月の雫、太陽の愛し子

珊螺

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不穏な空気

闇に動きし影

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セレビア王国と隣国のヴェール王国の境目に位置する街、ハバル。


ハバルは位置的にはセレビア王国だか、隣国に近いこともあり国境としてはうやむやにされていたりする。


中心から外れた所にあるため、ハバルの治安はあまり良いとは言えなかった。


その街に似合わない二人がいた。


その二人のうち一人は女性でマントの下から見えるドレスは質が良いものに見える。


もう一人は男性で一歩後ろに控えて、立っているので騎士のような出で立ちだ。


だか、この不自然な人物に街の住民たちが目を向けることはない。


「・・・・・ねぇ、いつ現れるの。」


女性が痺れを切らして声を出した。


「もうすぐかと。」


感情を出さない男性の方はたんたんと答えるだけだった。


ふん!と女性は気にくわない答えにそっぽを向いてしまった。


ザァっと強い風が吹き抜けた直後に暗闇から一人の男が現れた。


「お嬢様、怒らないでくださいよ。こちらも仕事があるんすよ。」


全身黒い服で身を包み、深くフードを被るその男は妖しげに笑う。


「遅いじゃない。なにしているの!暇じゃないのよ!」


「まぁまぁ。落ち着いて。仕事の話をしましょう。」


寂れた小屋に三人が入っていった。


中にはテーブルと椅子が三脚あるだけだった。


「・・・で?依頼は王都で起こせばいいですかぃ?」


「そうね!王都のあたりでいいわ。」


男とお嬢様と言われた女性は座っているが、もう一人の男性は立ったままだ。


話始めた内容は不穏なものだった。


セレビア王国の王都でちょっとした騒ぎを起こすものだった。


前代未聞のこの騒ぎは王都を揺るがすだけでなく、国をも転覆させかねない。


後ろに控えたままの男性は口には出さないが、内心は反対したいが口出しできるわけがない。


感情を殺してそばに立っている他なかった。


内容を密に話していると時間は過ぎていった。


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