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人間
制作
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「ここが泉……なんと美しい」
到着してアインが言ったのはその一言だった。暫く泉を眺めたまま動かない。
「おかえりなさいハル様!」
「ただいま。変わりはなかった?」
「はい、特には何も」
「そう、留守番ありがとうね」
カナエとヤトにお礼を言っている間もアインは泉を眺めたままだ。
時間はあるのだし気が済むまで#____#見ていてもらおう。
私達はアインを保護して、この島から脱出するのを手伝う事にしたと二人に説明した。
早速アインの家作りだ。
「颯太、木を加工して簡単な家を作るわ。手伝ってくれる?」
「勿論」
颯太の《植物操作》と《植物加工》で小屋を作っていく。
颯太は家というものが分からないみたいなので細かく私が説明して組み立ててもらった。
私が手伝おうとしたら「母さんは指示してくれるだけでいいよ」と手伝わせてくれなかった。
私、子供扱いされてない?
『力仕事は俺がやりますから』
「私も魔法でお手伝いします!」
『大きなものの運搬は私とヤトでやりましょう』
……私が手を出すよりずっと効率が良さそうね。
「はっ……!つい見惚れてしまった……すまない」
アインも家の制作に加わって、半日程で小屋が完成した。
寝室とダイニングキッチンに分かれている外見はログハウス風の家だ。水は泉から汲んでくればいいし、トイレだけは少し離れたところに別で作っておいた。効果があるか分からないけど《汚染除去》を《効果固定化》で付与しておいた。
「しかしここの木は凄いな。とんでもない強度だ。俺のナイフじゃ傷が付けられないぞ」
一通りの作業が終了して、残った木材をナイフで切りつけながら言っている。
「母さんの泉の水で育った木々だからね。当然だよ」
颯太は嬉しそうに話していた。みんなが作業をしている時に私も触ってみたけど、木というか金属の様な硬さがあり、普通の木よりも随分と軽い気がした。
「その木って水に浮くかしら?」
「どうだろう?試してみるか」
私が聞いたらアインが手に持っていた木材を泉に浮かべてみると、プカプカと浮いていた。
「船の材料に使えそうだな」
「それなら船の形に削り出してみたらどうかな?《植物加工》でなら大抵の形にはできそうだよ」
「小さな船ならすぐに作れそうだな。問題はそれであの海流を突破できるかだな」
海で試してみるしかなさそうだ。
「安全が確認出来るまで何度でも試せばいいわ。時間はあるのだから」
「ありがとう。みんなには何から何まで世話になってしまってるな」
『気にする必要はない。ハル様は人間に会いたがっていた様だからな』
礼を言うアインにカクカミが返す。
「人間に会いたがっていたと言うのはどういう事だい?」
「人間が存在しているかと言う事と、ちゃんと文明を築けているかを知りたかったの。アインのいた国や船で行った国の事を聞かせて欲しいわ」
人間が現在どれくらいの文化、文明レベルなのかは興味がある。それ以外にはあの石が何なのかとか、この世界に住う他の生き物の事とかを教えてもらいたい。
「そんな事で良ければ幾らでも話すよ。こんな事で世話になった礼になるとは思えないけど」
「いいえ十分よ。私はこの島から出た事が無いもの。外の世界の事を沢山知りたいのよ」
私達は日中に船の制作や改良、実験を手伝い、夜にはアインから外の世界の事を教えてもらう。そんな事を繰り返して日にちら過ぎていく。
満足のいくものが出来たので海に浮かべて沖に流してみる事にした。
勿論何かあってはいけないので無人で流す事に。
これまでに転覆したりしないように船の形状を微調整したりしながら作ってきたので、人間一人分と水や食糧の重量分の重りを乗せて試してみる。
「沖に流れる海流を捕まえて流せば例の海流に乗せる事が出来るはずだ」
アインが海流を見つけたので試してみる。
さて、上手くいくだろうか?
到着してアインが言ったのはその一言だった。暫く泉を眺めたまま動かない。
「おかえりなさいハル様!」
「ただいま。変わりはなかった?」
「はい、特には何も」
「そう、留守番ありがとうね」
カナエとヤトにお礼を言っている間もアインは泉を眺めたままだ。
時間はあるのだし気が済むまで#____#見ていてもらおう。
私達はアインを保護して、この島から脱出するのを手伝う事にしたと二人に説明した。
早速アインの家作りだ。
「颯太、木を加工して簡単な家を作るわ。手伝ってくれる?」
「勿論」
颯太の《植物操作》と《植物加工》で小屋を作っていく。
颯太は家というものが分からないみたいなので細かく私が説明して組み立ててもらった。
私が手伝おうとしたら「母さんは指示してくれるだけでいいよ」と手伝わせてくれなかった。
私、子供扱いされてない?
『力仕事は俺がやりますから』
「私も魔法でお手伝いします!」
『大きなものの運搬は私とヤトでやりましょう』
……私が手を出すよりずっと効率が良さそうね。
「はっ……!つい見惚れてしまった……すまない」
アインも家の制作に加わって、半日程で小屋が完成した。
寝室とダイニングキッチンに分かれている外見はログハウス風の家だ。水は泉から汲んでくればいいし、トイレだけは少し離れたところに別で作っておいた。効果があるか分からないけど《汚染除去》を《効果固定化》で付与しておいた。
「しかしここの木は凄いな。とんでもない強度だ。俺のナイフじゃ傷が付けられないぞ」
一通りの作業が終了して、残った木材をナイフで切りつけながら言っている。
「母さんの泉の水で育った木々だからね。当然だよ」
颯太は嬉しそうに話していた。みんなが作業をしている時に私も触ってみたけど、木というか金属の様な硬さがあり、普通の木よりも随分と軽い気がした。
「その木って水に浮くかしら?」
「どうだろう?試してみるか」
私が聞いたらアインが手に持っていた木材を泉に浮かべてみると、プカプカと浮いていた。
「船の材料に使えそうだな」
「それなら船の形に削り出してみたらどうかな?《植物加工》でなら大抵の形にはできそうだよ」
「小さな船ならすぐに作れそうだな。問題はそれであの海流を突破できるかだな」
海で試してみるしかなさそうだ。
「安全が確認出来るまで何度でも試せばいいわ。時間はあるのだから」
「ありがとう。みんなには何から何まで世話になってしまってるな」
『気にする必要はない。ハル様は人間に会いたがっていた様だからな』
礼を言うアインにカクカミが返す。
「人間に会いたがっていたと言うのはどういう事だい?」
「人間が存在しているかと言う事と、ちゃんと文明を築けているかを知りたかったの。アインのいた国や船で行った国の事を聞かせて欲しいわ」
人間が現在どれくらいの文化、文明レベルなのかは興味がある。それ以外にはあの石が何なのかとか、この世界に住う他の生き物の事とかを教えてもらいたい。
「そんな事で良ければ幾らでも話すよ。こんな事で世話になった礼になるとは思えないけど」
「いいえ十分よ。私はこの島から出た事が無いもの。外の世界の事を沢山知りたいのよ」
私達は日中に船の制作や改良、実験を手伝い、夜にはアインから外の世界の事を教えてもらう。そんな事を繰り返して日にちら過ぎていく。
満足のいくものが出来たので海に浮かべて沖に流してみる事にした。
勿論何かあってはいけないので無人で流す事に。
これまでに転覆したりしないように船の形状を微調整したりしながら作ってきたので、人間一人分と水や食糧の重量分の重りを乗せて試してみる。
「沖に流れる海流を捕まえて流せば例の海流に乗せる事が出来るはずだ」
アインが海流を見つけたので試してみる。
さて、上手くいくだろうか?
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