上 下
10 / 33

10 優香と会うことになりそうだ

しおりを挟む


 翌朝、高速道路を走る帰りの車の中で、助手席に座るマーイは楽しそうに外を眺める。「あれなぁーに?」「あれなぁーに?」と、ことある毎に聞いてくる。

 昨夜、マーイを押し倒し胸にしゃぶり付き、それから強引にキスを迫ったのに全く気にしていないようだ。
 マーイの胸、凄く綺麗だった。
 キスしようと顔を近づけ付けても「ほよ?」みたいな無垢な顔してて……、いや、正直めっちゃ可愛かったが。俺はどんな顔してたんだろう……。

 そんなこのを考えながら車を飛ばしているとマーイがトイレに行きたくなったのでパーキングに寄って一息つく。

 俺はベンチで缶コーヒーを飲みながらスマホを開いた。優香からLINEが来ている。

【今度福島に会いに行っていい?】

 優香は俺の住所を知らない。長谷川に聞いていたみたいだし間違いないだろう。YouTube動画を見て特定するのも不可能だ。

 しかし、俺はYouTubeを卵の販路の一つにしようとしいて実際に養鶏が始まったら養鶏所の住所や電話番号を掲載した買い物ができるHPをリンクに貼ろうと思っている。つまり、遅かれ早かれ居場所はバレるのだ。
 YouTubeを始める時、優香に居場所を特定されることは当然考慮していた。だがここまで早くバレるとは思っていなかった。

 つかいつも「相談しいことがある」とか「会って話したい」とか言ってくるけど何を話したいんだ?肝心の内容は言ってこないんだよな……。まぁフルシカトで全く返信をしないから言い難いのかもしれないが。

 俺は優香に返信を打つ。

【会ってどうするの?】

【久しぶりだし色々話そうよ】

 いや意味わからん。今更何を話すんだよ。そう思っていると続けてメッセが来る。

【綾も連れて行くよ。会いたいでしょ?】

 綾……今1歳半になるのか。もうお喋りもできるのだろうな……。

 俺は父親に甘やかされて育ったから、綾が生まれた時はトロットロに甘くして育てようと意気込んだ。それもあって隠しカメラで優香の不倫を知った後、綾の出自に疑問を抱きつつもDNA鑑定をしようとは思わなかった。

 情けない話、優香にセックスを拒否られて「エロい店に行け」と言われてこの女とはやってけないと思ってから、離婚の意思を決定付ける為にDNA鑑定をした。綾を離婚理由の一つにしたのだ。

 当時、葛藤や未練でかなり辛かったが今はDNA鑑定して良かったと思っている。
 俺の子供じゃないのに養育費を払い続けるとか、冷静に考えたら意味がわからない。本当の父親から払ってもらえよって話だ。まぁただ間男は優香とは遊びだったぽいし、その後どうなったのかは知らない。興味もない。

 離婚したのが5月末であれから半年経つ。もういい加減、綾に関して俺の気持ちに整理がつき、今更会いたいとは思わない。

【もう綾に会う積りはないよ。法的にも遺伝的にも俺の子供じゃないだろ】

【ふーん 綾の写真欲しい?】

 話聞いてるのか?会わないって言ってんだろうが!

【いらないよ。で、いつ会うの?】

 何にが目的だか知らんが大方金の相談だろう。

 今まで優香に返事をしなかったのは単純に面倒くさかったからだ。本気でもう一生関わりたくないと思っている。ほっとけば勝手に連絡が途切れると思っていたけど、こうもしつこいならコイツにとどめを刺す必要がある。

【毎日空いてるからいつでもいいよ~】

 マジかよ……、仕事してないの?間男の奥さんから慰謝料請求されている筈だけど。親が払ったのかな?いや、優香の親は生活苦しい……、俺に200万払うときにお義母さんが貯金全部って涙ながらに言ってた。

【因みに福島と埼玉は電車賃往復15,000円かかるけど】

【え?そんなに高いの?】

【新幹線使わなくても10,000円近くかかる】

【涼、出してくれるでしょ?】

 この子頭に虫湧いてるのかな?なんで会いたくない俺が金出すんだよ。

【出さないよ。会いたかったら自分でお金払って来て】

 当然だよね?俺当然のこと言ってるよね?

【今全然お金なくて、すぐには行けない……】

 よほど困ってるんだな……。長引くのは面倒だし、早く片付けてすきっりしたい。どうするか……。

【近々都内に行くから、その時埼玉寄ろうか?】

【ほんと!それなら助かる♡】

 俺も早く君にとどめを刺して、俺達の関係を終わらせたいからね。

【でも、なんで東京行くの?】

【今度、家買うんだよ。一緒に住む人と内見に行って、良かったら東京の売主さんと契約交わすからその時東京に行く】

【え?涼家買うの? 一緒に住む人って女?彼女いるの?】

【家はほぼ確定で買う予定。めっちゃ可愛い女の子w俺には勿体ない美女だよ】

 って送ったら、返事が来なくなった。
 あっ、彼女ではないか……まぁいいや、説明する義理もない。

「リョウ、おしっこ 出た」

 マーイがトイレから帰ってきた。この子はいつも普通におしっことか言って全然恥ずかしくないようだ。最初は俺の方が恥ずかしかったけど最近は慣れてしまった。

「いっぱい出たか?」

「うん♪」

「よーし、じゃぁ出発しよう。帰りにあの家寄って中見ていこうよ」

「いっこぉー♪」

「「おおぉー♪」」

 俺とマーイは謎のハイテンションで空へ拳を突き上げるのだった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...