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第43話 ノエルのパンツ
しおりを挟む「あれ?……皆さん何をされているのですか?」
眠っていたパンティーが起きてきた。
「ちょっとした余興ですわ」
パンティーはまだ寝ぼけているのか、きょとんとしている。
更に僕達の周りに貴公子団の連中、ポーター達、それにノエルとティッシュが集まってきた。
ギャラリーが増えだが、まぁいいか――。
「余興?」
勇者パーティーのメンバーが全員集まり、その中心に立つパンティーがアターシャに尋ねる。
これから何が起きるのか――、何も知らされていないメンバーはアターシャの回答を静かに待つ。
「はい。にわかには信じ難い話ですが、先のロックワームが消失した攻撃、そこの無礼者の仕業だとアナル様が仰いますので、もう一度やらせているところですわ」
それを聞いて周囲がザワついた。
続けてアナルが補足する。
「あれでもリンダナ家の人間。本人ができると言うのだから信じてあげたいのですが、出来なかったら笑ってしまいますねぇ。クスクス」
あの野郎、信じているとか調子の良いこと言って僕が出来なかったら、皆で笑い者にする積もりだったのか!
昔と何も変わっていない。相変わらず嫌なヤツだ。
アターシャやアナルの話しを聞いて勇者パーティーのメンバーも「できるわけがない」とか「嘘を付くにも程がある」だとか言いながらクスクスと僕をバカにして笑っている。
だがノエルとティッシュだけは違った。
二人は僕の近くに来て――、
「ゼツ君、頑張って!」
「びっくりさせてやるニャンw」
ノエルは胸を張り誇らしげに顔を上げて僕に微笑みかる。
ティッシュも自信に満ちた笑顔で親指を立て、僕にグッドサインを送っている。
パンティーは不安げな顔をしているな……。
早くノエル達と冒険を再開したい。とっとと終わらせよう。
「危険ですから僕の後ろには立たないように!
アクティブスキル〈ガンシャ〉!」
注意喚起する僕の手にガンシャが顕現した。
「では、いきます!
――種、転送〈種強化Lv29〉ッッッ!!!」
僕が撃てる最強の”種”を転送した。
そして、大きな岩山に狙いを定め、撃つッ!
ドッピュンッッッッッ!!!!!
――ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
物凄い発射エネルギー、反動で爆風が起こり僕の髪は激しく後ろへ靡く。足場の岩にはピキピキッとひびが入った。
ついでに爆風でノエルのミニスカートが捲れパンツが見えそうになるが、ノエルはスカートを必死に抑えなんとか隠した。
”種”が着弾した岩山は消失し、大地は抉れ、それがずっと先まで続いている。薄暗いダンジョンで、どこまで大地が削れたのか先が見えない。
もう少し撃っとくか……。別方向に向けてと!
ドッピュンッッッッッ!!!!!
――ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
ドッピュンッッッッッ!!!!!
――ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
ドッピュンッッッッッ!!!!!
――ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
ドッピュンッッッッッ!!!!!
――ドゴゴゴゴゴゴンッ!!
「ゼツ君ストップ!スカートがぁ~」
「ん?」
ノエルのスカートが大変なことになっているとは知らず全部で5発撃った。
まぁこんなもんでいいか――。 僕は振り返りアターシャの方を見る。
アターシャとパンティーはあんぐり口を開け呆然としていた。
アナルはクスクスと笑っている。
そして他の男メンバーは僕に向かって……。
「あ、あの、も、もう少し、その、撃ってもらえませんかッ!?」
「あとちょっとで見えそうだったんですッ!!」
「できれば、あと10発、いや!20発!それだけ撃てば見えると思います!」
「ん?何が見えるんだ?」
「た、たぶん私のパンツだと思う……。ガンシャの威力が凄くて、風でスカートが……」
ノエルが涙目で僕に言った。
僕は冷たい目で男達に〈ガンシャ〉を向ける。
「人にも試さないとなぁ」
「ひぃいいいい!ご、ごめんなさいいいいッ!」
「ど、どうかお許しください」
「こっ殺さないでぇ~~」
全く、ノエルのパンツを見てよいのは僕だけだというのに。まぁパンツだけでなく中身も見ているが……。
僕は怯える男達に向かって「ドピューン」と言いながら〈ガンシャ〉を跳ね上げた。
すると泡を吹いて倒れる者もいた。
僕は〈ガンシャ〉を消す。
ティッシュは嬉しそうに「にひひひ」と笑ってから。
「ゼツ凄すぎニャンw!でも〈ガンシャ〉より注目されるって、ノエルのパンツは凄い破壊力ニャンねw」
ノエルは恥ずかしそうにもじもじしてから。
「ゼツ君も見たい? ……パ、パンツ」
「うん!」
「真顔で即答ニャン!!w」
ノエルは頬を染めて、僕の耳元で囁く。
「み、見てもいいけど……野営のときまで我慢してね」
……ゴクリ。
「アッチ耳がいいから聞こえたニャン! アッチのも見せるから安心してねw」
「ティッシュは見せる必要ないでしょッ!」
二人とも仲が良くてなりよりだ。
「それじゃ僕はアナル達と話してくるから出発の準備をしておいて。面倒くさいことになったけど、予定通り三人で20層を目指そう」
「うん!」「ニャン!」
あとは交渉次第だな。
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