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第8章 混沌
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しおりを挟む「――あっ、ま、待って藍…!」
「無理、待てないよ、もう……」
由利が着ているTシャツの中に熱い手が侵入してきて、その体温にびくりと体を震わせる。藍の膝の上に乗せられ、片手で腰をがっちりと固定されて動けない。首筋に口付けながら腹部を撫でていた藍の手がどんどん上にあがってきて、敏感な部分をきゅっと摘まれた。
「んぁ……っ」
「ゆうり、ココで感じるようになってきた、ね」
「やめ、やだ、そんなこと言うなぁ…!」
「なんで嫌なの?可愛い」
「ひどい、ばか、ばからん……」
「ふふ。恥ずかしいと語彙力なくなるよね、由利って」
敏感な先端を指先でくすぐられたかと思えば、ぐにぐにと指の腹で押し潰したりして弄ばれると自分の口から出る甘い声が抑えられない。でも、壊れ物に触るかのように優しく触る藍からの弱い刺激に焦らされて、由利は無意識に自ら胸を突き出していた。
「……ねぇ、ゆうり?」
「ん、う、うん……?」
「由利が僕を奉仕しに来てくれたんじゃないの?」
「へ…?」
「由利が全部やってくれるのかと思ってた。でも、僕に気持ちよくしてもらいたいんだ?」
「えっ、あ、ごめ――ひぁっ!」
藍の機嫌を損ねたかと思い、慌てて膝の上から降りようとした由利は強い力で腰を押さえ込まれ、じゅっと音が響くほど胸の先端を吸われた。ねっとりと舌が絡みついてきて、コロコロと舌の上で転がされるように愛撫されると背中がのけぞるほどの快感に襲われる。
「由利、いつか胸だけでイケそうだね」
「やぁ、藍……」
「なんで?気持ちいいこと好きでしょ、由利は。中学生の僕を誘うくらい、セックス好きなくせに」
「うぅ、ちがうぅ……!」
「違くない。嘘つかないで、由利」
先端を噛まれ、もう片方の胸は藍の指に摘まれている。こんなところ、女の子じゃないんだから性感帯じゃないと思っていたけれど、しつこく弄られれば感じるようになるものだ。
「こんなに胸だけで感じてるのに、赤ちゃんできたらどうするの?」
「へぁ……?」
「赤ちゃんにミルクあげるだけでイっちゃう変態さんになりそう、由利」
そんなことを言いながら、藍は挑発的な瞳で見上げてくる。それと同時にカリッと甘噛みされ、びくっと体が跳ねた。
「お、俺に、赤ちゃんできないし……!」
「分からないよ。僕が由利をオメガにさせるから」
そう言いながら、藍の指がズボン越しにとんとんっと更に敏感なところをノックする。そこを暴かれて中に藍の精液を注いで欲しいと願っている自分は、やはり彼の言うように『オメガ』になる素質があるのだろうか。
「はぁ、由利……」
彼はこてんっと由利の胸元に頭を預けながら由利の敏感な部分を何度も指先でなぞり、熱いため息を漏らす。その息が肌にかかって火傷してしまうかと思ったほど。
「由利の奥の奥に出して、僕のものにしたい……」
耳元でそう囁かれ、ずくりと下半身が重くなった。藍が体の中に入ってくるのを想像して、彼に触れられているところがきゅっと締め付けてしまう。きっと、指を入れられていたら藍にバレていたかと思うと、顔に熱が集中するのが分かった。
「想像した?」
「し、してない……」
「ふは。顔、真っ赤で可愛いね由利。僕の熱、ぜんぶ由利にあげるね」
服も下着も剥ぎ取られ、藍の膝に乗ったまま冷たいローションが肌を伝っていく。噂で聞いたことがあるけれど、オメガの男性は発情すると自分の体から女性と同じように蜜が溢れてくるらしい。つまり、アルファの自分の体とは違ってローションなんて必要ないわけで、子供を授かるためにやはりオメガの体は作りが違うのかと思うと、少し虚しさが込み上げてきた。
「……俺がやる」
「ん?」
「藍はそのまま動かないで」
ぐちゅり、藍の指を無理やり引き抜くと卑猥な音がする。今まで体内に収まっていた藍の指がいなくなって寂しがっているそこに、由利は自ら腰を降ろして迎え入れた。
「あ、ん、んぅ……っ」
「っはぁ……やらしい、ゆうり…かわいい」
「か、わいくない!」
「可愛いんだよ、僕にとっては」
由利に可愛いと言うのは藍くらいなもので、その言葉にきゅうっと中を締め付けてしまう。由利の反応に彼は舌なめずりして、グッと両手で腰を掴まれた。
「自分でやるって言った割に、全然動いてないよ?そんなんじゃいつまで経ってもイけないから手伝ってあげる」
「やっ、だめだってば!だめだめ、しないで……っ」
「無理、由利が可愛いから動きたい、気持ちよくさせたい……」
ばちゅんっと音がするほど思いっきり突き上げられ、由利はその衝撃に目の前に星が散った。体位的に深くまで挿入されてしまうのと、ラット中の藍の圧倒的な質量に体の中が作り変わってしまうような、そんな気がした。
「愛してる、愛してる、あいしてる、由利……僕には由利がいれば何も、誰もいらない――」
どぷどぷと奥に注ぎ込まれているのが分かる。オメガではないので妊娠しないことくらい分かっているだろうが、彼は腰を揺らして最後の一滴まできっちりと由利の中に吐き出した。
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