♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

文字の大きさ
上 下
19 / 66

第19話 ノエルの出自

しおりを挟む



 部屋はシングルサイズのベットが一つ置かれただけの簡素なつくりで、もう一つ並べてベットを置けない程狭い。明かりも蝋燭が一つだけで薄暗い。

 明日の予定はさっき夕食をとりながら話し合ったからあとはやるだけだ。僕は早くやりたくてうずうずしている。

 僕達は服を脱ぎ水で濡らした手拭いで体を拭いた。そして下着姿のままベットに横になる。

 先にベットに入ったノエルは僕に華奢な背中を向けて横になった。
 裸を見られるのが恥ずかしいのだろうか?体を拭くときも胸なんかを隠しながら拭いていたし。

 後からベットに入った僕はそんな彼女を後ろから抱きしめる。触れているところがお互い体温で温かい。

 僕に抱かれたノエルは呟く。

「私なんかの為にたくさんお金使わせちゃってごめんね」

 彼女はいつも遠慮がちだ。街に入る時だって「通行税がかかるなら私だけ町の外で待ってようか」なんて言っていた。それじゃ、やれないじゃないか……。

「金のことは気にしなくていいよ。僕が払いたくて払っているんだし」

「どうして……、私にやさしくしてれるの?」

「それは……、ノエルが僕と似ていたから」

「似ていた?」

「うん」

 僕は侯爵家で裕福な暮らしをして12歳まで過ごした。それが実家を追放され、騎士団長のアナルに奴隷商人に売られ、まともな食事も支給されない土木現場で辛い力仕事を休みなく5年間もやらされ続けた。
 絶望的な状況に追い打ちをかけるように僕のレベルはずっと0のままで悔しい思いをしてきた。

 そんな僕にノエルの境遇は似ているように感じた。

「そっか……、ゼツ君は、私のこと、か、可愛いとか、その、好きって思っているのかもって……」

「ノエルは凄く可愛いと思うよ」

「じゃ、じゃあ好きなの?」

「好きだと思う。こうして抱きしめていると安心する」

 ノエルのピンク色の長い髪と大きな蒼い瞳は幻想的で、あどけなさを残す頬に反して、華奢なのに出るとこが出た体は可憐で美しい。それにいつも朗らかににこにこしていて一緒にいると癒やされる。
 僕はノエルに好意を持っている。

「私もゼツ君が大好き……、うんん。愛してる」

「そっか……」

 ノエルの声はかすれているが、体には力が入り時折ビクリと体を震わせる。
 僕は押さえ付けるように後ろから強くノエルを抱きしめた。 髪に鼻を押し当てると彼女の香りが鼻を抜けて安心した。


 僕の想いは『愛している』ではない。
 僕が女性を愛することはないと思う。これは育った環境にせいなのかもしれない。

 父上には正妻の母上の他に妾が6人いたし、使用人や町人にも手を出していた。
 貴族とは、一人の女性を愛するのではなく妾を何人も抱えて優秀な子孫を残すものであると教わって育った。

 まぁ僕はもう貴族ではないけれど……。


 ノエルは囁く。

「もう少し、こうしていたい……」

「うん……」

 まだやれないのか……早くやらせてくれないかな……。そうだ、前から気になっていたことを聞いてみよう。

「ノエルは奴隷になる前は何をしていたの? 君の髪の色はとても珍しい。ローターの民ってアイツは言っていたけど……」

「えっとね。私が生まれた国は東倭とうわ国の南にある小さな島国で、琉琉魔るるま王国って国なんだけど……。大昔にルルっていう魔王がつくった国なんだ」

 東倭国はこの大陸の最東端の更に先にある島国だ。黒い髪に黒い瞳が特徴的な民族で工芸に長けている国でもある。 
 しかし琉琉魔るるま王国というのは聞いたことがない。東倭国の南にある小さな島国か……。ここからだとかなり遠いな。

「小さな島だから人口が増えると食べ物が減って、だからお父さんとお母さんは島を出て仕事を探して、ビッグベニス王国で冒険者になったのよ」

「じゃぁノエルの両親は冒険者だったのか……」

「うん、そうだよ。……でもあの日、ギルドの仕事で商団の護衛をしているところを野盗に襲われて、お父さんとお母さんは殺されて、私は捕まって奴隷商人に売られたの」

「そうだったのか……。災難だったな」

 ノエルは両親の仕事を見ていたから将来は冒険者になりたかったのか。

 野盗に襲われて命を落とすなんてことは、さほど珍しくない。リンダナ侯爵領でも年に何件も報告があった。それにモンスターもそこらじゅうにいるから人が簡単に死ぬ。

「でも悪いことばかりじゃないよ。……こうしてゼツ君と出会えた。えへへへへ」

 ノエルの体を抱きしめている僕の腕を彼女はギュッと抱き寄せると恥ずかしそうに笑う。

 それから少し沈黙して、彼女はクルリと振り返り顔を合わせると目を閉じ顎を上げて僕に唇を差し出した。

「ちゅっ……んっ、んっ……しよっか?」

「うん……ちゅっ…」


 今日はいつもとは違いノエルは僕を激しく求め、僕もそんなノエルを求めた。







しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...