69 / 453
養育
授業
しおりを挟む
ルシアーナ先生の案内で教室に入る。
そこには芽依と同じくらいの子が二十人、私達を目を輝かせて見ていた。
皆魔族で、銀髪か黒髪で瞳の赤い子ばかりだ。
「今日から皆さんと一緒にお勉強する事になったハルさんとメイさんです。仲良くしてあげてくださいね」
『はーい!』
元気の良い返事。
こういう所は地球の学校と変わらない様だ。
私達の席は一番後ろに新しく用意されていた。
二人で並びあって着席する。
日本の小学校の様に一人ずつの机だけど、机一つ一つが大きくて立派な作りだ。家にある勉強机の豪華版といった感じ。椅子も布の張ってあり座り心地もかなり良い。
かなり身分の高い家の子供達なのだろうか?
そういえば教科書とか持っていないけどいらないのかしら。
「それでは早速授業を始めて参ります。ハルさんとメイさんは、引き出しの中に教科書が入っていますのでそちらを開いてくださいね」
引き出しを開けたら教科書の他にも羽ペンとインクと紙が数枚入っていた。教科書の表紙には[大陸共通語 初等]と書いてある。
おや……文字が読める……?
確かに日本語ではないし、英語でもない。しかし何となく読めてしまう。
元から読めるようにあの神様が調整してくれたのだろうか?
しかしあの時は文明が完全に破壊されていた。今の文明が興る前にそんな調整が出来るのか?
「おかーさんどうしたの?」
「ううん、何でもないわ、さあ、授業を受けましょう」
悩んでいても仕方ない。読めるなら良い事だし、原理を考察する必要はないだろう。
授業が始まり静かに聞いていると文字の書き取りをやっていく様だ。
良かった。途中入学だから芽依が周りの子について行けるか心配だったけど、これくらいなら直ぐに追いつけそうだ。
そして私の方は……
文字を書こうとすれば普通に書けてしまう。
つまり読み書きは問題なしだ。
これなら家に帰ってからも芽依に教えてあげられる。
一緒に幼児学校に入学するとなった時はどうなるかと思ったが、母の威厳は保てそうだ。
芽依はペンの使い方から覚えなくてはいけないので文字を書く前に随分と時間がかかってしまった。
そこはジョゼットが入ってきて指導してくれた。
因みに私は何となくやってみたら出来てしまった。
この身体は意外と高性能なのかも知れない。
初めこそ苦労していた芽依だったが、直ぐにペンの使い方をマスターして、スラスラと書き取りを始めていた。
綺麗に整った字を書き上げていくのを見て、流石は我が子と頷いてしまうのは親馬鹿の証拠だろう。
この子は物覚えも良いし手先も器用だ。
そして何より人に教えてもらうのが楽しくてしょうがない様だ。
授業は一時間で終了。十分間休憩があって次の授業だ。
次は魔法の練習らしい。
魔族の社会では読み書きよりも先に魔法の制御を教えるらしい。
暴発して怪我をしたりしない様にする為なのだとジョゼットが教えてくれた。
既に他の子供達は魔法の制御練習に入っているので、適正から調べなければならない芽依はみんなとは別で練習だ。
「それではメイさん、今から順番に属性の適性を調べていきますね」
「はい!」
芽依は元気よく返事をする。
私がカナエに教えてもらった方法とは違って両手のひらを合わせたくらいの大きさの透明な球を触って反応を調べる様だ。
「魔族は便利な道具を持っているんですね」
芽依の肩に乗っているカナエが感心していた。
魔力は自動的に放出されて球の輝く色を見て適性を判断するらしい。
さて、芽依は何の適性が高いかな?
芽依が球に触れると、球は虹色に輝き出す。
「これは何に適性があるのかしら?」
「す、凄い……こんな反応初めて見ました……!」
ルシアーナは球の反応を見て驚いていた。
そして、輝きが増していき、球を粉々に砕いて虹色の光が放出された。
カナエが風の魔法で壁を作ってくれて怪我はしなかったけど、今のは何?
「測定球の許容を遥かに超えてしまった様です……」
ルシアーナは呆然としながら呟いた。
そこには芽依と同じくらいの子が二十人、私達を目を輝かせて見ていた。
皆魔族で、銀髪か黒髪で瞳の赤い子ばかりだ。
「今日から皆さんと一緒にお勉強する事になったハルさんとメイさんです。仲良くしてあげてくださいね」
『はーい!』
元気の良い返事。
こういう所は地球の学校と変わらない様だ。
私達の席は一番後ろに新しく用意されていた。
二人で並びあって着席する。
日本の小学校の様に一人ずつの机だけど、机一つ一つが大きくて立派な作りだ。家にある勉強机の豪華版といった感じ。椅子も布の張ってあり座り心地もかなり良い。
かなり身分の高い家の子供達なのだろうか?
そういえば教科書とか持っていないけどいらないのかしら。
「それでは早速授業を始めて参ります。ハルさんとメイさんは、引き出しの中に教科書が入っていますのでそちらを開いてくださいね」
引き出しを開けたら教科書の他にも羽ペンとインクと紙が数枚入っていた。教科書の表紙には[大陸共通語 初等]と書いてある。
おや……文字が読める……?
確かに日本語ではないし、英語でもない。しかし何となく読めてしまう。
元から読めるようにあの神様が調整してくれたのだろうか?
しかしあの時は文明が完全に破壊されていた。今の文明が興る前にそんな調整が出来るのか?
「おかーさんどうしたの?」
「ううん、何でもないわ、さあ、授業を受けましょう」
悩んでいても仕方ない。読めるなら良い事だし、原理を考察する必要はないだろう。
授業が始まり静かに聞いていると文字の書き取りをやっていく様だ。
良かった。途中入学だから芽依が周りの子について行けるか心配だったけど、これくらいなら直ぐに追いつけそうだ。
そして私の方は……
文字を書こうとすれば普通に書けてしまう。
つまり読み書きは問題なしだ。
これなら家に帰ってからも芽依に教えてあげられる。
一緒に幼児学校に入学するとなった時はどうなるかと思ったが、母の威厳は保てそうだ。
芽依はペンの使い方から覚えなくてはいけないので文字を書く前に随分と時間がかかってしまった。
そこはジョゼットが入ってきて指導してくれた。
因みに私は何となくやってみたら出来てしまった。
この身体は意外と高性能なのかも知れない。
初めこそ苦労していた芽依だったが、直ぐにペンの使い方をマスターして、スラスラと書き取りを始めていた。
綺麗に整った字を書き上げていくのを見て、流石は我が子と頷いてしまうのは親馬鹿の証拠だろう。
この子は物覚えも良いし手先も器用だ。
そして何より人に教えてもらうのが楽しくてしょうがない様だ。
授業は一時間で終了。十分間休憩があって次の授業だ。
次は魔法の練習らしい。
魔族の社会では読み書きよりも先に魔法の制御を教えるらしい。
暴発して怪我をしたりしない様にする為なのだとジョゼットが教えてくれた。
既に他の子供達は魔法の制御練習に入っているので、適正から調べなければならない芽依はみんなとは別で練習だ。
「それではメイさん、今から順番に属性の適性を調べていきますね」
「はい!」
芽依は元気よく返事をする。
私がカナエに教えてもらった方法とは違って両手のひらを合わせたくらいの大きさの透明な球を触って反応を調べる様だ。
「魔族は便利な道具を持っているんですね」
芽依の肩に乗っているカナエが感心していた。
魔力は自動的に放出されて球の輝く色を見て適性を判断するらしい。
さて、芽依は何の適性が高いかな?
芽依が球に触れると、球は虹色に輝き出す。
「これは何に適性があるのかしら?」
「す、凄い……こんな反応初めて見ました……!」
ルシアーナは球の反応を見て驚いていた。
そして、輝きが増していき、球を粉々に砕いて虹色の光が放出された。
カナエが風の魔法で壁を作ってくれて怪我はしなかったけど、今のは何?
「測定球の許容を遥かに超えてしまった様です……」
ルシアーナは呆然としながら呟いた。
0
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します。
夕立悠理
恋愛
ベルナンデ・ユーズには前世の記憶がある。
そして、前世の記憶によると、この世界は乙女ゲームの世界で、ベルナンデは、この世界のヒロインだった。
蝶よ花よと愛され、有頂天になっていたベルナンデは、乙女ゲームのラストでメインヒーロ―である第一王子のラウルに告白されるも断った。
しかし、本来のゲームにはない、断るという選択をしたせいか、ベルナンデにだけアナウンスが聞こえる。
『愛されイージーモードはサービスを終了しました。ただいまより、嫌われハードモードを開始します』
そのアナウンスを最後に、ベルナンデは意識を失う。
次に目を覚ました時、ベルナンデは、ラウルの妃になっていた。
なんだ、ラウルとのハッピーエンドに移行しただけか。
そうほっとしたのもつかの間。
あんなに愛されていたはずの、ラウルはおろか、攻略対象、使用人、家族、友人……みんなから嫌われておりー!?
※小説家になろう様が一番早い(予定)です
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。
みちこ
ファンタジー
両親が亡くなり、家の存続と弟を立派に育てることを決意するけど、ストレスとプレッシャーが原因で高熱が出たことが切っ掛けで、自分が前世で好きだった小説の悪役令嬢に転生したと気が付くけど、小説とは色々と違うことに混乱する。
主人公は断罪から逃れることは出来るのか?
いつかの空を見る日まで
たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。
------------
復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。
悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。
中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。
どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。
(うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります)
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる