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第2話 気付くと見知らぬ部屋…これって誘拐ですよね!?
しおりを挟む「ん... ここは?」
「Buenos días, princesa」
目が覚めると見知らぬ天井が見え、外国語が聞こえて飛び起きた。
目の前に広がるのは自分の部屋ではなく、見たこともない南国風な部屋だった。
オレンジ色の壁とアーチ型の窓にカラフルで細かな模様の絨毯や家具、そして色黒の男とか、ここはどこの国ですか?
忙しなく周囲を見回し、動揺しながらも何とか自分を落ち着けようと深呼吸を繰り返した。
すぅ~、はぁ~、すぅ~、はぁ~
「あれ? 無視とか、酷くナいですか?」
言葉とは裏腹に嬉しそうな声とニヤケた顔を向けてくる男が視界に入るが無視だ。
今は取り敢えず落ち着...
「落ち着けるかぁ!! ここどこ!? 何なのよここ!」
「ここハ私の家です」
「・・・はあ!?」
「ン~まぁ、確かニ、日本人の弥生には、落ち着かナイと思う。けど、もう少し我慢して下さイ。新居は一緒に考えたかったカラ、まだ決めてナいんです」
・・・え? 何、この男が何言ってんだかさっぱり分かんない。
今私はダニーの家にいんの? それは分かったけど、なんでこいつの家??
新居? 一緒に考える??
...はぁ? さっぱり分からない。マジで頭痛くなってきた。
「大丈夫でスか弥生、具合悪いですか? 悪阻かな?」
「...はあ!?」
「あれ? 覚えてナいですか? あんなに激しく愛しあったのに」
「っんな... ...!!!」
私が頭を押さえて俯いていると彼が優しく背中を撫でてくれる。
それにちょっとホッとしてると、とんでもない言葉が出てきた。悪阻って、何悲しそうな顔で言ってんの? そんなことあるわけ...
そのとき、フと思い出してしまった。
ここに来る前彼に気絶するまでキスされてたこと...
その瞬間急激に顔の熱が上がったことに気付いて慌てて俯いたんだけど、すぐに両頬を手で挟まれ上向かされる。
勿論その先には彼がいてジッと真剣な顔で私の顔を見詰めてくるので、私は目が合わないようにそろ~っと目線を下にやりジッとカラフルな絨毯を見詰めた。
「Linda」
「え? ...わっ、ちょっ!!」
「可愛い可愛い可愛い...なんで弥生はそんなに可愛いの!? 何、俺に犯されたいの!? いいよいいよ、今すぐシよう!!」
「はぁああ!? 寝言は寝て言えアホーー!!」
彼は真面目な顔で何事か呟くと突然抱きついてきたので驚いた。
しかも可愛い可愛いなんて連呼しながら服を脱がしてくるから怖過ぎる。
必死に暴れて抵抗するが、スルリと一枚奪われた。
「激しいSexと妊娠ハこれからしようね。大丈夫。怖くない怖くない」
「怖いわボケ!!」
ヤル気満々の変態メキシコ人は器用に人の服を脱がしながら笑顔で「怖くない」と洗脳のように繰り返してくる。
怖過ぎるわ!!
このままではヤバいと本気で頭をフル回転させ悩んでいると、パンッ、パンッパンッ と銃声のような乾いた音と怒鳴り声が外から聞こえた。
「...え? 銃声? ...いや、そんなわけないよね」
「うるせーな。俺と弥生の邪魔しやがって、始末してくるか?」
チッと舌打ちしながら窓の外を睨むダニー。
え、始末って、違いますよね。銃声もそんな日本の町中でそんなわけ...ないですよね??
そう思いながら窓から外の景色を見れば見慣れた黄色やオレンジや青の派手な家家が...
「はぁ!? なにこの景色!!?」
バッと立ち上がりアーチ型の窓から外を見るが、そこには見慣れた日本の町並みではなく異国情緒溢れる景色が広がっていた。
おもちゃの国かと思うほどありえないカラフルな家家に開いた口が塞がらない。
なんで壁も屋根もカラフルなの、落ち着きなさすぎるし目に悪すぎるわよこれ。
呆然とする今も時々パンッ、パンッと乾いた音が聞こえるし...
これ、絶対日本じゃないよね?!
それに治安、悪過ぎない!?
「なん... これ...」
「ん? あぁ、メキシコ人はガイコツ好きな人多いから「全然違う!!」
あまりのことに言葉が出てこない私に、ダニーはニコニコしながらガイコツの話をしだした。
全っ然違う!!
「ここ、...どこの国なの?」
「ん? さっき言ったでしょ私の家だって。メキシコですよ、忘れた?」
私の腰に手を回し横から密着してくるダニーは不思議そうに首を傾げた。
いや、意味分かんないから。なんでメキシコ? ビザは? ってか私パスポート持ってないし空港行った記憶もないんだけど。
顔面蒼白になっているだろう私にお構い無しにブラの紐を下げようとするダニーの手を叩く。
「私、空港行った? パスポートないのに海外行けるの?」
「うん。弥生ならいつでもBienvenidaですよ」
「分かんないから」
「Welcome。弥生ならメキシコ中どこデも好きな場所に、連れて行ってあげます」
「いやいや、日本ですから私、日本人。なんでメキシコに? いつ出たの??」
「昨日の夜。ちょっとキスしただけで弥生眠ってシまうから、私寂しくて...一緒の飛行機乗って家ニ帰ってきました」
「いや意味分かんないから!!」
悲しそうな顔で、寂しかったから連れ帰るとか意味分からんわ!
しかもさっきから後ろのホック外そうとしてやがるからこいつ! 人の鎖骨撫でたりお尻撫でたりしつこいのよ!
普通に会話できんのか!!
「本当に。キスだけで眠ってしまうなんて、弥生って不思議」
「私は不思議じゃねーよ! お前の言った飛行機乗せて連れて来たって誘拐宣言が意味分かんないから!!」
「誘拐? 弥生は私の所に嫁いで来たんですよ」
「は?」
「弥生は今日から私の奥さんです。新婚初夜なんて...興奮シますね?」
「今明るいし夜じゃねー!! だから初夜じゃないから!!」
「ん、すぐ夜になります」
キスで眠るとか...酸欠で失神したのにふざけたこと言われて怒ると、弥生は嫁いで来たとか意味不明な言葉が返ってきた。
新婚初夜だとか頭沸いてることを言いだしたかと思うと彼は突然私をヒョイとお姫様抱っこし、すぐにベッドに直行するので必死で止めようとするが...本当にこの男は人の言うことを聞かない。
ベッドに寝かされ慌てて起き上がろうとするが、すぐに覆い被さってきて動きを封じられる。
ギッと睨み付けるが微笑まれただけで顔が赤くなってしまう。くそ、無駄なイケメンが!!
「私の顔、好きですよね弥生」
「...イケメンだからね」
「この顔に生んでくれた両親に感謝します」
私の言葉に、すごく嬉しそうに笑ったその顔が綺麗で思わず見惚れてしまった。
ハッと正気に戻ったときには綺麗な顔が目の前で、すぐに口付けられた。
驚いている間に舌が咥内へと入り込み、私の舌にじゃれつくように何度も触れてくる。
昨日のディープなキスとのあまりの違いに困惑する。
そんな私の内心が分かったのか、ダニーは「ふふ」っと笑ってから「あんまり激しくすると、弥生は寝てしまうから」とキスの合間に言った。
ムッとして睨み付けるも、何とも言えない慈愛に満ちたその顔を見て何も言えなくなる。
何よその顔、愛しいって思いが全力で伝わってくるじゃん。
なんか、ずるい...
怒るに怒れなくなった私のムスッとした雰囲気を感じとったのか、ダニーはずっとニコニコ嬉しそうで。
優しい口付けは、不馴れな私の為に途中で口を離して息を吸うタイミングをくれて、その度によくできましたと言うように頬や頭を撫でてくる。
あぁ、くそ... キュンとするじゃん。強引なのとのギャップが卑怯過ぎる!
益々膨れっ面になる私に、それすら愛しいと優しい目が全てを語っている。
本当に、イケメンはずるい。その顔だけでもう、何も言えなくされるんだから。
そっと離れた顔はそのまま私の鎖骨に口付け、首筋を舐めたりキスしたり。
合間合間に「好き」とか「愛してる」とか、何か外国語も交えながら何度も何度も繰り返される。
悔しいけど、いつの間にかすっかり絆されちゃった私にはその全てが嬉しくて...思わず口からポロリと零れた。
「私も...好き」
しかし、すぐに後悔することになる。
ピタリと動きを止めたダニーが首筋に埋めていた顔をゆっくり上げると、なぜかその顔に表情がない。
えっ!? なんか怒らせた??
「んんぅ!!?」
そんな風に動揺している私にいきなり口付けてきたけど、それはさっきまでの初心者に優しいものから昨日の激しいキスに変わっていた。
お互いの舌が蛇のように巻き付きうねっては前後し、唾液ごと吸われればジュルジュルと卑猥な音を立てる。
唾液がなくなると早く出せと急かすように舌を噛まれたり奥に舌を突っ込まれたりやりたい放題だ。
それに、胸を痛いくらいの力で揉まれ「んん!」っと抗議の声を上げても止まってくれず、多少力は緩めてくれたが激しく揉みしだかれる。
「はっ、はぁ、はぁ、はぁ」
唇が離れた隙に急いで酸素を取り込んだ。
一応気遣ってくれたらしく昨日よりは早い解放だが、苦しいものは苦しい。
まだ鼻で呼吸なんてできないわよ!! 26年彼氏なしを舐めるなアホ! ! あんなサービス残業多い会社にしがみつくしかない女馬鹿にすんな!!
と、脱力した身体で必死に息を整えながらダニーを睨み付けるが、そこにあったのはやはり無表情。
...恐い。
彼はベッドで身動きできない私を追い詰めるように顔の横に手を置いて、焦らすように殊更ゆっくり顔を近付けてくる。
...遅い。
この遅さに恐怖を引き立てられて、知らず後ずさるが腰を掴まれ止められた。
恐怖から逸らすこともできず見詰め続けるがその表情は変わらない。
そうして私の肩に顔を埋めたダニーは耳元で囁いた。
「煽る弥生が悪いんですよ?」
先程までの無表情からは考えられない愉悦を多分に含んだその言葉に、私の頭は理解できず思考が止まった。
・・・こっ、殺される!!
私の頭に浮かんだのは銃で頭を撃ち抜かれる自分、ナイフで首を切られる自分...という様々な殺され方だった。
犯される想像じゃない辺りがやはり残念女か...
しかしそんな怯えきった私を待ってくれる優しい男ではないこいつはまた口付けてきた。
それもまた初心者に配慮しない激しい口付けで、解放された頃には息も絶え絶えぐったりだ。
「ひゃあっ!!?」
必死に息を整えていると、胸に突然ねっとりした熱い感触がして驚いた。
乳首が熱い何かに転がされ吸われているし、その間も胸を揉み続ける不埒な手の感触もある。
肩を跳ねさせながらも恐る恐る見下ろすと、そこには私の胸を揉みながら乳首にしゃぶりつくイケメンがいた。
...正直、この絵面だけで失神できそうなくらい、ショッキングな場面だった。
だって、私のおっぱいにイケメンが吸い付いてるんだよ! 犬や猫やキモいおっさんじゃなくてイケメンが!!
なんなのあんた私の子供だったっけ!? こんなおっきな赤ちゃん産んだ覚えありませんけど!!
現実逃避しようとしても胸から伝わる感触は消えないし、乳首を舌でねぶられ母乳を絞り出すように揉まれては、「あっ、アンッ、あっ...」と自分の口から絶え間なく漏れ出す高い声。
思考がうまく働かずいつの間に服を脱がされたのかも考えられず、恥ずかしさだけ溢れて死にそうだ。
なんでこんな気持ちいいのか、声が勝手に出るのか信じられない。
そのうち母乳まで本当に出るんじゃないかと不安になってくる。いや、それはないって分かってるけど...ないよね?
ダニーはもう片方の胸にも吸い付くと、あろうことか右手で女の子の秘められし場所に触れてきた。
その瞬間、ビクンと腰ごと激しく跳ねた。
下着越しなのに胸より敏感に反応するそこは自分でも殆ど触れない所。
「やぁ、だめ! ...っああぁ!!」
恥ずか死ねるので止めようと声を出した途端、ぐぐっと強くお豆様を潰されて頭が真っ白になった。
ビクビクと跳ねる体に、ドクドクと激しく打つ心臓の音が聞こえる。
「入れたい...いや、まだ中ほぐしてないし...でももう突っ込んでも...」
恐ろしい言葉が聞こえてくるのに疲れきった頭は全てを認識できず素通りしていく。
気付けば優しく頬を撫でるダニーの手が気持ちよくてその手に頬擦りしていた。
そんな手の動きが止まったので不思議に思い閉じていた目をそっと開けると、ダニーは困ったように微笑んでいて、また耳元で囁いてきた。
「許してね弥生」
「っ!!? いっ... !!?」
揺蕩っていた意識が、鋭い痛みに一瞬で覚醒する。
驚いて痛む股に目を向ければそこには、大きく足を左右に開かれダニーのでっかいチ◯コが自分の膣に突っ込まれているのが見えた。
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