♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

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第22話 金銀の山

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 【R鑑定士】、相手が自分と同等以下のレベルのあればステータスを覗くことができる加護。他にも武具の性能や素材の鑑定もできる。

「アナル様、この娘、私よりもレベルが高いようです」

「んん?」

 アナルは訝し気にノエルを睨んだ。

「ありえませんねぇ。アレプニヒト、お前レベル32でしたよねぇ?」

「はッ!如何にも。故にこの娘、レベル33以上です」

「ありえない……この若さで、そこまで高レベルになりますかねぇ? 可能性があるとすればレアリティ【HR】以上の加護持ち……。 ふふ~ん、これは良い人材を見付けました。クスクス。 アレプニヒト、耳を」

 男が耳を近づけると、アナルはコソコソと耳打ちする。

「はッ!かしこまりました」

 それからクスクスと邪悪な笑みを浮かべ、隣に座る僕の肩をポンポンと叩いた。

「ノエルさぁ~ん、貴女と坊っちゃんの関係は何となく察しますが、コイツを捨てて、あたくし達のパーティーに加わりませんかぁ?」

 ノエルはアナルの顔を睨み付けるが、そんなのはお構い無しにアナルの話しは続く。

「今、高位の加護を持つ人材を集めているのですよぉ。給金はコイツの数倍払いますぅ。クスクス それに……」

 アナルがアレプニヒトに視線を流すと、彼は頷きノエルの隣に座った。

「彼はあたくしがお使いしている御方が趣味で集められた貴公子団の団員ですぅ。 貴公子団は全員が貴族出身の美男子で【R】以上の加護を持っているのですよぉ。 彼、アレプニヒトも子爵家の子息、そしてご覧の通り見目麗しい容姿。 彼を貴女に差し上げましょう。クスクス」

 テーブルに乗せてあったノエルの手に男は自分の両手を重ねる。ノエルは咄嗟に手を引いてかわそうとするが、男に掴まれ振りほどくことができない。

「ちょっと、何をするんですか!」

「驚かせてしまい申し訳ありません。 ご紹介にあずりましたアレプニヒトです。 彼とは別れていただき、以後ノエル様の身の回りの世話は私がさせてもらいます」

「私はゼツ君一筋です!彼と離れるなんて考えられません!」

「問題ありません。他の男なんて私が必ず忘れさせますから」

 庶民は貴族や騎士の頼みを無下にすることはできない。
 父上が権力を傘に町娘に手を出すところを僕は何度も見てきた。

 明らかに嫌そうにしているノエルも怒鳴り声を上げて拒否れないのは身分を気にしてのことだろう。

 このアレプニヒトはアナルに操られているだけだから、アナルをなんとかしなければならない。

 どうする。

 ビッグベニス王国を敵に回す可能性はあるが、暴力でアナルを従わせるか……今の僕のレベルなら可能だ。

 その時――。

「あの、書き終わったら早く持ってきてくれません?こっちも忙しいんで。 四人で仲良しですか?陽キャですか?あーうっざ。たく、これだから冒険者は」

 さっき受付で登録用紙をくれたギルドの受付嬢が話し掛けてきた。黒髪でおかっぱ頭、目には濃いクマが刻まれた陰鬱な女性だ。

 この状況、使えるかもしれない。

「書き終わりました」

 僕は登録用紙を差し出し、受付嬢はそれを受取ろうとする。

「そうだ、ここへ来る途中モンスターを倒したので換金してもらいたいのですが、頼めますか?」

「銀ですか?ああ、めんどくさい。わかりました。いいですよ。早く出してください」

 受付嬢は本当に面倒臭そうな顔をしている。
 僕はカバンの中かからずっしりと膨らんだ大きな革袋を取り出しテーブルの上でひっくり返す。金と銀の粒が革袋から落ちてテーブルの上で山積みになった。
 その量を見て受付嬢はあんぐり口を開け、目を丸くする。

「え?こんなにたくさん? 金もいっぱいありますよ?? え?え?」

「それと、これは白金です」

 僕は胸のポケットからレインボースライムを倒した時に入手した白金の塊を取り出し山積みになった金銀の上に乗せた。

「「「「「ええええええええええええ!!!???」」」」」

 ノエルと僕以外の三人、一連のやり取りを遠巻きに見ていた野次馬が一斉に声を上げて驚いている。

 まぁ驚くのは当然だ。白金をドロップするA級モンスターは滅多に倒されない。王国の騎士団、それもレベル100以上の者が数人参加して一体倒すのがやっとだ。だから白金貨の価値は極めて高い。白金貨1枚で金貨120枚の価値があるのも頷ける。

 皆が驚いている隙にノエルは僕の隣りの席に移動した。

「さてアナル、これは僕達が一度の冒険で得た稼ぎだ。僕の見立てだが、手数料と税を引いても金貨180枚にくらいになる筈だ。 僕達はこの金を折半する訳だが……。お前さっき、ノエルに僕の数倍の給金を払うと言っていたよな? 騎士様がまさか嘘を付くとは思えないが、一度の冒険でこれの数倍給金を払えるのか?」

 アナルは現状を理解できず、テーブルの金銀の山と僕の顔を交互に見る。

「もう一度聞くぞ。一度の冒険でこれだけの給金を払えるのか?」

「ぐぬ」

 当然払える訳もなく、アナルは悔しそうに下唇を噛んだ。




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