな……」
両手で持った木剣で勢いよく斬りかかる芽依を見て感心しているブライドン。
「メイ、もういいかな?僕、疲れちゃったよ」
颯太は余裕だけど、芽依が怪我をしないか心配なのだろう。そう言えば芽依はやめてくれると思ったのだが……
「おにーちゃんよゆーじゃん!もっとあそぼーよ!」
不満の声をあげた芽依は両手で持つのをやめて片手で木剣を振り始めた。
さっきよりも動きがいいわね。
芽依は身体を動かすのが好きみたいだわ。
「おいおいあの動き……お嬢ちゃんは何か武術を?」
「いいえ、特には何もやっていません」
芽依は自分で工夫をして斬り込むタイミングや場所を変えて攻撃はしている。
身体の小ささを利点に、颯太の死角に滑り込んで攻撃。
芽依は賢いわね。
颯太も死角に入り込まれても冷静に対処している。ただ、芽依の動きが良くなって行くのに対して困惑し、大きく避ける事が多くなってきた。
そろそろ止めてあげないと颯太が可哀想だわ。
「メイ、もうやめよう。これ以上は怪我をしちゃうよ」
「や!もっとやるの!」
芽依は颯太に攻撃が届かないのが不満の様だ。
颯太は仕方ないといった様子で、芽依の攻撃を受け止めて木剣を跳ね上げると、素早く抱え上げてしまう。
「やー!もっとやるのー!」
「もうお終いだよ。僕も疲れちゃったし、また今度にしようね」
ジタバタと暴れる芽依を笑いながら颯太は抱えている。
「芽依、颯太を困らせちゃ駄目よ?それにもっとやりたければまた来れば良いじゃない」
「……うん」
私が言うと芽依はしょんぼりとしながら頷いた。
このままおてんばに育ったらどうしようか?いや、それも芽依の自由なのだから良いだろう。
「ブライドン先生、これから度々来させて頂いてもよろしいですか?」
「あ、ああ!勿論だとも」
「明日もくるー!」
芽依は毎日来たがりそうね。
特にやらなければいけない事がある訳でもないから、興味を持った事は何でもやらせてあげよう。
「君も良い体捌きをしているじゃないか。これから剣術を修めてみる気はないか?君なら良い剣士になれる」
「悪いけど僕は剣術に興味はないんだ」
「そうか……残念だ」
颯太も良い動きをしていた。それは身体能力だけでやっていた事だし、本人自身も武術に興味はないと言う。
本気でやったらここの誰よりも強くなるだろう。
最後のはただの親馬鹿発言か。
「君、初等魔法科のハルじゃないか?」
近くにやってきて声を掛けてきたのは同じ初等科の生徒らしかった。黒髪赤目の背の高い男の子だ。
「ええ、あなたは?」
「俺は初等武術科のウェーク。魔法科のセシリアの双子の兄なんだ。妹がお世話になったみたいだから」
「初めまして」
彼は今度の剣術大会に出るらしく、授業後はここで修練を重ねているらしい。
「君の妹さんは凄いね。あんな動き初めてみたよ」
「あの子は私の娘なの」
「はっ……?」
今のやり取りを聞いていた全員がこちらを凝視している。
……どうしたのかしら?
「なかなか良い筋をしているな!」
「あれやりたい!」
芽依が言っているのは一対一の模擬戦の事だった。
「いやいや、流石にお嬢ちゃんには早いだろう」
「そうね芽依にはまだ早いわよ」
「むー……やってみたい~」
駄々をこねる所は子供らしくて可愛いわ。
「じゃあ僕とやろうか?」
颯太がそう言うと芽依は目を輝かせて大きく頷いた。
「大丈夫なの?」
「うん、メイだって少しやったら満足するだろうし、子供のする事だからね。ブライドンさん、木剣を貸してもらえる?」
「おう」
木剣を受け取って片手で構える颯太。
「さあ、いいよ」
「うん!」
嬉しそうに小木剣を構えて斬りかかる芽依。それを受け止める颯太。
芽依は教えていない連撃を颯太に向かって当て始める。颯太は片手で捌いているけど半歩後ろに下がった。
「ほう、あの嬢ちゃんスゲェな……」
両手で持った木剣で勢いよく斬りかかる芽依を見て感心しているブライドン。
「メイ、もういいかな?僕、疲れちゃったよ」
颯太は余裕だけど、芽依が怪我をしないか心配なのだろう。そう言えば芽依はやめてくれると思ったのだが……
「おにーちゃんよゆーじゃん!もっとあそぼーよ!」
不満の声をあげた芽依は両手で持つのをやめて片手で木剣を振り始めた。
さっきよりも動きがいいわね。
芽依は身体を動かすのが好きみたいだわ。
「おいおいあの動き……お嬢ちゃんは何か武術を?」
「いいえ、特には何もやっていません」
芽依は自分で工夫をして斬り込むタイミングや場所を変えて攻撃はしている。
身体の小ささを利点に、颯太の死角に滑り込んで攻撃。
芽依は賢いわね。
颯太も死角に入り込まれても冷静に対処している。ただ、芽依の動きが良くなって行くのに対して困惑し、大きく避ける事が多くなってきた。
そろそろ止めてあげないと颯太が可哀想だわ。
「メイ、もうやめよう。これ以上は怪我をしちゃうよ」
「や!もっとやるの!」
芽依は颯太に攻撃が届かないのが不満の様だ。
颯太は仕方ないといった様子で、芽依の攻撃を受け止めて木剣を跳ね上げると、素早く抱え上げてしまう。
「やー!もっとやるのー!」
「もうお終いだよ。僕も疲れちゃったし、また今度にしようね」
ジタバタと暴れる芽依を笑いながら颯太は抱えている。
「芽依、颯太を困らせちゃ駄目よ?それにもっとやりたければまた来れば良いじゃない」
「……うん」
私が言うと芽依はしょんぼりとしながら頷いた。
このままおてんばに育ったらどうしようか?いや、それも芽依の自由なのだから良いだろう。
「ブライドン先生、これから度々来させて頂いてもよろしいですか?」
「あ、ああ!勿論だとも」
「明日もくるー!」
芽依は毎日来たがりそうね。
特にやらなければいけない事がある訳でもないから、興味を持った事は何でもやらせてあげよう。
「君も良い体捌きをしているじゃないか。これから剣術を修めてみる気はないか?君なら良い剣士になれる」
「悪いけど僕は剣術に興味はないんだ」
「そうか……残念だ」
颯太も良い動きをしていた。それは身体能力だけでやっていた事だし、本人自身も武術に興味はないと言う。
本気でやったらここの誰よりも強くなるだろう。
最後のはただの親馬鹿発言か。
「君、初等魔法科のハルじゃないか?」
近くにやってきて声を掛けてきたのは同じ初等科の生徒らしかった。黒髪赤目の背の高い男の子だ。
「ええ、あなたは?」
「俺は初等武術科のウェーク。魔法科のセシリアの双子の兄なんだ。妹がお世話になったみたいだから」
「初めまして」
彼は今度の剣術大会に出るらしく、授業後はここで修練を重ねているらしい。
「君の妹さんは凄いね。あんな動き初めてみたよ」
「あの子は私の娘なの」
「はっ……?」
今のやり取りを聞いていた全員がこちらを凝視している。
……どうしたのかしら?
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