♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

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第47話 効率よく狩りをする

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 14層へ下る洞窟にて。

 僕、ノエル、ティッシュは隊列の最後尾を歩く。荷物は勇者パーティーのポーターが持ってくれることになり、僕は身軽になった。

「ゼツ~」

「ん?」

 隣を歩くティッシュが少し前かがみになり、上目遣いで話し掛けてきた。

「こっちが使ったローションを請求しないのは勿体にゃいと思うんだけど……」

「ああ、そのことか……。貴族には恩を売っておいた方がいいっていうのもあるけど、事故で負傷した人を救助、介抱した場合、こっちが消費した経費を後から請求しないだろ?」

「それはそうニャンけど、ダンジョンは自己責任ニャン。自分から危ないところに来てるんだし……」

「まぁな。普通は向こうが払うと言ってくるものだが、アターシャに関しては、それはなさそうだ。 まぁ困った時はお互い様だし、僕達に何かあったら助けてもらおう」

「あの人、アッチらが困ったらマウント取って傷を抉ってきそうニャン」

「ははは、そうかもしれないね」

「あんにゃに感じ悪いのにドロップ品も折半して、ゼツは太っ腹ニャンよ」

 少し不機嫌に言うティッシュに、反対側の隣を歩くノエルが澄まし顔で答える。

「ゼツ君は優しからね♪」

「実はそんなことないんだよ」

「「どういうこと(ニャン)?」」

 二人は僕を挟んでグイっと身を寄せ合うから歩きにくい。

「アナルが空間探知に長けた加護持ちがいるって言ってたんだけど、たぶんあの加護だと思うんだ。だとしら折半しても僕らの稼ぎは一気に膨れ上がる」

「あの加護?」


 そんな話をしていると先頭が14層の入り口に着いたようだ。隊の足が止まる。

「ゼツ様、アターシャ様がお呼びです」

 アレプ二ヒトが僕を呼びに来た。

「ノエル、ティッシュ行こう」


 ◇


 貴公子団の男がスキルを発動させる。

「アクティブスキル〈探査Lv3〉」

 目を瞑り集中する男の体から青い魔力の波紋が広がった。男は目を開けると紙に地図を描きだす。

 やはりそうか。この男の加護は【R空間探知士】。とてもレアな加護だ。
 この人がいれば、広いマップ中でモンスターが群れている位置を正確に割り出せる。

「この辺りとこの辺り、それからこの辺もモンスターの残影が映りました。それと、ここからでは下層へ下るルートは発見できませんでした」

 男は自分で描いた簡易的な地図を指さしながらアターシャとアナルに説明する。

「よし、次」

 アターシャが指示を出すと別の男が前に出た。

「いきます!アクティブスキル〈斥候Lv3〉」

 おおっ!これはまた珍しい!彼は【R諜報士】。〈斥候〉は離れた所から特定の場所を目視できるスキル。

 男は目を開けると地図を指しながらアターシャとアナルに進言する。

「ここにはロックワームの群れ約20、ここも同様に20、こちらには30以上の群れがいました」

 アターシャは僕に視線をやる。

「ゼツ・リンダナ、お前の意見を聞かせなさい」

 僕はモンスターの場所や迂回が必要な大きな岩山が描かれた簡易的な地図を一瞥してから、指でなぞる。

「このルートで進めば時間のロスなく、全てのモンスターを狩れますね」

 周囲がザワついた。自分達にロックワームを倒せるのか?と、皆疑心暗鬼なのだ。

「本当にロックワームを狩れるのですね?」

 アターシャが真剣な顔で問う。僕はその質問にさらりと答える。

「まぁロックワームは雑魚なので、余裕だと思いますよ」

 アターシャは僕を見詰めコクリと頷いた。

「先の戦闘でこの者の実力は証明済みですわ。今までロックワームを発見した場合、大きく迂回し進軍していましたが、今回はゼツ・リンダナが提案するルートで進軍いたします。わかりましたねッ!」

「「「「「「 はッ! 」」」」」」


 ◇


 進軍していると誰かが叫んだ。

「ロックワームだぁああああああ!!!」

 僕は前に出る。
 数は20くらいか――。

「じゃ、バラしますね」

 先頭に立った僕は〈ガンシャ〉を”2丁”顕現させた。扱えるかどうかは別として〈ガンシャ〉は複数同時に顕現させられる。

 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!
 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!

 僅か1分程で全てのロックワームがバラバラになった。もちろん”核”は全部無傷である。

「終わりましたので、核はそちらで破壊してください。すぐには再生しないのでゆっくりで大丈夫ですよ」

 そう言うと僕は岩に腰掛ける。

 皆騒然としながらも粉々になったロックワームに近づいて行った。


 パンティー、アターシャがラストアタックをするようで、貴公子団の連中がそこら辺に転がっている核を二人の前に集めている。

「はぁーッ!」――ガン!

 アターシャは騎士から借りた重そうな剣で核を叩こうとしているが、なかなか上手く命中しないようだ。

「私のナイフ、貸してくるね」

 見かねたノエルがアターシャの元へ向い、一言二言会話を交わしナイフを貸していた。
 僕はそれを遠目で眺めている。

 アターシャがノエルのナイフを切り下すと、核はあっさり真っ二つに割れた。
 彼女は間抜けな顔で割れた核とナイフを交互に見ている。
 ロックワームは黒い霧なって四散し、金の塊が地面に落ちた。

「も、もの凄い経験値……、これがB級モンスター! 一気にレベルが上がりましたわぁああああ!」

 アターシャ、嬉しそうに叫んでいるな。


 その後も僕たちは――――。



「ロックワームだぁあああ!」

 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!
 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!





「ロックワームだ!」

 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!
 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!





「あ、ロックワーム」

 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!
 ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!ドピッ!


 と次々にロックワームを狩っていった。

 途中からは貴公子団の連中もラストアタックするようになり、レベルをどんどん上げているようだった。
 しかしポーター連中は相変わらずラストアタックをやらせてもらえていなかった。


「ノエル、暇ニャン~」

「そうね。……指相撲でもやる?」

「お!いいね!負けないニャンよw」

「「それ……この…くっ、やぁ、えいっ!あっ、ずるーい」」

 二人はかなり暇そうだ。

 僕達だけで冒険をしていたら、近くにモンスターがいるのに見落すこともあっただろう。少し迂回していれば大量の群れがいたのに、とかそんな感じで。

 ドロップ品は折半になったが、最短ルートで効率よくモンスターを倒しているから、結果的に稼げる額は数倍になりそうだ。





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