17 / 19
第17話 お兄ちゃん。約束やぶちゃった。でもいいよね、これは……。
しおりを挟む
「智花さん。あけましておめでとうございます」
「はぁ―ぃ。あけましておめでとう佐奈ちゃん」
そう言いながら智花さんは私を抱きしめた。
ふんわりとママに似た香りがする。でもママとは違う別な甘い香りがする。
やわらかい智花さんの胸の感触が心地いい。
ああ、なぜかものすごく落ちつく。
「来てくれてありがとう」
智花さんは私を抱きしめながらそう言ってくれた。
「うん、だって智花さんとの約束だもん」
智花さんの抱きしめる力が強くなった。
「ありがとう。さぁ、中に入ってゆっくりして」
言われるままに勝手知ったるこの家に入り込んだ?
勝手知ったる? そう私はこの家に何度も来ているのだ。勝手知ったる他人の家……ではない。
ここは俊哉お兄ちゃんの家。
そしてこの人。智花さんはお兄ちゃんのお母さんだ。
私はこの家に来るとものすごく落ち着く。自分の家にいるよりも自分の家のような感覚が強い。
最も来るのはお兄ちゃんがいない時だ。
俊哉お兄ちゃんがいない時を見張らかってと言うよりも、いないのが前提でここにきている。
「ねぇ、佐奈ちゃん。今日はこれからゆっくりできるの?」
「はい、今晩は泊ってくるって言っていますんで」
「そう。なら大丈夫よね」
優しくほほ笑む智花さん。ああ、そのほほ笑む顔を見ると、私はキュンとなってしまう。
キッチンに立つ智花さん。その姿を身ながら、ママのことを思い浮かべる。
姉妹だけあってよく似ている。でも性格は……智花さんの方が私は好きかもしれない。
「おなかすいてない、もうこんな時間だから夕食一緒に食べましょ。そう言っても、おせちだけどね」
「いただきます。今日起きてから、何も食べていないんで」
「あら、そうなの。じゃほかに何か作ろっか」
「いいですよ。おせちで……ところで叔父さんは?」
「ああ、あの人ね。あの人なら年末から一人海外」
「仕事ですか?」
「ん――っ。一応仕事っては聞いているけど、本当はどうだか」
「疑っているんですか?」
「まぁ、なんとも言えないんだけど」
智花さんは、キッチンのテーブルにおせちの箱を置き、お箸とお皿、飲み物を用意した。
「さぁ頂ましょうか」
「まだおせち開けていなかったんですか?」
「うん、佐奈ちゃんが来るの待ってたんだ。俊哉も真梨香のところに行ってるし、私一人だったからね」
「寂しくなかったんですか? 一人で年越しだったなんて」
「何年振りかしら、……ん――もしかしたら初めてかも?」
そう言いながら、テーブルに置いてあるたばこを一本くわえて火を点けた。
「ふぅ―」と軽く白い煙をゆっくりと吐き出した。
たばこを持ち、にっこりとほほ笑むその姿は、私のあこがれの人そのものだ。
「なんか本当に久々にゆっくりできたかなぁ」
「良かったじゃないですか。友香さん忙しすぎるんですよ」
「そぅぉ? まぁ確かに忙しいといえばそうだけどね。あなたを売りに出すのが私の仕事なんだからね」
「私商品ですからね」
「そうそう、うちにとって大事な商品なんだもん。頑張らないと」
「でも私は事務所にとっては不良品じゃないんですか? 性格もよくないし、気まぐれだし、……第一不良だし」
「ま、そこは、佐奈ちゃんが中学生にしては大人だからね。逆に私の方が助けられているみたいなもんだよ」
「大人ですか? この私が?」
「うんうん、やってることは正直好ましくないていうか。この業界じゃ、御法度なんだけど、そこをうまくやりのけて楽しんじゃっているのが佐奈ちゃんでしょ。ほんと上手いていうか、この私でさえ感心しちゃうくらいなんだもん」
「智花さん、もらってもいいですか?」
「好きにしたら、私からは勧められないけどね。立場上」
そう言いながらも、すっと私の前ににたばこを置いた。
「禁煙するって言っていなかたっけ」
「そうでしたか? 忘れました。でも私が吸えるのはここだけで、しかも智花さんと二人っきりの時だけですからね」
「ちゃんとその約束は守っているんだ」
「当然です。一応未成年者の喫煙飲酒は法律で禁止されていますからね。大ぴらに出来ないでしょ」
「でもセックスはそうでもないところが、なんか矛盾だよねぇ。中学生がセックスしてもばれなきゃいいっていう感じで。あ、でもこれも本当はいけないことなんだけどね」
「そうですね。私はほんといけないことばかりやちゃっていますね」
「ほんとだね。でも佐奈ちゃんばかりの事言えないんだけど」
そう言いながら加えたたばこに火を点け、軽く煙を吸い込んだ。甘い香りがする細巻のたばこ。
智花さんの愛用するたばこの香りは、甘い香りがして落ち着く。
「彼氏さんとはうまくいっているんですか?」
「うん、まぁまぁね。でも最近お互い忙しくて、会えない分激しくなちゃって」
「だって彼氏さん若い人なんでしょ」
「うん、二十歳なんだけど。甘えてくるからとっても可愛いんだぁ」
「それ逆じゃないんですか? 智花さんの方が甘えているんじゃないですか?」
「あら、わかっちゃう!!」
「顔、緩みっぱなしですよ。もう、ママみたいに孕まないでくださいよ」
「あはは、そうね。真梨香もあの時はなんか寂しそうだったからね。佐奈ちゃん知っていたんだぁ」
「今日、知ったんです。色々と。でも智花さん孕みたいんでしょ」
「やだぁ――、この年でぇ! 俊哉に弟妹作るのぉ?」
「はぁ―ぃ。あけましておめでとう佐奈ちゃん」
そう言いながら智花さんは私を抱きしめた。
ふんわりとママに似た香りがする。でもママとは違う別な甘い香りがする。
やわらかい智花さんの胸の感触が心地いい。
ああ、なぜかものすごく落ちつく。
「来てくれてありがとう」
智花さんは私を抱きしめながらそう言ってくれた。
「うん、だって智花さんとの約束だもん」
智花さんの抱きしめる力が強くなった。
「ありがとう。さぁ、中に入ってゆっくりして」
言われるままに勝手知ったるこの家に入り込んだ?
勝手知ったる? そう私はこの家に何度も来ているのだ。勝手知ったる他人の家……ではない。
ここは俊哉お兄ちゃんの家。
そしてこの人。智花さんはお兄ちゃんのお母さんだ。
私はこの家に来るとものすごく落ち着く。自分の家にいるよりも自分の家のような感覚が強い。
最も来るのはお兄ちゃんがいない時だ。
俊哉お兄ちゃんがいない時を見張らかってと言うよりも、いないのが前提でここにきている。
「ねぇ、佐奈ちゃん。今日はこれからゆっくりできるの?」
「はい、今晩は泊ってくるって言っていますんで」
「そう。なら大丈夫よね」
優しくほほ笑む智花さん。ああ、そのほほ笑む顔を見ると、私はキュンとなってしまう。
キッチンに立つ智花さん。その姿を身ながら、ママのことを思い浮かべる。
姉妹だけあってよく似ている。でも性格は……智花さんの方が私は好きかもしれない。
「おなかすいてない、もうこんな時間だから夕食一緒に食べましょ。そう言っても、おせちだけどね」
「いただきます。今日起きてから、何も食べていないんで」
「あら、そうなの。じゃほかに何か作ろっか」
「いいですよ。おせちで……ところで叔父さんは?」
「ああ、あの人ね。あの人なら年末から一人海外」
「仕事ですか?」
「ん――っ。一応仕事っては聞いているけど、本当はどうだか」
「疑っているんですか?」
「まぁ、なんとも言えないんだけど」
智花さんは、キッチンのテーブルにおせちの箱を置き、お箸とお皿、飲み物を用意した。
「さぁ頂ましょうか」
「まだおせち開けていなかったんですか?」
「うん、佐奈ちゃんが来るの待ってたんだ。俊哉も真梨香のところに行ってるし、私一人だったからね」
「寂しくなかったんですか? 一人で年越しだったなんて」
「何年振りかしら、……ん――もしかしたら初めてかも?」
そう言いながら、テーブルに置いてあるたばこを一本くわえて火を点けた。
「ふぅ―」と軽く白い煙をゆっくりと吐き出した。
たばこを持ち、にっこりとほほ笑むその姿は、私のあこがれの人そのものだ。
「なんか本当に久々にゆっくりできたかなぁ」
「良かったじゃないですか。友香さん忙しすぎるんですよ」
「そぅぉ? まぁ確かに忙しいといえばそうだけどね。あなたを売りに出すのが私の仕事なんだからね」
「私商品ですからね」
「そうそう、うちにとって大事な商品なんだもん。頑張らないと」
「でも私は事務所にとっては不良品じゃないんですか? 性格もよくないし、気まぐれだし、……第一不良だし」
「ま、そこは、佐奈ちゃんが中学生にしては大人だからね。逆に私の方が助けられているみたいなもんだよ」
「大人ですか? この私が?」
「うんうん、やってることは正直好ましくないていうか。この業界じゃ、御法度なんだけど、そこをうまくやりのけて楽しんじゃっているのが佐奈ちゃんでしょ。ほんと上手いていうか、この私でさえ感心しちゃうくらいなんだもん」
「智花さん、もらってもいいですか?」
「好きにしたら、私からは勧められないけどね。立場上」
そう言いながらも、すっと私の前ににたばこを置いた。
「禁煙するって言っていなかたっけ」
「そうでしたか? 忘れました。でも私が吸えるのはここだけで、しかも智花さんと二人っきりの時だけですからね」
「ちゃんとその約束は守っているんだ」
「当然です。一応未成年者の喫煙飲酒は法律で禁止されていますからね。大ぴらに出来ないでしょ」
「でもセックスはそうでもないところが、なんか矛盾だよねぇ。中学生がセックスしてもばれなきゃいいっていう感じで。あ、でもこれも本当はいけないことなんだけどね」
「そうですね。私はほんといけないことばかりやちゃっていますね」
「ほんとだね。でも佐奈ちゃんばかりの事言えないんだけど」
そう言いながら加えたたばこに火を点け、軽く煙を吸い込んだ。甘い香りがする細巻のたばこ。
智花さんの愛用するたばこの香りは、甘い香りがして落ち着く。
「彼氏さんとはうまくいっているんですか?」
「うん、まぁまぁね。でも最近お互い忙しくて、会えない分激しくなちゃって」
「だって彼氏さん若い人なんでしょ」
「うん、二十歳なんだけど。甘えてくるからとっても可愛いんだぁ」
「それ逆じゃないんですか? 智花さんの方が甘えているんじゃないですか?」
「あら、わかっちゃう!!」
「顔、緩みっぱなしですよ。もう、ママみたいに孕まないでくださいよ」
「あはは、そうね。真梨香もあの時はなんか寂しそうだったからね。佐奈ちゃん知っていたんだぁ」
「今日、知ったんです。色々と。でも智花さん孕みたいんでしょ」
「やだぁ――、この年でぇ! 俊哉に弟妹作るのぉ?」
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
さくらと遥香(ショートストーリー)
youmery
恋愛
「さくらと遥香」46時間TV編で両想いになり、周りには内緒で付き合い始めたさくちゃんとかっきー。
その後のメインストーリーとはあまり関係してこない、単発で読めるショートストーリー集です。
※さくちゃん目線です。
※さくちゃんとかっきーは周りに内緒で付き合っています。メンバーにも事務所にも秘密にしています。
※メインストーリーの長編「さくらと遥香」を未読でも楽しめますが、46時間TV編だけでも読んでからお読みいただくことをおすすめします。
※ショートストーリーはpixivでもほぼ同内容で公開中です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる