56 / 66
第56話 神話級
しおりを挟む「ゼツ君ッ!」
「ゼツ様ッ!」
ノエルとパンティーが真剣な顔で僕を見詰める。僕はそれに頷いて答えた。
先ずヤツに、〈種強化Lv29〉がどれだけ通用するか確認する。
「アクティブスキル〈Gスポット〉ッ!」
〈Gスポット〉を通して見ても核の位置がわからない。デカすぎるのか。
身長は約30メートル、建物で例えるなら10階くらいはありそうだ。横幅も同じくらいでゴロっとした体形。足は短いが、腕が異常に長く50メートルはあるだろう。地面を引きずりながら進んでいる。
「アクティブスキル〈ガンシャ―ライフル〉ッ!」
――種転送、〈種強化Lv29〉ッッッ!!!」
僕の手に2メートルはあろう細長い〈ガンシャ〉が顕現し、そこに最強の”種”を転送する。
僕はオリハルコンゴーレムの頭を狙って〈ガンシャ―ライフル〉を撃つッ!
ドッピュンッッッッッッ!!!!!
発射と同時に僕の周りで爆風が起こった。
ガンッ!
――闘気を纏った種が頭部に当たり表層の金属が弾け飛ぶ、が浅い!
「まだだぁッ!」
ドピュ! ドピュ! ドピュ! ドピュ!…………ドピュンッッッッッッ!!!!!
ドピュ! ドピュ! ドピュ! ドピュ!…………ドピュンッッッッッッ!!!!!
全力で〈種強化Lv29〉を連射する!
が次の瞬間――。
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
ドッゴッッゴッゴッゴッッゴッゴッッゴッッ!!!
オリハルコンゴーレムが〈種強化Lv29〉を食らいながらその長く太い腕を振り回した。
周囲の岩山が弾け飛び、巨大な岩が飛んでくる。
ドッピンッッ!!――ゴゴンッ!
ドッピンッッ!!――ゴゴンッ!
飛んできた大岩を〈ガンシャ〉で迎撃。パンティーやアナルも剣で叩き落している。
一瞬動きを止めたオリハルコンゴーレムは、また〈転移魔方陣〉へ向かって進みだした。
〈ガンシャ〉で削った頭部は既に修復されている。
ここまで固いとは……、これでは何発撃ち込んでも致命傷を与えられない。
「なんという暴力的な強さ……、これがSS級モンスター、神話級か」
クリトが呟く、そして――、
「ゼツ・リンダナ、時間が無い。ミッションHへ移行する!」
ミッションH――、それは僕とノエルだけに伝えられた作戦。敵が圧倒的強大な力を持っていた場合、即座にこの作戦を発動する。
でなれば街に甚大な被害が出るからだ!
僕は叫ぶ!
「ノエルッ!――合体だッッ!!」
僕を見詰めるノエルは瞳に決意を宿し頷いた。それを見たクリトが叫ぶ。
「アクティブスキル〈異空間〉ッ!」
彼がスキルを発動させると僕達の目の前に黒い球体が現れた。
「皆、10分だけ時間を稼いでくれないか?」
「ゼツ様、何か策あるのですか?」
パンティーの問いに僕は真剣な顔で答える。
「僕とノエルがこの球体の中に入る。そして10分後、出てくる」
「それに何の意味がありますの?」
アターシャは理解できないと言いたげな顔をしている。
「戻ってきたとき、僕はヤツを倒せるようになっている……」
「そんなはず!バカげていますわ!それに10分なんて……、持ち堪えることなどとても……」
不安そうに語るアターシャの肩にアナルが手を掛けた。
「アターシャ様、――坊ちゃんを信じましょう。……ゼツ様は信用に足るお方です」
アナルのその言葉でここにいる全員の顔に覚悟が宿った。
「無理はしないでくれ」
「行ってきます」
僕とノエルはそう言い残し、黒い球体の中に入った。
【クリリス(クリト)視点】
「ボクはレベルは高いが戦闘職ではない。ここにいる面子でヤツを止めるのは不可能だ。ボク達も街へ先回りし、住民を避難させつつヤツを迎え撃とう」
クリリスの言葉に皆頷いた。
――アエロリット様は仰っていた。
レベル上限40【HNギャンブラー】のティッシュさんがレベル5の時、B級モンスターロックワームを1体倒しただけでレベル9へ上がった。
レベル上限5120のゼツ・リンダナにとってノエル様の【HRアークデーモン】はB級モンスターとほぼ同比率でレベルを上げてくれる。
つまり、レベル298から一気にレベル800以上へ上がるのだ。
レベル上昇によるステータスやスキル威力の向上は足し算ではなく比率で増加する。
ならば、いけるはずだ。 ゼツ・リンダナならあのオリハルコンゴーレム倒せる!
私はアエロリット様の指示に従い、街にいるであろう【SSR天使】から彼を守ることに集中しよう。
0
お気に入りに追加
1,081
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。




体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。


プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる