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第19話 僕の知らない彼女 ACT 4
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「あはははは、そりゃ、災難だったな結城」
孝義にあのいきさつを話した。本当は誰にも知られずにおいておいた方がいいことくらいわかっている。でもなんだ! 自分の腹の虫が収まらなかったからだ。
恵美のあの一方的な態度とあの言葉。
それにまだ両方の頬がひりひりする。ま、キスされたことは伏せておいてはいるんだけど。
「あ、私知ってるよ。乃木満里奈、1年の子でしょ。三浦さんにべっとりの子」
「そ、そんなの知らないよ。なんで今まで知らなかったんだそういうの」
「だって、乃木さんも吹奏楽部で、普通はさ、ほら学年も違うし、1年と2年の教室って1階と2階じゃん。さすがに1年が2階に上がるのには何か用事がないと上がってこれないでしょ」
「そう言うもんなの?」
「そういうもんよ。でも部活中はかなり乃木さん三浦さんに引っ付いて離れないらしいの。これって女子の中じゃ結構知られているわよ。ふたり、もしかしてレズじゃないのかって」
「レズ? ……もしかして、それってその、なんだそう言うことなのか?」
「あくまでも噂よ。三浦さんは面倒見がいいから乃木さんのことかわいがっているけどね。それがまた他からはそんな感じに見えちゃうんだと思うんだ」
なんか複雑……あの恵美がなぁ。
「何よ笹崎君、三浦さんと一緒に暮らしているのにそんなことも聞いていなかったの?」
「はぁ、そんなっことって、聞けるわけねぇじゃん」
「うっそだぁ! もう実はうちに帰ると夫婦みたいな生活してんじゃないのぉ」
戸鞠がなんとなく怪訝そうな感じに言う。
「なんで、お前がそんな感じに言わなきゃいけねぇんだよ」孝義がこれはあからさまに嫉妬だというのを表に出しているのがよくわかる。
これ以上戸鞠にこっちのことに加担させると、孝義がブチ切れるのが目に見えている。
「はぁー」と一つため息が出た。
僕自身と恵美のこともそうなんだが、孝義と戸鞠のこともなんだ、もういい加減はっきりとさせた方がいいんじゃないのかと最近は強く思う。
確かに孝義は戸鞠のことが好きだというのは、わかっている。しかしだ、その孝義自身、戸鞠に何度か「俺とつか合わねぇのか」と告っている? そう言ってもいいのかどうかは本人たちの受け止め次第だと思うけど、言っているのは事実だ。でも当人の戸鞠はあいまいな返事しか返していないらしい。
そんなことがもうかれこれ半年も続いている。
別に戸鞠は孝義のことが嫌いという訳でもない。何度かそう言う風に付き合おうといわれているのにはっきりとした返事をしない割には、孝義とは仲がいい。
一見すればこの二人は付き合っているのんだという感じに見えなくもない。
なんか不思議なんだよなぁ。
それと不思議といえばもう一人、杉村愛華だ。
彼女はおとなしい、どちらかといえばあんまりクラスの中に溶け込もうとはしないタイプの子だ。
それでも僕らの仲にはなんとなく溶け込んでいる。
元気丸印で健康優良児的な戸鞠の性格とは反対で、ひっそりとどこかで誰にも邪魔されず、読書をしている姿の方がしっくり来るという感じの子だ。
それでも、戸鞠とはにこやかに話をしたり、たまに軽い冗談を言ったりしている。
これもちょっと不思議といえば不思議な感じがする。
まぁ僕たち4人はものすっごくアンバランスな関係かもしれないけど、実際仲はいいと僕は思っているし、孝義を含め彼女2人もそう思ってくれていると僕は感じている。
まぁこれに恵美が、恋人という間でなくとも、気軽に話ができる仲間としていてくれれば、ものすごく気が楽なんだけど。
でも実際は針のむしろに正座させられているような状態だ。
それに今日のことが加わって、さらに重しを載せられた感じがする。……これってもしかして拷問じゃないのか?
でもまだ僕の胸の中にはあの恵美の、河川敷で泣き叫んでいた恵美の姿が消えることなく残っている。
そして、恵美は、河川敷で奏でるアルトサックスの音色を聞くたびに、僕の知らない恵美の姿がまた浮かび上がる。
その姿が僕に好きを求めているような感じに思えるのは、単なる自分の苦ってなのかもしれない。
僕は本当にあの時、恵美を好きになっていたのか?
忘れていた幼い頃の面影を思い出しただけ、それともあの悲しげな音色のアルトサックに感かされていただけだったのか。
そんなことを考えると、また胸の奥がなぜか苦しく思えるのはなぜだろう。
孝義にあのいきさつを話した。本当は誰にも知られずにおいておいた方がいいことくらいわかっている。でもなんだ! 自分の腹の虫が収まらなかったからだ。
恵美のあの一方的な態度とあの言葉。
それにまだ両方の頬がひりひりする。ま、キスされたことは伏せておいてはいるんだけど。
「あ、私知ってるよ。乃木満里奈、1年の子でしょ。三浦さんにべっとりの子」
「そ、そんなの知らないよ。なんで今まで知らなかったんだそういうの」
「だって、乃木さんも吹奏楽部で、普通はさ、ほら学年も違うし、1年と2年の教室って1階と2階じゃん。さすがに1年が2階に上がるのには何か用事がないと上がってこれないでしょ」
「そう言うもんなの?」
「そういうもんよ。でも部活中はかなり乃木さん三浦さんに引っ付いて離れないらしいの。これって女子の中じゃ結構知られているわよ。ふたり、もしかしてレズじゃないのかって」
「レズ? ……もしかして、それってその、なんだそう言うことなのか?」
「あくまでも噂よ。三浦さんは面倒見がいいから乃木さんのことかわいがっているけどね。それがまた他からはそんな感じに見えちゃうんだと思うんだ」
なんか複雑……あの恵美がなぁ。
「何よ笹崎君、三浦さんと一緒に暮らしているのにそんなことも聞いていなかったの?」
「はぁ、そんなっことって、聞けるわけねぇじゃん」
「うっそだぁ! もう実はうちに帰ると夫婦みたいな生活してんじゃないのぉ」
戸鞠がなんとなく怪訝そうな感じに言う。
「なんで、お前がそんな感じに言わなきゃいけねぇんだよ」孝義がこれはあからさまに嫉妬だというのを表に出しているのがよくわかる。
これ以上戸鞠にこっちのことに加担させると、孝義がブチ切れるのが目に見えている。
「はぁー」と一つため息が出た。
僕自身と恵美のこともそうなんだが、孝義と戸鞠のこともなんだ、もういい加減はっきりとさせた方がいいんじゃないのかと最近は強く思う。
確かに孝義は戸鞠のことが好きだというのは、わかっている。しかしだ、その孝義自身、戸鞠に何度か「俺とつか合わねぇのか」と告っている? そう言ってもいいのかどうかは本人たちの受け止め次第だと思うけど、言っているのは事実だ。でも当人の戸鞠はあいまいな返事しか返していないらしい。
そんなことがもうかれこれ半年も続いている。
別に戸鞠は孝義のことが嫌いという訳でもない。何度かそう言う風に付き合おうといわれているのにはっきりとした返事をしない割には、孝義とは仲がいい。
一見すればこの二人は付き合っているのんだという感じに見えなくもない。
なんか不思議なんだよなぁ。
それと不思議といえばもう一人、杉村愛華だ。
彼女はおとなしい、どちらかといえばあんまりクラスの中に溶け込もうとはしないタイプの子だ。
それでも僕らの仲にはなんとなく溶け込んでいる。
元気丸印で健康優良児的な戸鞠の性格とは反対で、ひっそりとどこかで誰にも邪魔されず、読書をしている姿の方がしっくり来るという感じの子だ。
それでも、戸鞠とはにこやかに話をしたり、たまに軽い冗談を言ったりしている。
これもちょっと不思議といえば不思議な感じがする。
まぁ僕たち4人はものすっごくアンバランスな関係かもしれないけど、実際仲はいいと僕は思っているし、孝義を含め彼女2人もそう思ってくれていると僕は感じている。
まぁこれに恵美が、恋人という間でなくとも、気軽に話ができる仲間としていてくれれば、ものすごく気が楽なんだけど。
でも実際は針のむしろに正座させられているような状態だ。
それに今日のことが加わって、さらに重しを載せられた感じがする。……これってもしかして拷問じゃないのか?
でもまだ僕の胸の中にはあの恵美の、河川敷で泣き叫んでいた恵美の姿が消えることなく残っている。
そして、恵美は、河川敷で奏でるアルトサックスの音色を聞くたびに、僕の知らない恵美の姿がまた浮かび上がる。
その姿が僕に好きを求めているような感じに思えるのは、単なる自分の苦ってなのかもしれない。
僕は本当にあの時、恵美を好きになっていたのか?
忘れていた幼い頃の面影を思い出しただけ、それともあの悲しげな音色のアルトサックに感かされていただけだったのか。
そんなことを考えると、また胸の奥がなぜか苦しく思えるのはなぜだろう。
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