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第56話 神話級
しおりを挟む「ゼツ君ッ!」
「ゼツ様ッ!」
ノエルとパンティーが真剣な顔で僕を見詰める。僕はそれに頷いて答えた。
先ずヤツに、〈種強化Lv29〉がどれだけ通用するか確認する。
「アクティブスキル〈Gスポット〉ッ!」
〈Gスポット〉を通して見ても核の位置がわからない。デカすぎるのか。
身長は約30メートル、建物で例えるなら10階くらいはありそうだ。横幅も同じくらいでゴロっとした体形。足は短いが、腕が異常に長く50メートルはあるだろう。地面を引きずりながら進んでいる。
「アクティブスキル〈ガンシャ―ライフル〉ッ!」
――種転送、〈種強化Lv29〉ッッッ!!!」
僕の手に2メートルはあろう細長い〈ガンシャ〉が顕現し、そこに最強の”種”を転送する。
僕はオリハルコンゴーレムの頭を狙って〈ガンシャ―ライフル〉を撃つッ!
ドッピュンッッッッッッ!!!!!
発射と同時に僕の周りで爆風が起こった。
ガンッ!
――闘気を纏った種が頭部に当たり表層の金属が弾け飛ぶ、が浅い!
「まだだぁッ!」
ドピュ! ドピュ! ドピュ! ドピュ!…………ドピュンッッッッッッ!!!!!
ドピュ! ドピュ! ドピュ! ドピュ!…………ドピュンッッッッッッ!!!!!
全力で〈種強化Lv29〉を連射する!
が次の瞬間――。
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
オリハルコンゴーレムが〈種強化Lv29〉を食らいながらその長く太い腕を振り回した。
周囲の岩山が弾け飛び、巨大な岩が飛んでくる。
ドッピンッッ!!――ゴゴンッ!
ドッピンッッ!!――ゴゴンッ!
飛んできた大岩を〈ガンシャ〉で迎撃。パンティーやアナルも剣で叩き落している。
一瞬動きを止めたオリハルコンゴーレムは、また〈転移魔方陣〉へ向かって進みだした。
〈ガンシャ〉で削った頭部は既に修復されている。
ここまで固いとは……、これでは何発撃ち込んでも致命傷を与えられない。
「なんという暴力的な強さ……、これがSS級モンスター、神話級か」
クリトが呟く、そして――、
「ゼツ・リンダナ、時間が無い。ミッションHへ移行する!」
ミッションH――、それは僕とノエルだけに伝えられた作戦。敵が圧倒的強大な力を持っていた場合、即座にこの作戦を発動する。
でなれば街に甚大な被害が出るからだ!
僕は叫ぶ!
「ノエルッ!――合体だッッ!!」
僕を見詰めるノエルは瞳に決意を宿し頷いた。それを見たクリトが叫ぶ。
「アクティブスキル〈異空間〉ッ!」
彼がスキルを発動させると僕達の目の前に黒い球体が現れた。
「皆、10分だけ時間を稼いでくれないか?」
「ゼツ様、何か策あるのですか?」
パンティーの問いに僕は真剣な顔で答える。
「僕とノエルがこの球体の中に入る。そして10分後、出てくる」
「それに何の意味がありますの?」
アターシャは理解できないと言いたげな顔をしている。
「戻ってきたとき、僕はヤツを倒せるようになっている……」
「そんなはず!バカげていますわ!それに10分なんて……、持ち堪えることなどとても……」
不安そうに語るアターシャの肩にアナルが手を掛けた。
「アターシャ様、――坊ちゃんを信じましょう。……ゼツ様は信用に足るお方です」
アナルのその言葉でここにいる全員の顔に覚悟が宿った。
「無理はしないでくれ」
「行ってきます」
僕とノエルはそう言い残し、黒い球体の中に入った。
【クリリス(クリト)視点】
「ボクはレベルは高いが戦闘職ではない。ここにいる面子でヤツを止めるのは不可能だ。ボク達も街へ先回りし、住民を避難させつつヤツを迎え撃とう」
クリリスの言葉に皆頷いた。
――アエロリット様は仰っていた。
レベル上限40【HNギャンブラー】のティッシュさんがレベル5の時、B級モンスターロックワームを1体倒しただけでレベル9へ上がった。
レベル上限5120のゼツ・リンダナにとってノエル様の【HRアークデーモン】はB級モンスターとほぼ同比率でレベルを上げてくれる。
つまり、レベル298から一気にレベル800以上へ上がるのだ。
レベル上昇によるステータスやスキル威力の向上は足し算ではなく比率で増加する。
ならば、いけるはずだ。 ゼツ・リンダナならあのオリハルコンゴーレム倒せる!
私はアエロリット様の指示に従い、街にいるであろう【SSR天使】から彼を守ることに集中しよう。
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