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小岩さんちの家族会議
いざ崩壊へ!その1
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ここは、とある住宅街にあるごく普通の一軒家。
ここに住む家族は、お父さん、お母さん。5歳上のお姉さん。そして私、ただいま高校2年生の4人家族。
ありふれた、かわり映えのない私の家族。
幸せな家族? というまでもないけど、まぁお母さんは小うるさい訳でもないし。お父さんは仕事で夜遅い。
しかも休日はゴルフ! なんて言ってほとんど家なんかにはいやしない。
5歳上の姉、美代ねぇは同所はしているけど、れっきとした作家さん。
どんなの書いているかって? 一応本人は恋愛ものって言っているけど、実は……百合。それ以上は聞かないでもらえると助かるなぁ。
ちょっと普通の人から見たら変わった雰囲気を醸し出す美代ねぇだけど、私は大好きだよ。
ただねぇ、ほとんど昼夜逆転生活。夜中に自分の部屋でごそごそなにかやっているんだよ。怪しい声が良く聞こえてくるけど、私は「あぁ、いつもの事だぁ」って気にも留めてない。
そんでもって、私は華の女子高生。男女共学の高校に行きたかったんだけど、美代ねぇが卒業した高校に行くことが、なぜか暗黙の了解という感じでみんながそう思っていたから、その流れに何となく乗って女子高に在学中。
とりわけ美人というわけでもないんだけど、ごく平凡なちょっとおっとり系の性格。と、自分で言うのも変だけどね。
今は仲のいい友達もいるし、成績もそこそこ。何となく平凡な生活が出来ていることになぜか満足している私こと小岩亜美。美代ねぇは私の事「ミーちゃん」て呼んでる。
なんだか飼い猫の様に呼ばれているような感じが否めないんだけど、気のせいという事でごまかしておこう。
と、ここまではごく平凡な生活をさせてもらっていた私なんだけど、その日は突如にやってきた。
夏休み目前!。17歳の夏は今年しかない。もう二度と私にはめぐっては来ない夏。
そんな夏休みまで後2日。明日は修了式、かったるい校長先生の話を聞き流せば、きらきらと光り輝く夏休み突入……。の、はずだった。
「なぁ亜美、この後カラオケ行かねぇ」
帰り支度をしている私に、佐久間亜希子の顔が私の顔とくっつきそうなくらい近づけて言う。
「はぁん? なんでカラオケよ」
「いいじゃん。今日で授業終わったことだし、夏休みへの決起大会だよ」
「私たち二人で?」
「二人でじゃ何かあるのかよ」
「んー貞操の危機を感じるんだけどなぁ」
「あははは、なしなし。ただ歌ってはじけたいだけだよ」
いそいそと帰り支度する後ろの席の神宮寺真由美に亜希子は、ニマぁーとした目配りを送り。
「真由美も一緒なら行く?」と彼女を強引に誘う。
真由美とは中学の頃からの付き合い、おとなしくて目立たない子なんだけど意外と私たちとは仲がいい。
「え、私。無理無理。カラオケ苦手だもん」
片手と顔が反対方向? 思いっきり両方を真由美は振った。
「苦手はやっているうちにうまくなる!」
なんじゃそりゃ。
亜希子は真由美の手を取り。
「さ、行くよ」
ニッと白い歯を見せ、笑った。
こりゃ行くしかないな。亜希子の強引さには勝てない。いつもながら。
夏の熱い日差しは私たちの体を突き抜ける。
じっとりとした汗がにじみ出る。制服のブラウスが肌に密着してくるのがわかる。
不快指数60%
べたべたした肌に、亜希子がぴったりと体を寄せてくる。
亜希子の体からも、ほのかな湿り気を感じる。密着する肌。
不快指数プラス10%で70%。それに亜希子の肌が触れるたび私の体がヒクンとなる。
これは不快指数に入れるべきかな?
電車に乗れば冷房が効いている……はず! 少しはほっと一息つけるだろう。
不快指数90%。混雑した電車の中は蒸し蒸し、それでも冷房の吹き出し口の真下だから何とか耐えられた。残りの10%は気力で耐えるしかない。
私の両腕に亜希子と真由美の、胸が触れる。すっと亜希子が私の正面に体をずらした。
押されてきたんじゃない、わざとずらしたんだ。
ニコッとした顔つきで、亜希子の手が動こうとしたとき電車は駅に着いた。
行きつけの駅前のカラオケ店。
冷房が効いた店内に入ると同時に、不快指数50%まで回復。
それでもまだ汗ばんだ体はべとつき感が否めない。
「あー喉乾いたぁ」
「私飲み物持ってくるね。何がいい?」
亜希子は「私コーラ」。真由美は「んー、オレンジジュースかな」
「コーラとオレンジジュースね。わかった」
もう亜希子はタブレットで曲を入れ始めていて、戻ってくると、すでに1曲目を歌い終わっていた。
「はや!」
「はやって、時間もったいないじゃん。次、亜美いくよ」
テーブルに置いたコーラを「ゴクっ」と一口飲んで「ぷはぁ~」。
まるでおじさんだな。亜希子の数年後の姿を見てしまったかのようだ。
「ほら、始まっちゃう」とマイクを持たされ、ノリノリで熱唱する私も亜希子のことは言えない。
無理やり連れだされた真由美は、スマホとにらめっこ。そんな真由美の腕を引き上げ、「次、3人で行くよ」と、肩に手をまわし、きょとんとする真由美と共に私たち3人は声をそろえて歌った。
楽しかった。楽しい時間は、ほんとに時間を感じさせない。
このスマホが鳴るまでは……。
「もしもし、ミーちゃん」
美代ねぇからだった。
「今どこにいるの?」
「亜希子と真由美でカラオケだけど」
「そう、楽しんでいるところ悪いんだけど。今すぐ帰ってきて」
「なんで……?」
「これから家族会議始まるから」
家族会議? て、なによ!
ここに住む家族は、お父さん、お母さん。5歳上のお姉さん。そして私、ただいま高校2年生の4人家族。
ありふれた、かわり映えのない私の家族。
幸せな家族? というまでもないけど、まぁお母さんは小うるさい訳でもないし。お父さんは仕事で夜遅い。
しかも休日はゴルフ! なんて言ってほとんど家なんかにはいやしない。
5歳上の姉、美代ねぇは同所はしているけど、れっきとした作家さん。
どんなの書いているかって? 一応本人は恋愛ものって言っているけど、実は……百合。それ以上は聞かないでもらえると助かるなぁ。
ちょっと普通の人から見たら変わった雰囲気を醸し出す美代ねぇだけど、私は大好きだよ。
ただねぇ、ほとんど昼夜逆転生活。夜中に自分の部屋でごそごそなにかやっているんだよ。怪しい声が良く聞こえてくるけど、私は「あぁ、いつもの事だぁ」って気にも留めてない。
そんでもって、私は華の女子高生。男女共学の高校に行きたかったんだけど、美代ねぇが卒業した高校に行くことが、なぜか暗黙の了解という感じでみんながそう思っていたから、その流れに何となく乗って女子高に在学中。
とりわけ美人というわけでもないんだけど、ごく平凡なちょっとおっとり系の性格。と、自分で言うのも変だけどね。
今は仲のいい友達もいるし、成績もそこそこ。何となく平凡な生活が出来ていることになぜか満足している私こと小岩亜美。美代ねぇは私の事「ミーちゃん」て呼んでる。
なんだか飼い猫の様に呼ばれているような感じが否めないんだけど、気のせいという事でごまかしておこう。
と、ここまではごく平凡な生活をさせてもらっていた私なんだけど、その日は突如にやってきた。
夏休み目前!。17歳の夏は今年しかない。もう二度と私にはめぐっては来ない夏。
そんな夏休みまで後2日。明日は修了式、かったるい校長先生の話を聞き流せば、きらきらと光り輝く夏休み突入……。の、はずだった。
「なぁ亜美、この後カラオケ行かねぇ」
帰り支度をしている私に、佐久間亜希子の顔が私の顔とくっつきそうなくらい近づけて言う。
「はぁん? なんでカラオケよ」
「いいじゃん。今日で授業終わったことだし、夏休みへの決起大会だよ」
「私たち二人で?」
「二人でじゃ何かあるのかよ」
「んー貞操の危機を感じるんだけどなぁ」
「あははは、なしなし。ただ歌ってはじけたいだけだよ」
いそいそと帰り支度する後ろの席の神宮寺真由美に亜希子は、ニマぁーとした目配りを送り。
「真由美も一緒なら行く?」と彼女を強引に誘う。
真由美とは中学の頃からの付き合い、おとなしくて目立たない子なんだけど意外と私たちとは仲がいい。
「え、私。無理無理。カラオケ苦手だもん」
片手と顔が反対方向? 思いっきり両方を真由美は振った。
「苦手はやっているうちにうまくなる!」
なんじゃそりゃ。
亜希子は真由美の手を取り。
「さ、行くよ」
ニッと白い歯を見せ、笑った。
こりゃ行くしかないな。亜希子の強引さには勝てない。いつもながら。
夏の熱い日差しは私たちの体を突き抜ける。
じっとりとした汗がにじみ出る。制服のブラウスが肌に密着してくるのがわかる。
不快指数60%
べたべたした肌に、亜希子がぴったりと体を寄せてくる。
亜希子の体からも、ほのかな湿り気を感じる。密着する肌。
不快指数プラス10%で70%。それに亜希子の肌が触れるたび私の体がヒクンとなる。
これは不快指数に入れるべきかな?
電車に乗れば冷房が効いている……はず! 少しはほっと一息つけるだろう。
不快指数90%。混雑した電車の中は蒸し蒸し、それでも冷房の吹き出し口の真下だから何とか耐えられた。残りの10%は気力で耐えるしかない。
私の両腕に亜希子と真由美の、胸が触れる。すっと亜希子が私の正面に体をずらした。
押されてきたんじゃない、わざとずらしたんだ。
ニコッとした顔つきで、亜希子の手が動こうとしたとき電車は駅に着いた。
行きつけの駅前のカラオケ店。
冷房が効いた店内に入ると同時に、不快指数50%まで回復。
それでもまだ汗ばんだ体はべとつき感が否めない。
「あー喉乾いたぁ」
「私飲み物持ってくるね。何がいい?」
亜希子は「私コーラ」。真由美は「んー、オレンジジュースかな」
「コーラとオレンジジュースね。わかった」
もう亜希子はタブレットで曲を入れ始めていて、戻ってくると、すでに1曲目を歌い終わっていた。
「はや!」
「はやって、時間もったいないじゃん。次、亜美いくよ」
テーブルに置いたコーラを「ゴクっ」と一口飲んで「ぷはぁ~」。
まるでおじさんだな。亜希子の数年後の姿を見てしまったかのようだ。
「ほら、始まっちゃう」とマイクを持たされ、ノリノリで熱唱する私も亜希子のことは言えない。
無理やり連れだされた真由美は、スマホとにらめっこ。そんな真由美の腕を引き上げ、「次、3人で行くよ」と、肩に手をまわし、きょとんとする真由美と共に私たち3人は声をそろえて歌った。
楽しかった。楽しい時間は、ほんとに時間を感じさせない。
このスマホが鳴るまでは……。
「もしもし、ミーちゃん」
美代ねぇからだった。
「今どこにいるの?」
「亜希子と真由美でカラオケだけど」
「そう、楽しんでいるところ悪いんだけど。今すぐ帰ってきて」
「なんで……?」
「これから家族会議始まるから」
家族会議? て、なによ!
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