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セルビア王国の朝
王宮にて
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セレビア王国の王宮の一室。
きらびやかな部屋には、この国の王太子のカイル。
カイルは机に向かい、仕事中だ。
同じく部屋には側近のマディルが控えている。
「カイル様、今日は来客がありますが、いかがなさいますか?」
マディルの口ぶりはいつも来客の相手などしないかのようなものだ。
カイルは気だるげに書類から目を離す。
「・・・あー。来客って言っても、媚びた女どもだろう?」
「いやいや、そんなこと言っては令嬢たちが悲しまれますよ?」
ふぅ・・・・とため息をつき、書類を机に置いて
「今日も来客の相手はしない。忙しいんだ。」
いつも相手にはしないが、今日は一段と鋭さがあってマディルは押され気味だ。
「・・・・・さようですか。承知しました。」
マディルは来客の断りをしに部屋を出た。
部屋に一人残されたカイルは窓の外に目を向けた。
(一体いつまでつまんないことをしなくてはならない。俺はこんなことをしたいんじゃない。
この使命はマディルにも言えないが何となくは知ってるんだろうな。
月の雫よ、おまえは大丈夫か?大変なことはないだろうか・・・。
令嬢の中にはいないことは何となくわかる。)
ため息をつくと、カイルの視界に熱いものが横切った。
『愛し子よ、いかがした?月の雫は健在だぞ。まぁ、分かるだろうがな。
月の雫はまだ会うには早い。焦らずともいつか会えるであろう。』
カイルの肩にふわっと熱いものがトントンとつついた。
太陽が心配するなといっているようだ。
「そうだな、今は俺がやれるとこをやるしかないか。」
視線を戻し、書類の整理に戻った。
カイルは太陽の愛し子。生まれたときから太陽が寄り添い、成長を見てきた。
現在、13歳のカイル王太子は父である国王の元で次期国王になるべく勉強をしている。
カイルには兄にラベルト、弟にジェルミと妹にリラがいる。
次期国王には兄であるラベルトがなるのが順番としていいのだが、その兄は王になる気がない。
なんなら国王の補佐の方に回りたいと自ら言ってきたため次の順番でカイルに矛先が向いた。
弟も兄の活躍に目を輝かせ、自分も兄をサポートすると意気込み今では騎士見習いとして日々鍛練を欠かさない。
月の雫になった者も太陽の愛し子になった者も他者にはその事実は伝えられない。
その存在は大きく選ばれた者を守るため、他言無用になる。
しかし、雫と愛し子同士は感覚で繋がっており、会ったことがない人物であっても初めてでもお互いの認識はできるようになっている。
今現在、雫と愛し子は実際に会っていないため感覚のみで生きていることは分かる。
会えたとき何て声をかけるかカイルは不意に可笑しくて口許が緩んだ。
きらびやかな部屋には、この国の王太子のカイル。
カイルは机に向かい、仕事中だ。
同じく部屋には側近のマディルが控えている。
「カイル様、今日は来客がありますが、いかがなさいますか?」
マディルの口ぶりはいつも来客の相手などしないかのようなものだ。
カイルは気だるげに書類から目を離す。
「・・・あー。来客って言っても、媚びた女どもだろう?」
「いやいや、そんなこと言っては令嬢たちが悲しまれますよ?」
ふぅ・・・・とため息をつき、書類を机に置いて
「今日も来客の相手はしない。忙しいんだ。」
いつも相手にはしないが、今日は一段と鋭さがあってマディルは押され気味だ。
「・・・・・さようですか。承知しました。」
マディルは来客の断りをしに部屋を出た。
部屋に一人残されたカイルは窓の外に目を向けた。
(一体いつまでつまんないことをしなくてはならない。俺はこんなことをしたいんじゃない。
この使命はマディルにも言えないが何となくは知ってるんだろうな。
月の雫よ、おまえは大丈夫か?大変なことはないだろうか・・・。
令嬢の中にはいないことは何となくわかる。)
ため息をつくと、カイルの視界に熱いものが横切った。
『愛し子よ、いかがした?月の雫は健在だぞ。まぁ、分かるだろうがな。
月の雫はまだ会うには早い。焦らずともいつか会えるであろう。』
カイルの肩にふわっと熱いものがトントンとつついた。
太陽が心配するなといっているようだ。
「そうだな、今は俺がやれるとこをやるしかないか。」
視線を戻し、書類の整理に戻った。
カイルは太陽の愛し子。生まれたときから太陽が寄り添い、成長を見てきた。
現在、13歳のカイル王太子は父である国王の元で次期国王になるべく勉強をしている。
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次期国王には兄であるラベルトがなるのが順番としていいのだが、その兄は王になる気がない。
なんなら国王の補佐の方に回りたいと自ら言ってきたため次の順番でカイルに矛先が向いた。
弟も兄の活躍に目を輝かせ、自分も兄をサポートすると意気込み今では騎士見習いとして日々鍛練を欠かさない。
月の雫になった者も太陽の愛し子になった者も他者にはその事実は伝えられない。
その存在は大きく選ばれた者を守るため、他言無用になる。
しかし、雫と愛し子同士は感覚で繋がっており、会ったことがない人物であっても初めてでもお互いの認識はできるようになっている。
今現在、雫と愛し子は実際に会っていないため感覚のみで生きていることは分かる。
会えたとき何て声をかけるかカイルは不意に可笑しくて口許が緩んだ。
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