♡してLv.Up【MR無責任種付おじさん】の加護を授かった僕は実家を追放されて無双する!戻ってこいと言われてももう遅い!

黒須

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第18話 ♡羅♡部♡捕♡亭♡

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 夕方、オルフォンス公爵領内の大都市、スクワードに到着した。
 この街は城壁に囲まれた城塞都市で、街に入る際に通行税を払う。額は二人で銅貨4枚だった。見掛けない顔だということで衛兵に街に入る目的を聞かれたが、「冒険者になる」と伝えるとすんなり入れた。

 モンスター討伐で得た銀や金、白金は両替商人や古物商人に依頼すると貨幣と交換してもらえる。道行く人に店の場所を聞いて行ってみたが時間が遅かったため店が閉まっていて換金できなかった。

 空には星が見え、煉瓦レンガでできた街並みは、家々から漏れる灯りのみで照らされているから薄暗い。僕は空振りに終わった両替商店の前でノエルに言う。

「店の場所はわかったらまた明日、換金に来よう」

「そうだね。……私、今日は野宿でもいいよ」

「所持金は銅貨46枚か。これだけあれば一人部屋なら宿に泊まれると思う……」

 その時、職人っぽいおちゃんが通りかかった。

「あのっ、すみません。この辺りで素泊まりできる安い宿はありますか?」

「ん? それなら――――」

 おっちゃんは僕とノエルを交互に見た後、腑に落ちたという様子で宿の場所を教えてくれた。
 街の中で野宿だと流石に本番はできない。絶対にやりたいから、なんとしても宿を見付ける必要があった。





 『♡羅♡部♡捕♡亭♡』という看板を見付けて足が止まる。

「ここだな」

 中に入ると直ぐにカウンターがあって店主のお爺さんがいた。
 カウンターの奥はホールになっていて食事が食べられるようだ。カップルに人気の店なのか、男女二人で食事をしてる客が多い。

「いらっしゃい。 ここから好きな部屋を選びな」

 お爺さんに言われてカウンターの横を見ると、部屋の絵が描かれたハガキサイズの紙がボードに並べて貼ってあった。ここから好きな部屋を選ぶシステムなのだろう。
 各部屋の絵の下には小さく料金も書いてある。

 僕とノエルは部屋の絵を見る。

「ねぇゼツ君、この部屋、ベッドが丸いよ。あっ、こっちはハート型のベッドだ」

「こっちの部屋はベッドに手錠が設置してあるな。何に使うのだろう?」

「うわぁ、この部屋はシーツも壁紙もカーテンも全部ピンク色……。 こ、ここで、するのね……ゴクリ」

「する? どれどれ、休憩が3時間で銅貨35枚、宿泊が銅貨65枚か……。結構高いな」

 そうして眺めていると隅の方にシングルベットが置かれた部屋が目に入った。
 宿泊は銅貨30枚か……。

「ノエルこの部屋でもいいかな?」

「わ、私は、ど、どの部屋でもいいわよ」

 ずっと部屋の絵を眺めていたノエルは頬を赤く染め、下半身をもじもじされている。
 トイレでも行きたいのか?

 僕はお爺さんに声を掛けた。

「この部屋、宿泊でお願いします」

「ここは一人用だぞ?」

「金がないもので」

「ふっ、そうか。なら銅貨30枚だ」

 僕がカウンターに金を置くと、お爺さんは木のフォルダーが付いた鍵をカウンターに置く。フォルダーには『306』と書かれていた。

「306号室な。それと飯を食うなら奥の食堂で注文できるぞ」

「わかりました。あ、そうだ。街の外でモンスターを倒したのですが、この辺りに利率の良い両替商はありますか?」

「なんだお前ら、冒険者じゃないのか?」

「違います。明日、冒険者ギルドに行って登録しようと思っていましたが……」

「なら、冒険者ギルドで換金した方がいいぞ。 両替商は商会や貴族相手に商売をしているから個人の持ち込みだと、扱ってくれないか足元を見てくる。 冒険者ギルドは個人相手に換金している組合だからそういうことはない」

「なるほど……、わかりました」

 冒険者ギルドとはそういうところなのか。


 その後、食堂で夕飯を食べた。食事は二人で銅貨14枚。これで5年間貯めた僕の資金も銅貨2枚になった。






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