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破壊と再生
進化
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効果固定化を使った事で付与力を大量に消費してしまった。
しかしそれによって泉には複数の効果が固定され、長い時間を掛ければ充分に元が取れる。
颯太が泉の猛毒を吸収して、泉自体も除去を続けている。
颯太は更に大きく成長して、樹高は6メートル程に。幹も立派になっていた。
私も少しだけ背が伸びた。見た目は8歳位だろうか。颯太の方がずっと成長が早い。
ただのオイル溜まりだったものが、ようやく汚水程度になった頃、颯太に変化が現れた。
颯太がキラキラと光り輝き出したと思ったら小さな光が集まっていき、人の形を作り出した。
「お母さん!」
目の前に現れたのは白い服を着た5歳位の男の子。少し茶色掛かった髪にクリクリの茶色の瞳が私を見つめていた。
「颯太なの?」
「そうだよ!」
颯太は私の所に駆けて来てしっかりと抱きついてきた。私も抱きしめ返す。
突然颯太が人の姿になったのは何故だろうか?
優しく頭を撫でながら颯太を見ていると表示が現れた。
【颯太 世界樹の精霊】
颯太も精霊になったのね。良かったわ。
世界樹という種類の木なのね。この世界ではよくある木なのかしら?
泉の汚染がかなり無くなって、泥水位になった頃、颯太の提案で《成分複製》を使って、泉の周りの大地に水を撒き始めた。
少しでも周りの汚染が改善される事を期待して2人で水を撒き続けた。
同時に少しずつ泉を拡張していく。小さな水溜まりのままではこの先困る事もあるだろう。颯太はかなり大きくなったし、必要な水の量も増えているだろうから。
☆★☆★
時は流れて、私達は周りに撒いた水の効果を確信していた。
汚染状態と表示されていた大地が【状態:なし】になっていたからだ。
日差しが強く暑い日も、雪の降る寒い日も、絶えず水を撒き続けてきた成果だった。
私と颯太は抱き合って喜んだ。
「じゃあお母さん、次のステップに行こう。」
「次のステップ?」
「うん!《効果合成》で《気候操作》と《成分複製》を組み合わせて雨を降らせよう。そうすればもっと広い範囲に水が撒けるよ。」
「それはいいわね。早速やってみよう。」
実行してみたら、さっきまで青空だったのがあっという間に黒い雲に覆われて、ポツポツと雨が降り始める。
雨を見てみたら泉と同じ成分になっている。これで環境が改善されれば《植物生成》を付与してもう一度雨を降らせよう。上手くすれば緑が戻ってくる筈だ。
雨はかなり長い間降り続け、大地を削り大きな川を作っていく。
空や大地をじっと見て状態の確認をしてみたら汚染がかなり少なくなっていた。
これならもうすぐに《植物生成》が出来そうだ。
環境の改善を待つ間、余った付与力は泉の拡張に使う事にした。
泉は小さな公園の池位の大きさになり、水深はおよそ50センチ位で水は透き通り底が見える程になっていた。
今、私達は颯太の木の下で雨が止むのを待っている。
「植物は作れるけど、動物はどうすれば作れるだろう?」
「僕にも分からないよ。また突然変異を使ってみる?」
「そうね。暫く様子を見て、生き物が生まれないのなら突然変異に頼って見ましょうか。」
「うん!暫くは《植物生成》を使って様子見だね!」
「颯太も兄弟が欲しいでしょう?」
「僕はお母さんがいれば何もいらないよ!」
そう言って顔を埋めてくる。
私は颯太の頭を優しく撫でながら考える。
颯太の様に優しく賢い子が沢山いたら心強いし楽しいだろう。しかしここで焦ってはいけない。みんなが颯太の様に強く育つとは限らないのだから。しっかりと見極めて、より良い環境を用意した上で《植物生成》は使っていこう。
夢や希望を思い描きながら、2人で雨が止むのを待っていた。
しかしそれによって泉には複数の効果が固定され、長い時間を掛ければ充分に元が取れる。
颯太が泉の猛毒を吸収して、泉自体も除去を続けている。
颯太は更に大きく成長して、樹高は6メートル程に。幹も立派になっていた。
私も少しだけ背が伸びた。見た目は8歳位だろうか。颯太の方がずっと成長が早い。
ただのオイル溜まりだったものが、ようやく汚水程度になった頃、颯太に変化が現れた。
颯太がキラキラと光り輝き出したと思ったら小さな光が集まっていき、人の形を作り出した。
「お母さん!」
目の前に現れたのは白い服を着た5歳位の男の子。少し茶色掛かった髪にクリクリの茶色の瞳が私を見つめていた。
「颯太なの?」
「そうだよ!」
颯太は私の所に駆けて来てしっかりと抱きついてきた。私も抱きしめ返す。
突然颯太が人の姿になったのは何故だろうか?
優しく頭を撫でながら颯太を見ていると表示が現れた。
【颯太 世界樹の精霊】
颯太も精霊になったのね。良かったわ。
世界樹という種類の木なのね。この世界ではよくある木なのかしら?
泉の汚染がかなり無くなって、泥水位になった頃、颯太の提案で《成分複製》を使って、泉の周りの大地に水を撒き始めた。
少しでも周りの汚染が改善される事を期待して2人で水を撒き続けた。
同時に少しずつ泉を拡張していく。小さな水溜まりのままではこの先困る事もあるだろう。颯太はかなり大きくなったし、必要な水の量も増えているだろうから。
☆★☆★
時は流れて、私達は周りに撒いた水の効果を確信していた。
汚染状態と表示されていた大地が【状態:なし】になっていたからだ。
日差しが強く暑い日も、雪の降る寒い日も、絶えず水を撒き続けてきた成果だった。
私と颯太は抱き合って喜んだ。
「じゃあお母さん、次のステップに行こう。」
「次のステップ?」
「うん!《効果合成》で《気候操作》と《成分複製》を組み合わせて雨を降らせよう。そうすればもっと広い範囲に水が撒けるよ。」
「それはいいわね。早速やってみよう。」
実行してみたら、さっきまで青空だったのがあっという間に黒い雲に覆われて、ポツポツと雨が降り始める。
雨を見てみたら泉と同じ成分になっている。これで環境が改善されれば《植物生成》を付与してもう一度雨を降らせよう。上手くすれば緑が戻ってくる筈だ。
雨はかなり長い間降り続け、大地を削り大きな川を作っていく。
空や大地をじっと見て状態の確認をしてみたら汚染がかなり少なくなっていた。
これならもうすぐに《植物生成》が出来そうだ。
環境の改善を待つ間、余った付与力は泉の拡張に使う事にした。
泉は小さな公園の池位の大きさになり、水深はおよそ50センチ位で水は透き通り底が見える程になっていた。
今、私達は颯太の木の下で雨が止むのを待っている。
「植物は作れるけど、動物はどうすれば作れるだろう?」
「僕にも分からないよ。また突然変異を使ってみる?」
「そうね。暫く様子を見て、生き物が生まれないのなら突然変異に頼って見ましょうか。」
「うん!暫くは《植物生成》を使って様子見だね!」
「颯太も兄弟が欲しいでしょう?」
「僕はお母さんがいれば何もいらないよ!」
そう言って顔を埋めてくる。
私は颯太の頭を優しく撫でながら考える。
颯太の様に優しく賢い子が沢山いたら心強いし楽しいだろう。しかしここで焦ってはいけない。みんなが颯太の様に強く育つとは限らないのだから。しっかりと見極めて、より良い環境を用意した上で《植物生成》は使っていこう。
夢や希望を思い描きながら、2人で雨が止むのを待っていた。
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