♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

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第29話 風俗店巡り②

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 最初の店を出て、また同じ店に入ろうとしたが止めた。受付に頭のおかしい人だと思われるからだ。
 この区画だけで30店舗はありそうだし、一軒一軒回っていこう。

 因みにここスクワードには本番のできる店はなかった。
 道行く人、数人に訪ねて確認したから間違いないだろう。話を聞くと皆さん色街の常連客でどこの店が若くて可愛い子が多いとか、聞いてもいないのに色々教えてくれた。
 僕にとって重要なのは嬢の年齢や見た目ではなく、加護のレアリティだ。

 さっきの女はやってわかったが無加護だった。正直、無加護は経験値が少ないから時間と金の効率が悪い。

 これからはやる前に加護を確認して、提示額を変えてみるか?効率を上げる為に試行錯誤する必要があるな……。

 それと本番交渉も出禁にならないよう、一件一件丁寧にやっていく必要がある。色街を出禁になったら他に経験値を稼ぐ術がない。




 僕は本番を断られたり、やらせてもらえたりを繰り返し店を回った。断られたら即退店。入店時、店に払った金は無駄になる。
 それと嬢に加護を聞くと人攫いや人身売買の類と警戒されてやれないケースが多かった。

 うーん、聞き方が悪いのかな?まぁ普通、知らない人に加護は言いたくないよな……。 

 結局この日は6人とやれて、レアリティ【N】の加護持ちが2人、残りは無加護でレベルもあまり上がらなかった。相手の年齢は10代から40代と幅広い。しかし得られる経験値は加護のレアリティで固定されていた。

 空も白みかけた早朝、羅部捕亭に帰ると裸のノエルが毛布に包まって気持ち良さそうに眠っていた。僕は体を清め同じ毛布に潜り込みノエルを抱き締める。
 ノエルの優しい香りが鼻から抜けて荒んだ心が回復していく。

 今日は色んな嬢と交渉して疲れた。
 でも、こうしてノエルと一緒に居ると安心する。





 夕方――。

 買い出しを終えた僕達は羅部捕亭で夕飯を食べて、それから部屋に入った。

「ノエル」

「ん?」

「僕、これからレベル上げに行ってくるね」

「こ、こんな時間から?」

「うん。ミスリルゴーレムを倒す為にレベルを上げておきたくて……、昨日もノエルが寝たあと一人でレベル上げに行ってきたんだよ。それで朝方帰ってきたんだ」

 ノエルは僕がパッシブスキル〈ゼツリン〉おかげで寝なくても問題ないことを知っている。

「ええっ!?全然気づかなかった!ゼツ君、凄く努力してるんだね……ほんとに凄いよ。……私も行きたい。ダメかな?」

「いや、正直ノエルは足手まといになる……」

 店の前で待たせておくわけにはいかないし、一緒に部屋に入ってやってる際中、待っててもらうのは流石の僕も気が引ける。

「そうよね……ゼツ君とじゃ全然レベルが違うし……今の私じゃ役に立てない。私ももっと強くなりたいよ。 ゼツ君、絶対に無理はしないでね!」

 僕を心配してくれのか。優しいな……、よし今日も頑張るぞ!

「大丈夫、朝方帰るから先に寝てて」

「ゼツ君っ!頑張ってね!」

「うん!」

 こうして僕は部屋を出た。

 そう言えばノエルは僕のレベリングを知らないよな……今まで一度も説明してない。
 でも、最初はノエルで経験値を稼いで一緒に僕のステータス光を見たからわかってるか……。





 この日、十数軒目で充てられた嬢は猫の獣族だった。
 人族と獣族は耳と尻尾以外は見た目は一緒で、子供をつくることもできる。

「いらっしゃいニャン」

 灰色の髪に褐色肌、引き締まった体なのに胸はそこそこある。

「こんばんは。早速で申し訳ないのですが、本番をさせてもらえませんか?」

 もう加護を聞くのは止めた。あやしまれて本番交渉できなくなるからだ。

「んニャ!……うーん、別にいいニャンよ」

 えっ!?いいのか?
 最初は絶対に断られるんだけど……。

「あの、本当に良いんですか?本番ですよ? チップとかはずまなくても……」

「チップくれるニャンか!?くれるなら欲しいニャンw」

 嬢は瞳をキラキラ輝かせる。
 この子、チップ払わなくてもやらせてくれそうだな。うーん、どうするか……でも、滅茶苦茶チップ欲しそうだぞ。

「因みにチップをあげなくても本番はやらせてくれるの?」

「ん? 別にいいニャン。 アッチ、今は発情期じゃないから妊娠しないし、自分で動くよりお客に動いてもらったほうが楽ニャンねw それよりっ!チップくれないニャンかっ!?」

 嬢はウルウルと瞳に涙を滲ませ悲しそうに僕を見てくる。
 チップやるか。金に余裕あるし、ダンジョンに潜る予定だからまたすぐに稼げる。

「あげるよ。手、出して」

 嬢は両手を重ねて僕に差し出した。表情は期待に満ちていて猫の尻尾がピンと立っているから面白い。
 僕はカバンから銀貨15枚を取り出し、嬢の手に乗せた。

「えええええええっ!!これ銀貨ニャン!銅貨かと思ったニャン!お客さん凄い太っ腹ニャンね。アッチやる気なかったけど、たくさんサービスするニャン!」

「やる気ないって客に言うのはどうかと思うけど、正直なところに好感は持ったよ」

「アッチ嘘付くの苦手ニャン。じゃ始めよ」





 本番が終わり僕は急いで服を着る。

「お客、もう行くニャンか?」

「うん。もう行くよ。やらせてくれてありがとう」

 この子はなんと【HN】の加護持ちだった。銀貨15枚でやれるなら安い買い物だ。

「アッチもすっごく気持ち良かったニャン。発情期でもないのにこんなに感じたの初めて。 お客上手いし、逞しくておっきいニャンね!……彼女はいるニャンか?」

「彼女?……彼女ってどういう意味?」

「付き合ってる恋人のことニャン!それで相性が良かったら結婚するニャンね。お客かっこいいし彼女いそう」

 許嫁いいなずけのことかな?

「それなら昔いたけど、今はいないよ」

 侯爵家を追放される前、僕には家が決めた許嫁がいた。ただ彼女は王都に住んでいたから、会ったのは2回だったな。もうとっくに婚約は破棄されているだろう。

「いにゃいならアッチと付き合うニャン! アッチ可愛いし、毎日たくさんサービスするニャンよ!」

 付き合うというのはよく分からない。婚約するってことか?

 僕は侯爵家にいた頃、毎日朝から晩まで勉強ばかりしていた。そんな生活が一変して奴隷に落ちた訳だが、奴隷になってから友と呼べる人はいなかった。
 故に僕は民衆の習慣に疎い。

「ごめん。よく分からないけど僕には好きな人がいるんだ」

「そっか、残念ニャン。お客、金持ちだし、キープしときたかったニャン」

「君が可愛いというのは否定しない、明るくて素直な性格だから付き合い易い。きっと素敵な人が見つかるよ」

「ほんとかニャン!? ならまたお店に来て欲しいニャン!」

「いや、もう来ないと思います。 それでは――」


 話ながら服を着終えた僕は「ええええええ!?」と驚く嬢を後に、肩で風を切って店を出た。




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