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第58話 季節が変わるその時期に ACT4
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杉村愛華。今僕が付き合っている彼女……と、言っていいのか?
学校ではなんだかすでに公認の仲になっているようだ。
それも、担任が広めたというお墨付き。
はぁ―ちょっと待ってくれよ頼斗さん。確かに相談したことは、今更いいんだけど。それをさ、ホームルームで公表しなくたっていいんじゃねぇの!!
クレームだ!! 頼斗さんに「なんで愛華と付き合っているなんていうんだよ」ってメッセージを送ると。
即座に「あははは、まずかったか? でもそう言う関係になってんだろ。ネタはもう上がっている。それに杉村の成績も何とかお前が居れば大丈夫そうだしな」
「それって、何? 成績のことでくっ付けただけじゃん」
「いやいや、海外にいる杉村の母親の代わりに、あの美人で若い祖母さんと面談した時に向こうから言ってきたんだよ。お前と杉村がいい仲だっていうのをさ」
「はぁ―」とため息が出てきた。
まぁ確かにその、愛華の家ではもうすでに公認と言うか、知られているわけで。特に佳奈美さんにはなんかものすごく気に入られてしまい。
「ねぇねぇ、来年にはひ孫の顔見られるかなぁ」なんて、と言うかそのあとに「結城の子なら私が身籠ってもいいんだけど」
愛華が付け加えるように「そっかぁ―、でもまだ生理あるんでしょ。出来るかもよ」なんてあおる始末。
正直出来ないようにするのが難しい? 避妊すればいいだけなんだけど、ホント期待されちゃってるというか、なんかそのままずるずると行きそうな気がして怖いくらい。
それに佳奈美さんは「別に愛華と必ず結婚しなくたっていいよ。あんたの子だったら大歓迎さ」と言うし。
当の愛華も「そうねぇ―、私の本性ここまでさらけ出せるのって、結城だけしかいないんだもん。つながり持ってくれればそれでもいいんだけど。2番、3番でもいいよ」
それでもって、担任に妊娠宣告ですか?
そこまでしますか? ――――普通?
確かにお店の跡継ぎが欲しいというのはよくわかるんだけど。まぁそれだけじゃないというのもよく伝わってくる。
まずは、愛華の性欲と性癖は表に出しちゃいけない。
気温が下がってきたこの季節、裸でいるのには寒くなってきているのもある。それでも部屋が暖房で温かくなると脱ぐ始末。
「結城も脱いじゃえばいいのに」と愛華は言うけど、決してこの家族と言うかこの家系は裸族ではない。
性欲が強すぎるがために、そうしているというのが本音だということを理解した。
そんな二人を知り尽くしている佳奈美さんの旦那……愛華からすればお爺さんになるんだろうけど、この家には寄り付かない。
この二人の餌食になるのがわかっているからだ。もしこれに愛華の母親が居たら――――もっとすごいことになっていたのか?
それでも愛華との関係はどんどん深まっていくような感じだ。
「なぁ結城よ。お前、そこまで惚れ込まれているんだったら、もう、腹決めたらどうだ!」
「腹決めるって? 結婚しろっていうこと?」
「じゃねぇのか?」と、頼斗さんは他人事のように言う。
ま、確かに他人事なんだろうけど、一応担任なんだけど。受け持つ生徒が在学中に妊娠出産? また問題ですよ。もしかしてそれこそ学校首になりかねないんじゃねぇ。
「あのさ、それじゃ、自分はどうなんだよ。頼斗さん。新しい彼女でももう出来ましたか?」
頼斗さんはきっぱりと「いや、いねぇぞ。出来ねぇんだなこれがまたぁ」
いつしか通話モードになっていた。
「女子生徒には人気あるのにね」
「あははは、生徒に手付けたらそれこそ懲戒解雇だぜ。でもさ、正直いねぇんだよ。彼奴を超える女性が……」
「なんだよ、実は律ねぇに未練まだたっぷりなんじゃない? そこんとこ否定したくないんでしょ。ねぇ兄さん」
「うっ! お前最近つえぇよな! 仮にも俺、お前より年上だし一応担任様なんんだぜ」
「あのさぁ―、この際そんなこと言ってられないんじゃない。未練たらたら、垂れ流し状態なんだもん。もう一度ちゃんと向き合ってみたらどうかな律ねぇと」
「……そ、それでお前はいいのかよ。お前だってそのなんだ、彼奴の事……」
「僕らはそう言う関係じゃねぇていうの。まぁ確かにさ、もし律ねぇがどこかの人と本当に結婚しちゃったら。繋がりは……もう切れているんだろうけど、永遠に手の届かないところに行ってしまうのが、なんかものすごく寂しい。家族のようだったし。実際はそれ以上の関係だったけど。でもできることなら、ずっと繋がりがあってほしいんだ。どんな形でも」
「それがお前の本音か?」
「――――そ、そうだね」
「それにこの俺を利用しようとしているっていうことか?」
「そう取られてもいい。そうなれるのなら、僕も納得するよ。―――――――兄さん」
馬鹿か、お前は。
頼斗さんはそう言って通話を切った。
学校ではなんだかすでに公認の仲になっているようだ。
それも、担任が広めたというお墨付き。
はぁ―ちょっと待ってくれよ頼斗さん。確かに相談したことは、今更いいんだけど。それをさ、ホームルームで公表しなくたっていいんじゃねぇの!!
クレームだ!! 頼斗さんに「なんで愛華と付き合っているなんていうんだよ」ってメッセージを送ると。
即座に「あははは、まずかったか? でもそう言う関係になってんだろ。ネタはもう上がっている。それに杉村の成績も何とかお前が居れば大丈夫そうだしな」
「それって、何? 成績のことでくっ付けただけじゃん」
「いやいや、海外にいる杉村の母親の代わりに、あの美人で若い祖母さんと面談した時に向こうから言ってきたんだよ。お前と杉村がいい仲だっていうのをさ」
「はぁ―」とため息が出てきた。
まぁ確かにその、愛華の家ではもうすでに公認と言うか、知られているわけで。特に佳奈美さんにはなんかものすごく気に入られてしまい。
「ねぇねぇ、来年にはひ孫の顔見られるかなぁ」なんて、と言うかそのあとに「結城の子なら私が身籠ってもいいんだけど」
愛華が付け加えるように「そっかぁ―、でもまだ生理あるんでしょ。出来るかもよ」なんてあおる始末。
正直出来ないようにするのが難しい? 避妊すればいいだけなんだけど、ホント期待されちゃってるというか、なんかそのままずるずると行きそうな気がして怖いくらい。
それに佳奈美さんは「別に愛華と必ず結婚しなくたっていいよ。あんたの子だったら大歓迎さ」と言うし。
当の愛華も「そうねぇ―、私の本性ここまでさらけ出せるのって、結城だけしかいないんだもん。つながり持ってくれればそれでもいいんだけど。2番、3番でもいいよ」
それでもって、担任に妊娠宣告ですか?
そこまでしますか? ――――普通?
確かにお店の跡継ぎが欲しいというのはよくわかるんだけど。まぁそれだけじゃないというのもよく伝わってくる。
まずは、愛華の性欲と性癖は表に出しちゃいけない。
気温が下がってきたこの季節、裸でいるのには寒くなってきているのもある。それでも部屋が暖房で温かくなると脱ぐ始末。
「結城も脱いじゃえばいいのに」と愛華は言うけど、決してこの家族と言うかこの家系は裸族ではない。
性欲が強すぎるがために、そうしているというのが本音だということを理解した。
そんな二人を知り尽くしている佳奈美さんの旦那……愛華からすればお爺さんになるんだろうけど、この家には寄り付かない。
この二人の餌食になるのがわかっているからだ。もしこれに愛華の母親が居たら――――もっとすごいことになっていたのか?
それでも愛華との関係はどんどん深まっていくような感じだ。
「なぁ結城よ。お前、そこまで惚れ込まれているんだったら、もう、腹決めたらどうだ!」
「腹決めるって? 結婚しろっていうこと?」
「じゃねぇのか?」と、頼斗さんは他人事のように言う。
ま、確かに他人事なんだろうけど、一応担任なんだけど。受け持つ生徒が在学中に妊娠出産? また問題ですよ。もしかしてそれこそ学校首になりかねないんじゃねぇ。
「あのさ、それじゃ、自分はどうなんだよ。頼斗さん。新しい彼女でももう出来ましたか?」
頼斗さんはきっぱりと「いや、いねぇぞ。出来ねぇんだなこれがまたぁ」
いつしか通話モードになっていた。
「女子生徒には人気あるのにね」
「あははは、生徒に手付けたらそれこそ懲戒解雇だぜ。でもさ、正直いねぇんだよ。彼奴を超える女性が……」
「なんだよ、実は律ねぇに未練まだたっぷりなんじゃない? そこんとこ否定したくないんでしょ。ねぇ兄さん」
「うっ! お前最近つえぇよな! 仮にも俺、お前より年上だし一応担任様なんんだぜ」
「あのさぁ―、この際そんなこと言ってられないんじゃない。未練たらたら、垂れ流し状態なんだもん。もう一度ちゃんと向き合ってみたらどうかな律ねぇと」
「……そ、それでお前はいいのかよ。お前だってそのなんだ、彼奴の事……」
「僕らはそう言う関係じゃねぇていうの。まぁ確かにさ、もし律ねぇがどこかの人と本当に結婚しちゃったら。繋がりは……もう切れているんだろうけど、永遠に手の届かないところに行ってしまうのが、なんかものすごく寂しい。家族のようだったし。実際はそれ以上の関係だったけど。でもできることなら、ずっと繋がりがあってほしいんだ。どんな形でも」
「それがお前の本音か?」
「――――そ、そうだね」
「それにこの俺を利用しようとしているっていうことか?」
「そう取られてもいい。そうなれるのなら、僕も納得するよ。―――――――兄さん」
馬鹿か、お前は。
頼斗さんはそう言って通話を切った。
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