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繁栄
眷属化
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「あなた達もゴブリンに追われてここに来たの?」
「はい。……という事はこのケリュネイア達も?」
どうやらコボルトとケリュネイアは言語が違うようだ。
いや、厳密には言語を話しているのはコボルトの方で、ケリュネイアは言葉ではない意思の疎通をしている。
どちらも私達には普通の言葉に聞こえるので、互いに言葉を聞き取っているものだと勘違いしていた。
私はケリュネイアとのやり取りをコボルトに説明する。
「我らも同じです。奴らは次々とやって来て手に負えませんでした。」
「どれくらいの人数だったの?」
「分かりません。一度に来るのは10程度ですが、ひっきりなしに来るのです。有無を言わさず攻撃してくるので意図も不明です。」
明らかな敵対意思。相手に対話の余地はない様だ。
『ハル様。ケリュネイアの住処を脅かしたという事はもうすぐここに来るやも知れません。』
『俺達が全て追い払いますのでご安心を。』
二人はそう言ってくれるけど、数が多くては怪我をするかも知れない。何とか話し合いが出来ないだろうか?
「お母さん、僕が話してみるよ。」
「駄目よ。颯太に危ない事はさせられない。私が話に行きます。」
『お待ち下さい、それならば私にお任せを。』
皆互いの事を思って言ってくれている。
一番良い案は……
「分かりました。全員で行きましょう。」
『我らも共に行く事をお許しください。』
ケリュネイアの長が言ってくる。
「我らもお供致します。戦闘になれば少しでも数が多い方が良い筈です。」
ここにいる全ての者がゴブリンと戦う覚悟でいた。しかし、眷属以外は生き残れるか分からない。
「お母さん、ここにいるみんなを眷属にしてしまったらどうかな?」
「そうね……でもどうやって眷属にすればいいのか分からないわ。」
カクカミもメトも名前を付けたら眷属になったけど、これだけの数に名前を付けるのはちょっと大変だ。いや、そんな事を言っている場合ではないか。
「皆を私の庇護下に入れようと思います。異論はありますか?」
全員に確認する。どうやら反対は一人もいない様だ。
「それでは名前の無いものは私が名付けます。それをもって私の眷属とします。」
ケリュネイアは全部で10頭。安直で申し訳ないが『カ』から始まる三文字程度の名前を付けておいた。
名付けを終えるとツノが大きくなりカクカミと同様黄金に輝き出した。
「俺達には既に名前があります。どうすれば良いでしょうか?」
「それについては試して見たい事があります。」
何故名付けが眷属にする為動作なのかを考えてみたけど、多分個体を認識する為の方法だからでは無いかと推測した。
「コボルトのヨキ、あなたを私の眷属として迎えます。」
「はい、宜しくお願い申し上げます。」
跪いて首を垂れるヨキ。彼もまた身体がメキメキと大きくなり、筋肉が盛り上がっていく。眷属化に成功した様だ。
どう変化したのか観察してみると【キングコボルト】という種族になっていた。
「力が漲ります。これならば幾らゴブリンが来ようとも大丈夫。全て私が屠りましょう!」
「頼もしいわ。でも無理はしないで。自分達の命を最優先に考えて行動しなさい。」
「畏まりました!」
ボディビルダーの様な体躯になったヨキは声も野太くなっていた。
『我らもハル様の眷属になったのだ。遅れはとりません。』
「ええ、くれぐれも無理をしない様にね。」
ケリュネイア達もカクカミ程では無いにしろ、身体が大きくなり明らかに強くなっていた。
残りのコボルト達にもヨキと同様に眷属化を行って準備は完了した。
コボルトは30人、ケリュネイアは10頭。颯太とカクカミとメトに私。
この陣容でゴブリン達と対話に臨む。
話し合いで解決できなければ実力行使あるのみだ。
「はい。……という事はこのケリュネイア達も?」
どうやらコボルトとケリュネイアは言語が違うようだ。
いや、厳密には言語を話しているのはコボルトの方で、ケリュネイアは言葉ではない意思の疎通をしている。
どちらも私達には普通の言葉に聞こえるので、互いに言葉を聞き取っているものだと勘違いしていた。
私はケリュネイアとのやり取りをコボルトに説明する。
「我らも同じです。奴らは次々とやって来て手に負えませんでした。」
「どれくらいの人数だったの?」
「分かりません。一度に来るのは10程度ですが、ひっきりなしに来るのです。有無を言わさず攻撃してくるので意図も不明です。」
明らかな敵対意思。相手に対話の余地はない様だ。
『ハル様。ケリュネイアの住処を脅かしたという事はもうすぐここに来るやも知れません。』
『俺達が全て追い払いますのでご安心を。』
二人はそう言ってくれるけど、数が多くては怪我をするかも知れない。何とか話し合いが出来ないだろうか?
「お母さん、僕が話してみるよ。」
「駄目よ。颯太に危ない事はさせられない。私が話に行きます。」
『お待ち下さい、それならば私にお任せを。』
皆互いの事を思って言ってくれている。
一番良い案は……
「分かりました。全員で行きましょう。」
『我らも共に行く事をお許しください。』
ケリュネイアの長が言ってくる。
「我らもお供致します。戦闘になれば少しでも数が多い方が良い筈です。」
ここにいる全ての者がゴブリンと戦う覚悟でいた。しかし、眷属以外は生き残れるか分からない。
「お母さん、ここにいるみんなを眷属にしてしまったらどうかな?」
「そうね……でもどうやって眷属にすればいいのか分からないわ。」
カクカミもメトも名前を付けたら眷属になったけど、これだけの数に名前を付けるのはちょっと大変だ。いや、そんな事を言っている場合ではないか。
「皆を私の庇護下に入れようと思います。異論はありますか?」
全員に確認する。どうやら反対は一人もいない様だ。
「それでは名前の無いものは私が名付けます。それをもって私の眷属とします。」
ケリュネイアは全部で10頭。安直で申し訳ないが『カ』から始まる三文字程度の名前を付けておいた。
名付けを終えるとツノが大きくなりカクカミと同様黄金に輝き出した。
「俺達には既に名前があります。どうすれば良いでしょうか?」
「それについては試して見たい事があります。」
何故名付けが眷属にする為動作なのかを考えてみたけど、多分個体を認識する為の方法だからでは無いかと推測した。
「コボルトのヨキ、あなたを私の眷属として迎えます。」
「はい、宜しくお願い申し上げます。」
跪いて首を垂れるヨキ。彼もまた身体がメキメキと大きくなり、筋肉が盛り上がっていく。眷属化に成功した様だ。
どう変化したのか観察してみると【キングコボルト】という種族になっていた。
「力が漲ります。これならば幾らゴブリンが来ようとも大丈夫。全て私が屠りましょう!」
「頼もしいわ。でも無理はしないで。自分達の命を最優先に考えて行動しなさい。」
「畏まりました!」
ボディビルダーの様な体躯になったヨキは声も野太くなっていた。
『我らもハル様の眷属になったのだ。遅れはとりません。』
「ええ、くれぐれも無理をしない様にね。」
ケリュネイア達もカクカミ程では無いにしろ、身体が大きくなり明らかに強くなっていた。
残りのコボルト達にもヨキと同様に眷属化を行って準備は完了した。
コボルトは30人、ケリュネイアは10頭。颯太とカクカミとメトに私。
この陣容でゴブリン達と対話に臨む。
話し合いで解決できなければ実力行使あるのみだ。
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