月の雫、太陽の愛し子

珊螺

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不穏な空気

蜜に集まる蝶

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カイルはルヴェリエ国王に提案をした。気に入らないが・・・。


最近、巷で騒がれている月の雫の存在についてだ。


噂ではある令嬢が月の雫であると公言しているらしいと。


その噂の出所の犯人の確保をしたいとカイルがルヴェリエ国王に進言したのだ。


「して?それはでまかせだという理由は?」


「今まで雫が誰であろうと言われてこなかったのにここで噂になることが変で調べました。その結果、ある人物が噂を流しているようです。」


兄上のラベルト殿下が調べてきたことも伝えつつ、この事案について解決策を提案した。


「ある令嬢が噂を流し、王子に取り合ってもらおうという魂胆なので利用しようと思います。父上に協力を願いたいことがあります。」


「ふむ?なんでもしてやるがなにをするんだ?」


「私としては気がのらないんですが、王宮に私の婚約者探しのため舞踏会をひらくというものの餌に誘い出そうとおもいます。まぁ、ラベルト兄上の婚約者探しでもいいんですけどね。」


その提案にルヴェリエ国王はガハハと大笑いした。


「まぁ、いいんじゃないか?協力しよう。」


肩が揺れたままだが、見なかったことにした。


カイルが王太子になって以来舞踏会は開かれていなかった。興味がないことが意味していたが、今回ばかりは自分の出番があるようだった。


(しかしそのままにしてはおけないし、気が乗らないがやるほかない。


月の雫であろうと公言はできないはずなのにそんなこともしらない雑魚か・・・。)


月の雫も太陽の愛し子も自分でその存在をだれかに言えるはずはないのだ。


言おうとすると言葉がつっかえるからだ。


でも、まず雫と愛し子の間には特別なものがあり、感覚で繋がっているため嘘かどうかは分かる。


が、他者はそういう訳にはいかない。感覚で繋がっていると知っているのは雫と愛し子本人たちなのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


王宮から通達が出た。カイル王太子の婚約者探しのため舞踏会を開くというものだった。


令嬢たちにすぐ広まり、飛び付くように皆が参加を表明した。


その中にもちろんと言うか噂を流した令嬢も参加表明をした。


そこからの予定は忙しさを極めた。


同時にある言葉も密かに流した・・・。[カイル王太子は月の雫を探して舞踏会を開くらしい]と。


それを聞いたある令嬢は含み笑いをして舞踏会の日を待ちわびた・・・。


その令嬢に張り付く監視者はその様子を凝視していたことにも気がつかないようだった。


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