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第61話 白濁液をぶっかけたり飲ませたりする!
しおりを挟む天国愛が冷静にタカヒロを見詰め口を開いた。
「やはり生まれていたのね……【Mr】。でもこちらに情報を曝したは失敗じゃない?タカヒロ1体だけを寄越したってことはレベル1000未満かしら?」
「よお、てめー何調子こいてんだ?ごらぁ!主が情報曝すわけねーだろうが」
『タカヒロ、変われ』
僕は喧嘩腰のタカヒロに念話で呼びかける。
『へい、お気を付けください』
タカヒロの体が僕の支配下になる。血走った目や顔中に浮いた青筋は消え落ち着いた表情へ変化した。
変わった瞬間、途轍もないプレッシャーを感じる。原因は目の前の神二人。
足が震え背筋が凍る程の圧倒的ずば抜けた強さ――。今の僕はコイツ等の前で立っているのがやっとだ。
「来て良かった……」
僕は呟く。
クリトから龍脈操作やオリハルコンゴーレムにサラマンダーが取り付いていた話しを聞いていた僕は、ソロモンの記憶を目覚めさせることで現状を正確に把握できた。
つまり、コイツ等がアエロリットを襲う可能性に気付けたわけだ。
アエロリットはかなり危ない状態だった。
心配して来て良かったよ。
「おい!貴様本体だな?名前は?」
龍神の声は脳を殴るような圧力がある。
「オレ……」
「オレ?」
「オレフル・ボッキーダ」
「ふむ、オレフルか……」
どうやら頭は悪そうだ。
「ソロモンの記憶が蘇ったのなら、自分の役目はわかっているな?」
「ああ、お前たちの態度次第で、子種を分けてやっても良かったが、アエロリットの状態を見て決心した。
――お前らは今回で消えろ」
「オレフル、貴様バカか?この世界が成り立たなくなるぞ」
僕は話しながら注意深く二人を観察している。
すると天国愛が瞬きした。
「アクティブスキル〈神眼―人心収攬〉」
その瞬間僕はタカヒロと入れ替わる。
天国愛の瞳は黒い円が幾重にも連なる波紋のような模様に変わっている。
この瞳術に精神が晒されればヤツの操り人形になる。
「ちっ、引っ込んだわね」天国愛
「ぐっへっへっへっへっ、お前ら、今回で終わりだとよw」
「黙れカスが!」
――シャーッ!
竜ケ崎流花が白銀に光輝く剣を鞘から抜いた。
柄はこの世で最も高価な宝石で装飾され、刀身には一振りで国一つ荒野へ変える禍々しい純白の闘気を纏った白銀の剣。
世界に七剣ある神刀が一振り――。
〈白皇龍剣デュノス〉!!
――ザンッッッッ!!!
一瞬でタカヒロが真っ二つに切られた。ヤツが剣を振ったこに気付けなかった。
ホールブラザーズは通常時、僕のステータスの20%を有している。そこに僕本体のステータスを上乗せすることができる。
現在僕のステータス80%を上乗せし、100%のタカヒロは僕と同等の力を持っている。
途轍もないストレングスによる物理防御力と圧倒的なHPを有していたのだが、何ら抵抗できず一瞬で屠られた。
切られたタカヒロは消え際、汚い笑みを浮かべ――。
「ざまぁ~~!」
そう言って体が白濁した液体になり周囲に飛び散った。
弾けるように飛んだ白濁液は神二人にぶっかかる。
ヤツ等の黒髪や顔、服にネバネバした白濁液がベッタリとこびり付き僕の視界も消えていく。
タカヒロはいつでも召喚できる。これで問題ない。
【ゼツ視点】スクワードにて。
オリハルコンゴーレムを〈ガンシャ―ガトリング砲〉で倒した僕は建物の屋根に落下した。僕の横には魔王クリトと手足を失ったアエロリットがいる。
「はぁ…はぁ…はぁ……HPをごっそり持っていかれた……。ふっ、はっはっはっはっ!あっはっはっはっはっ!……あれは、いくらなんでも強過ぎるだろう」
実力差があり過ぎて笑うしかない。けど僕も力を付けていつかぶっ倒してやる!ふふふ、面白くなってきたな。
タカヒロに上乗せしたHP80%を失い僕のHPは残り20%になったがパッシブスキル〈ゼツリンLv80〉が物凄いスピードでHPを回復させている。
僕の隣りで、クリトに膝枕されたアエロリットが口を開く。
「クツクツ、時期尚早じゃ。何れ機は熟す」
確かに、奴らと戦うにはまだ早い。
「アエロリット、先ずはその傷を治そう――。
アクティブスキル〈癒しの種〉」
スキルが発動し僕の体内から手のひらへ白濁しネバネバした液体が転送される。
太陽の光でキラキラ輝くその白濁ドロドロの液体をアエロリットの口元に近付けた。
「舐められるか?」
「お、お前ッ!アエロリット様に何を飲ませようとしている!?」
「クツクツ、捨て置け。童の頃、ケガの折、よく父に飲まされたわ。 ジュル、レロ…レロ、ジュ…レロ……少し苦くてしょっぱい……、懐かしい味じゃ」
アエロリットは僕の手のドロっとした白濁液を綺麗になめ取った。
「ちゃんと全部飲んだか見せてみろ」
「あっ」
彼女は小さな口を開け、細い舌を出し、口中に残っていないことを証明する。
小さな舌と歯の間に透明な糸が張っているが、ネバネバ白濁液は残っていないようだ。
「よし、全部飲んだな」
するとアエロリットの体が徐々に再生を始めた。
僅か数秒で体が元に戻った。
このアクティブスキル〈癒しの種〉は僕の〈ゼツリンLv80〉の力を相手に付与するスキルだ。暫くすると効果は切れてしまうが、全回復するには十分だ。
手足が再生し、傷が消えたアエロリットにクリトが抱き着いた。
「アエロリット様ぁっ!良かった、本当に良かった」
そして顔を上げると僕に。
「ゼツ・リンダナ、感謝する。ありがとう!」
半泣きでお礼を言う。
コイツ、ずっと心配してたからな。アエロリットのことを大切に思っているのだろう。
「さてアエロリット。僕の仲間に【SR勇者】がいる。さっき彼女のレベルをかなり上げたが、おそらくまだ足りない。それで今後の話しをしよう」
僕は全回復したアエロリットに優しい口調で言った。
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