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第一章 別世界

8話 この世界とは? (1)

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「おはよう!早紀ちゃん!」マリが布団に飛び乗る「うひゃ!?マリちゃん…おはよう、朝から早いね」早紀はいつも通りのんびり起きている「ねぇ王宮からこんな紙届いたの」マリが手紙を早紀に渡す「どれどれ…」

〔早紀様、マリ様、私ラミと申します。この度はギルド潰しの人達を拘束してくださったことにとても感謝致します。この度お2人は冒険に出ると言うお話をお聞きしましたのでこちらから少しでもと思い魔力で動く乗り物をご用意致しました。無論お金は入りませんあなた達の乗り物なので是非ともお使いください。王女ラミより〕

「へぇー!無料で乗り物を…ってええ!?魔力で動く車!?」マリが驚いた目をする「魔力で動く車ってそんなに良いの?」早紀は首を傾げる「普段は馬車だけども魔力で動く乗り物は特別な人にしか乗らせては行けないという決まりがありますよ!しかもかなり大きく20人は乗れるはずです!何でそんな超高価な乗り物を…」と2人が部屋で驚いていると何やらノックが鳴る。

「早紀さん、マリさんにお客様です。どうも王宮の方達だそうです」フロントの女の子が頭を下げる。

「早紀様!マリ様!お待ちしておりましたどうぞ!」宿屋の目の前には騎士が二人立っていた「まさかあなた2人にあのような乗り物を授けるとは王女様も余程信頼しているようですね」騎士が笑いながら早紀の方を向く「あはは…そうかな」早紀は照れながらついて行く「見えました!あちらです」騎士が指さした方向には小型バス程度の大きな木でできた乗り物が置いてあった。

「すごい!大きい!本当に良いのですか!?こちらは軽く金貨5枚は…」マリが叫んでいる「ラミ様からのプレゼントです山を昇る際にはこのベルトを車輪に付けてください」騎士が中に置いている巨大なゴムベルトを見せた。

(いわゆるキャタピラかな?片方四輪片方四輪の計8輪車…魔法で動くとなるとかなりのスピードは出せそうだけどこの世界だからなぁ…出ても自転車以下かな…)

「いつ頃出発ご予定ですか?」騎士が早紀を見る「うーん宿屋を取ってあるのは1ヶ月だから…後2週間後かな」早紀が頷く「それではこの乗り物を隠さないと行けませんね…」騎士は悩んでいる。

(そういえば新しくスキルにないかな…)

早紀はステータスを見る

〔エクストラスキル、格納、解放、格納は様々な物体、動物などをそのまま保管することができます。解放は格納した物体を選び外に出すことが出来ます〕

(説明までついてんじゃん!鑑定スキルが上がったからかな?)

「では【格納】」早紀が手を乗り物に伸ばすと手から竜巻のような渦が出るとそのまま乗り物は消えてしまった。

「早紀様!何が起こったのです?」騎士とマリが目を見開いている「あぁ…これスキルの【格納】色んな物を置いとくことが出来るんだよね」騎士はやれやれと言った顔で苦笑いをした。

「さてとマリよ!」早紀はマリの方を向く「はい!」「どこかモンスター…いや魔物が居るところは無いかの?」マリはあまりにも早紀が近付いてくるのでつい後ずさる。

「それでは私達はこれで。冒険に出る時は王宮にご報告ください。王女も見送りに来ると思います」騎士達も頭を下げ戻って行った。

「えっと…あそこの山に行けば多分スライムがいると思います。弱いのでレベル上げの練習になるかと」マリが奥にある山を指さした「前は森の外れを通り迷いましたがちゃんと森の広い道があるのでそこを通れば行けると思います」「よし行こう!」2人は笑いながら歩いていった。

(そういえば…アニメとかで転生者は別世界に飛ばされるんだよね?でも…この世界って転生者の割にHPバーあるのどうなんだろ?別にゲーム世界に来たわけじゃないよね?マリちゃんも皆もNPCに見えないし…。確かに私ははっきりとあの時倒れている自分を見た…あれ?今の私って肉体?)

森の中を歩いていると早紀は1つの疑問を覚える「そういえばマリちゃん。この世界で死ぬとどうなるの?」「え?」マリはいきなりそんな話を振られ目を丸くしてしまった。

「あっ!ごめんね!急に…ただ…もっとここの事知りたいなと思って…」早紀は両手を振る「いえ…大丈夫です…言い伝えによると死ねば新たに神様により転生すると言われております」

(??あれ?私は転生者じゃ…)

「えっと…じゃあマリちゃんって肉体?」「当たり前じゃないですか早紀ちゃん!生きてなかったらここにいませんよ!」とマリが胸に手を当てる。

(……何かがおかしい。と言うことは私はゲームに入った転移者なの?いや…そんなはずはないよね…だってあの時確かに私が死んだのは見たもの…転移者ならば生きたまま来るはず…召喚者も生きたまま来るよね…。じゃあ私は一体?)

「ねぇマリちゃん、ゲームって知ってる?」「げーむ?」マリは首を傾げる「そう!ステータスとかこのHPあるでしょ?」「うんうん!」マリのステータスを見る「これってゲームにもあるのよね」「そうなんだ!一緒だね!」マリは笑っている。

(うーん…ここはゲームの世界じゃない…?だとしたら死んだモンスターとかは何処に行くんだろ…消えるの?いや…そんな事ゲーム以外ではありえない……)

「ねぇマリちゃん死んだモンスターとかはどうしてるの?」「んー解体して素材で売ってるよ!」

(ここまでは他アニメでよく見る転生の通りだね…)

「じゃあレベルってどうやったら上がるの?」「えっと確か…魔物を倒して死んだ事が確定したら自動的に上がるよ」マリが笑っている。

(つまり魔物が死んだ時は勝手にレベル上がるってこと?うーん…ここだけ聞くとゲームの世界なんだよね…)

「そう言えば後ね!なんか人が倒されたら蘇生魔法で生き返せるらしいの!」マリが思い付いたように話す。

(蘇生魔法か…確かに蘇生魔法なら転生でもあるね…。ただやっぱりこの…ステータスは気になるなぁ…転生ならステータス要らないと思うけど…ただこの女の子がもしNPCでここがゲームなら抱きついた時点で通報される…)

「試してみようかな…」早紀は前を歩いているマリを抱きしめる「ちょっと早紀!?」マリは戸惑い暴れるも早紀は力を入れ抱きつく。

(自分の方に警報は出ない)

「ちょっと恥ずかしいです!」マリが叫んでいる「ごめんね!何か警告出た?」「警告?何ですかそれ?」マリは首を傾げる「いや、何でもない!」「変な早紀!」2人は笑いながらまた歩き始めた。

(NPCでもゲームでもないのね…。この世界ってどうやってできてるのだろう…自動ということは何かがあると思うのだけれど…)

「はぁ…まぁこの世界の事はまた明日聞こうかな…」「どうかしたの?早紀」マリが振り返る「あっ!いや!何でもないよ!」早紀は慌てて両手を振る「ふーん…もうすぐ着くよー!」「よし!頑張るぞー!」早紀は歩きながら手を叩いた。
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