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第53話 あの子とこの娘とそして君もなの? ACT 19
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そんなことを考えると昨日ここから帰るときに杉村が言った「好きです」と言う言葉が頭の中を駆け巡る。
それよりもキス、したんだよな。ただ、唇と唇が降れるだけの軽いキスだったけど。
て、おいおい、それでもキスはキスだろ。
あっ! キスって言えば。昼にもしたな……満里奈と。
「これは恵美先輩との間接キスです」て、恵美と満里奈がねぇ―、意外と言うかあの恵美がそっちの方に行っていたとは……ていうかさ、もう恵美は響音さんの事。
なんかいまいちわかんねぇよな。彼奴の気持ち。
確かに響音さんと言う人の存在を知ってしまったからこんな事思うんだろうけど、あの時の恵美の泣き叫んだ声はまだ、彼に対する思いがたくさん残っていたように思える。
それなのに。と言うか、そうだからなのか? いや、でもあの恵美だぞ。もしかして、響音さんを忘れるために、でも男とは付き合えないから、同姓の女性としかも後輩と付き合っているていうのか?
女同士なら心を許せる。
ああ、もしそうならば。
やめておこう。これ以上のことを今考えるのはやめておいた方がいいよな。
「あのぉ、笹崎君。……笹崎君?」
耳元で、声が聞こえるしかもものすごく近くで。
気が付けば杉村が顔を近づけて耳元で呼びかけていた。
「えっ、うわぁ!」あんまり彼女の顔が近くにあって思わず声を出してしまった。
「何よそんなに驚かなくたっていいじゃない」
ぷぅぅ―と頬を膨らませて杉村がちょっと怒った感じに言う。それでも彼女の顔は少し赤く染まっていた。
「ご、ごめんびっくりしちゃって」
「もう、何よ、さっきから呼んでいたのに、無視ですか?」
「いや、無視だなんて、ちょっと考え事を」
「何考えていたんですかねぇ――。もしかして三浦さんの事? あ、それともあの乃木満里奈っていう子の事?」
なに何、なんでいきなりそこんところに行くんだ!
「あ、やっぱり当たってたんでしょ」
「別にそんなんじゃないよ」
「ふぅ―ん、どうだかね。それよりもさ、勉強教えてくれるっていう約束。そうだったでしょ」
「あ、はい教えます」
「今日もさ、北城先生に言われちゃったんだ。中間頑張れよって。なんかさ、プレシャーかけられちゃった」
ニコットほほ笑んで言うところはなんだろう、別な意味も込めてのことなんだろうか。
しかし、頼斗さん。意外と見えないところで教師してたんですねぇ――。ちゃんと幸子さんに報告しておいた方がいいだろうな。何せ、ものすごく心配していたようだったから。
「何よそこんところでニヤつかないでくれる! 本当に私、おバカだって言われてるみたいなんだけど! 確かにさ、成績ほんとよくないのは事実なんだけど」
「ごめん、そんな意味じゃないんだよ。で、杉村苦手なの数学と英語だったよね」
「うんうん、そうだよ。この2教科はほんと苦手。ダメダメなんです」
「夏休み前の期末ってどんくらいだったの?」
「えええええええっと、それって聞くの?」
「聞いちゃまずいくらいだったの?」
「う―――――――――ん。物凄く恥ずかしい」
「もしかして……赤点ギリだったとか?」
「ウっ、あははははは―――――あ、赤点……ねぇ。なハハハハハ」
笑ってごまかそうとしているのが見え見え。
「もしかして……。30点くらい――――とか?」
杉村の視線がちょっと明後日の方向に飛んでいったような。
「も、もう少しかな」
「じゃぁ、35点とか?」
「いやいや、そっちじゃなくて――――」
えええっと、そっちじゃないっていうのは。あははは、まさか。
「もう正直に言うけど。数学15点。英語に関しては10点だった」
「へっ!」
「もうあきれたでしょ。いいんです。もう私おバカなのはわかりきっているからいいんです。さすがの笹崎君でもこんなにおバカ相手だと、どうにもならないって言いたいんでしょ」
あっ、切れた――杉村。
顔が真っ赤だ!
「どうせいいんですよ。無理だったら無理って言ってくれった方が、はじめに言ってくれた方がいいよ。あとで傷つくより傷が浅くて済みそうだから」
今度はすねた。膝を抱え込んでその膝の上に自分の顔を埋め込ませてぶつぶつと言っている。
「別に、点数がどうのこうのじゃないと思うんだけど」
いやいやこうなった時に言う言葉が見つからなくて、こんなこと言っちゃったけど。実際どうなんだろ。
「ほんと? でももう手の付けようがないって思ってるんでしょ」
「ええええっと、あのさ、期末の答案用紙まだ持っている?」
杉村は、膝を抱えたままこくんとうなずいた。
「じゃぁさ、とりあえずそれ見せてよ」
彼女はその答えを少しの間返さなかった。
そして「じゃぁ、私の部屋に来てよ」と小さな声で言う。
部屋に……。
その言葉に反応するかのように、胸がどきどきし始めてきた。
それよりもキス、したんだよな。ただ、唇と唇が降れるだけの軽いキスだったけど。
て、おいおい、それでもキスはキスだろ。
あっ! キスって言えば。昼にもしたな……満里奈と。
「これは恵美先輩との間接キスです」て、恵美と満里奈がねぇ―、意外と言うかあの恵美がそっちの方に行っていたとは……ていうかさ、もう恵美は響音さんの事。
なんかいまいちわかんねぇよな。彼奴の気持ち。
確かに響音さんと言う人の存在を知ってしまったからこんな事思うんだろうけど、あの時の恵美の泣き叫んだ声はまだ、彼に対する思いがたくさん残っていたように思える。
それなのに。と言うか、そうだからなのか? いや、でもあの恵美だぞ。もしかして、響音さんを忘れるために、でも男とは付き合えないから、同姓の女性としかも後輩と付き合っているていうのか?
女同士なら心を許せる。
ああ、もしそうならば。
やめておこう。これ以上のことを今考えるのはやめておいた方がいいよな。
「あのぉ、笹崎君。……笹崎君?」
耳元で、声が聞こえるしかもものすごく近くで。
気が付けば杉村が顔を近づけて耳元で呼びかけていた。
「えっ、うわぁ!」あんまり彼女の顔が近くにあって思わず声を出してしまった。
「何よそんなに驚かなくたっていいじゃない」
ぷぅぅ―と頬を膨らませて杉村がちょっと怒った感じに言う。それでも彼女の顔は少し赤く染まっていた。
「ご、ごめんびっくりしちゃって」
「もう、何よ、さっきから呼んでいたのに、無視ですか?」
「いや、無視だなんて、ちょっと考え事を」
「何考えていたんですかねぇ――。もしかして三浦さんの事? あ、それともあの乃木満里奈っていう子の事?」
なに何、なんでいきなりそこんところに行くんだ!
「あ、やっぱり当たってたんでしょ」
「別にそんなんじゃないよ」
「ふぅ―ん、どうだかね。それよりもさ、勉強教えてくれるっていう約束。そうだったでしょ」
「あ、はい教えます」
「今日もさ、北城先生に言われちゃったんだ。中間頑張れよって。なんかさ、プレシャーかけられちゃった」
ニコットほほ笑んで言うところはなんだろう、別な意味も込めてのことなんだろうか。
しかし、頼斗さん。意外と見えないところで教師してたんですねぇ――。ちゃんと幸子さんに報告しておいた方がいいだろうな。何せ、ものすごく心配していたようだったから。
「何よそこんところでニヤつかないでくれる! 本当に私、おバカだって言われてるみたいなんだけど! 確かにさ、成績ほんとよくないのは事実なんだけど」
「ごめん、そんな意味じゃないんだよ。で、杉村苦手なの数学と英語だったよね」
「うんうん、そうだよ。この2教科はほんと苦手。ダメダメなんです」
「夏休み前の期末ってどんくらいだったの?」
「えええええええっと、それって聞くの?」
「聞いちゃまずいくらいだったの?」
「う―――――――――ん。物凄く恥ずかしい」
「もしかして……赤点ギリだったとか?」
「ウっ、あははははは―――――あ、赤点……ねぇ。なハハハハハ」
笑ってごまかそうとしているのが見え見え。
「もしかして……。30点くらい――――とか?」
杉村の視線がちょっと明後日の方向に飛んでいったような。
「も、もう少しかな」
「じゃぁ、35点とか?」
「いやいや、そっちじゃなくて――――」
えええっと、そっちじゃないっていうのは。あははは、まさか。
「もう正直に言うけど。数学15点。英語に関しては10点だった」
「へっ!」
「もうあきれたでしょ。いいんです。もう私おバカなのはわかりきっているからいいんです。さすがの笹崎君でもこんなにおバカ相手だと、どうにもならないって言いたいんでしょ」
あっ、切れた――杉村。
顔が真っ赤だ!
「どうせいいんですよ。無理だったら無理って言ってくれった方が、はじめに言ってくれた方がいいよ。あとで傷つくより傷が浅くて済みそうだから」
今度はすねた。膝を抱え込んでその膝の上に自分の顔を埋め込ませてぶつぶつと言っている。
「別に、点数がどうのこうのじゃないと思うんだけど」
いやいやこうなった時に言う言葉が見つからなくて、こんなこと言っちゃったけど。実際どうなんだろ。
「ほんと? でももう手の付けようがないって思ってるんでしょ」
「ええええっと、あのさ、期末の答案用紙まだ持っている?」
杉村は、膝を抱えたままこくんとうなずいた。
「じゃぁさ、とりあえずそれ見せてよ」
彼女はその答えを少しの間返さなかった。
そして「じゃぁ、私の部屋に来てよ」と小さな声で言う。
部屋に……。
その言葉に反応するかのように、胸がどきどきし始めてきた。
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