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帝位・勇気を紡ぐ者
第22話 皇帝
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帝位争いは、ケイシリア勢力の敗北で幕を閉じた。
表向きでは、シュヴァルツァー公爵家当主が戦死し、突如現れた怪物によってケイシリア軍が蹂躙され、そこをオリービア軍が助けたということになっている。
元々ケイシリア勢力はリングヒル公爵家とシュヴァルツァー公爵家の両家によって支えられているが、その一角が崩れたとなれば、帝位争いを続けることも難しい。
おまけに、クリストファー皇子はオリービア皇女を支援すると公に発表した。これで最大勢力はオリービア皇女となる。
それを受けて、壊滅状態なレギウス勢力はすぐにオリービア皇女を支持すると発表する。ケイシリア皇女側に帝位を取られなければいいと考えているからだ。
そうなれば、ケイシリア皇女も帝位争いを続けるのは難しいと判断する。リングヒル公爵家から正式に投降の知らせが届く。
かくして、帝位争いは終結した。
しかし、それでいて納得していないものも多い。
例えば、オリービア軍との戦闘に参加しなかった西部や北部の貴族たち。自分たちが参加していれば、勝てたかもしれないという思いもあれば、ぽっと出の子爵に帝位を奪われるのは癪だと考える者もいる。
そして、東部貴族もオリービア皇女を支持したものの、わけのわからない者が皇帝となるのはなんだか気に食わない。そういう考えが湧くのも自然なことだろう。
さらに、クリストファー皇子を支持した南部も、クリストファー皇子を支援していたのに、いつの間にかレオンハルトに帝位を奪われた形になる。面白くないと考える者も多い。
中央貴族など言わずもがなだろう。レオンハルトが豚公子だった時代をよく知っている者たちだ。豚公子が皇帝など到底容認できない、と言い出す者もいる始末だ。
つまり、レオンハルトの即位を心から喜ぶものはほんの僅か。納得がいかない、というものがほとんどである。
ゆえに、このような状況になるのも必然。
場所は謁見の間。全国各地から諸侯が集まり、新皇帝の即位を祝うという名目だ。しかし、先ほども言ったようにレオンハルトの即位を喜ぶものはごく僅か。
本来であれば皇帝が姿を現すまでは、静かに待機するのが貴族というもの。だが、レオンハルトが気に入らないものはここでひそひそ話を続けていた。
「っち、運良く皇女に気に入られただけの小物が」
「いやはや運というのもバカにできませんなぁ。皇帝までの道のりを運だけで乗り切れるのだから」
「16のガキが皇帝だと? ふざけるのも大概にしろよ」
「クリストファー殿下はなぜあのような者の即位をお許しになったのか。我らには全く理解できん」
「あいつってあの豚公子だろ? シュヴァルツァー家の」
「ああ、多少痩せたがあの豚公子で間違いはない。黒髪黒目の貴族などそいつぐらいだ」
「っは、貴族の恥がとうとう皇国の恥にまでなったか。時代の流れとは悲しいものだねぇ」
「あれが皇帝になれるなら、私は神になれるのではないか?」
「違いない、ははははは」
貴族たちは口々にそういう。一部のレオンハルトを慕っている貴族たちは、拳を握り締めグッと堪える。ここで乱闘にでもなれば、それこそレオンハルトの顔に泥を塗るようなもの。だから彼らは耐えていたのだ。
そして、貴族たちの先頭に立つ四大公爵家の当主や当主候補たちはというと、
「愚かな者たちですね。クリストファー殿下が無能を押すはずもないのに」
銀髪をオールバックにした紳士、コンランド・レイフィスはそんなことを呟く。
「ほっほっほ、まあそういうてやるな、レイフィスの倅よ。誰しも、過ちは犯すものよ」
「おや? 妙に実感がこもった言葉ですね。リングヒル公ともなれば、やはり経験は違いますか」
「いうようになったのう、童が。父に似てきたぞ」
そんな感じでバチバチのリングヒル公爵とレイフィス公爵。そんな二人に置いていかれたのが、新たに当主候補としてこの場にいるバルフェウス公爵とシュヴァルツァー公爵である。
経験たっぷりな二人と違い、こういうやりとりには慣れていない二人は互いで会話することしかできない。
「大変だな、シュヴァルツァー家も。お前のような娘が当主にならざるを得ないとは」
歳は20ほどの青年である新バルフェウス公爵は、そうやって新シュヴァルツァー公爵に話しかける。その言葉は嫌味ではない。純粋な感想である。ゆえにシュヴァルツァー家当主、ティーナも穏やかに言葉を返す。
「覚悟はとうにできています。父様と兄様の分まで、私が頑張らなくては」
「……その歳ですごい覚悟だな。やはり、あの兄を持つと違うのか?」
ここでいうあの兄とは、レオンハルトの方だろう。それに対しティーナ少し考える素振りを見せてから答える。
「いえ、そういうわけではありません。私はあの人を嫌っていましたので」
「ほう、そうなのか?」
「はい。兄が、テオハルト兄様が酷く嫌っていたので、私もそれにつられて。ですが、嫌っていなくとも、あの人とはあまり関わらなかったかもしれませんね」
「どうして?」
「住む世界が違いすぎます」
「それほどか……」
そんなこんなしているうちに、玉座の横から声が響く。
「皇帝陛下のご入来ーーー!」
そうの声とともに、オリービア、そしてクリストファーをそばに控えさせながら、レオンハルトが悠々と姿を表す。
皇帝ならではの冕冠を頭上に乗せ、身に皇帝礼服を纏う。
身に纏う礼服は歴代皇帝のそれではなく、完全なオーダーメイドである。その礼服には黒地に金色の模様が描かれている。色の割合としては、黒と金で半々と言ったところか。その金色の模様は、天に昇る龍の絵を表している。
レオンハルトの黒髪黒目と相まって、非常に映えている。
皇帝の入来を聞きつけた貴族たちは、一斉に膝をつく。とは言ったもの、ひそひそ話を止めるつもりはないらしい。
「きたぜ」
「どんなツラしてんのか見ものだ」
「っち、偉そうにしやがって」
皇帝を前にしての態度とは到底思えない。一部の貴族に至っては、膝をつかずに腰をおる程度に留まっている。国が乱れるとはまさにこのことを言うのだろう。
一緒に入ってきたオリービアは淡々としているが、クリストファーは眉を顰めていた。彼もまさかこれほどのとは思っていないのだろう。
しかし、バカにされている当人はといえば、顔色ひとつ変えずに玉座の前まで移動する。諸侯たちに面するように玉座に腰をかける。
肘掛けに肘を置き、頬杖をつくレオンハルト。舐めきっている諸侯たちを見渡すように視線を走らせ、言葉を発する。
「皆のもの、よく集まってくれた……と言いたいところがだ、余を前にしてその態度は何事か」
貴族たちはクスクスと笑い声を立てる。わざわざ指摘しなければ恥をかかずに済むのに、と言った様子である。
そんな中、レオンハルトをバカにするような態度で、候爵位を預かる貴族の一人がレオンハルトに話しかける。
「恐れながら、陛下。その態度、と言うのはどの態度のことでしょうか?」
男は、慇懃無礼な態度でそんなことを言い放つ。その顔には薄気味悪い笑みが浮かんでいた。ぽっと出の皇帝に何ができると言わんばかりだ。
しかしーー
ーー漆道聖武術ーー嚇威ノ道・覇
「「「「「!!?」」」」」
「誰が、其方の発言を許可した」
「っ!!」
空気が凍る。言葉を向けられた貴族は、呼吸すら困難な様子で両手を使って喉を押さえている。
「もう一度問う。誰が、其方の発言を許可した」
静かだが、物言わせぬ圧力を放つレオンハルト。貴族たちはこう考えたはずだ。藪蛇を突っついたと。
普通に敬意を表し、普通に謁見を済ませれば、いつも通り家に帰れる。なぜそうしなかったのだと彼らは後悔することだろう。
「そ、あ、その」
今になってたじろぐ貴族たち。呼吸すらままならないのに、言い訳する余裕などあるはずがない。
多くの貴族が謝ろうと膝をつくが、時すでに遅し。
「頭が高いぞ。ひれ伏せ」
レオンハルトが低い声でそう言い放つ。
次の瞬間、皇城が揺れた。
「「「「「「な!!?」」」」」」」
レオンハルトを前にして膝をつかなかった貴族、ひそひそ話を続けた貴族たちはもれなく地に這いつくばる。レオンハルトの重力魔法によって、立ち続けることができないからだ。
立つどころか、息するのがやっとなほどである。武勇を誇る東部の貴族でも、身動きを取れるものは一人もいなかった。
(これが、レオンハルト帝か。おそろしいのう)
(いやはや、想像以上)
(ばかな! この俺が、震えるているのか!?)
(兄様……)
四大公爵家の当主たちは、次々とそんな感想をもらす。
凍りつくような視線。玉座に座ったまま姿勢を一つ変えずに、貴族たちを鎮圧する。これほどのことをやってなお、余裕を見せるその姿勢。
それはまさに王の風格。
地に這いつくばる貴族たちをレオンハルトは見渡す。
「うむ。多少景観は改善されたか。クリストファーよ」
「っは」
「皇帝への不敬罪の罰は如何様なものか」
「っは。皇国法により、陛下への不敬は貴族平民問わず、等しく死刑であります」
「「「「「「!!」」」」」」」
重力魔法で押し潰されている貴族たちに動揺が走る。確かに皇帝への不敬は死刑であるが、だからと言って即位して間もない皇帝が死刑を言い出すとは思わなかった。
しかも、貴族たちは強大な魔法によって押さえつけられている。いわば、象に踏みつけられている状態。その象の気分ひとつで、自分はただの肉塊と化す恐怖。
「ふむ、ならばこの者らは死刑ということになるな」
なんでもないようにそういうレオンハルト。その一言で、多くの貴族は死を覚悟した。
しかしーー
「恐れながら申し上げます。これほど多くの者を死刑にしてしまっては、国の運営が立ち行かなくなります。ご再考くださいませ」
「されど、皇帝への不敬は大罪。一度許してしまえば、此奴らもつけあがるのではないか? 数を揃えれば余は罰しない、と」
「おっしゃる通りでございます。ですが、死刑以外の刑罰もございますゆえ、何卒ご再考を」
「ふむ」
クリストファーの言葉に頷くレオンハルト。少し、考える素振りを見せる。
「一理あるな。よかろう、その奏上、聞き届けた」
「陛下の御温情に感謝を」
大袈裟に頭を下げるクリストファー。それを見たレオンハルトは満足げに頷き、再び貴族たちに視線を戻す。
「では、貴公らに罰を言い渡す。余を前にして膝をつけぬといった愚か者は貴族籍を剥奪し、平民へ帰す。領地は皇帝直轄地とする」
「「「「「!!」」」」」
レオンハルトを前にして膝をつかなかったものは少ない。しかし、その多くは権力のある上級貴族。侯爵や伯爵級の者たちである。
本来であれば、皇帝といえど軽んじることのできない存在。それを一気に平民にすると言われたのだ。動揺が広がるのも無理はない。
さらに、彼らの持つ領地もかなり広い。それを全て皇帝直轄領とすれば、皇帝の権威は今までにないレベルに膨れ上がる。元ある直轄領を含めれば、皇国の土地の3割は皇帝直轄領となるのだから。
しかし、その決断に文句を言えるものはこの場にはいない。物理的にいえないと言うのもあるが、言ってしまえば死刑にされかねないからだ。
さらにレオンハルトは次の処罰を下す。
「余を前にして、許可なく言葉を発した者は一段降爵とし、罰金として金貨500枚を上納せよ」
「「「「「!!」」」」」
こちらも中々に厳しい罰。レオンハルトを前にしてひそひそ話をした貴族は全体の3割以上。その全ての貴族が降爵され、さらに金貨500の罰金を背負うのだ。
皇家には金貨十万枚以上の臨時収入が入る。小国の国家予算並みである。
「見事な采配でございます」
それに対し、クリストファーは同意の意を示した。どこか芝居がかったその動きだが、見るものに違和感を与えない。
罰を言い渡したレオンハルトは、やっと本題に戻れると言わんばかりの表情で諸侯を見渡す。
「さて、改めて。諸君ら、よく集まってくれた。楽にしてくれて構わない」
「「「「「っは! もったいなきお言葉!」」」」」
貴族たちは口を揃えてこういう。
すでにレオンハルトは重力魔法を解除したため、全ての貴族が起き上がり、礼をとっていた。心の中では不服でも、レオンハルトが恐ろしくて言い出せない者たちも、しっかりと礼をとっていた。
レオンハルトの楽にしていいと言う言葉に合わせて、姿勢を元に戻す。これでやっと、普通の謁見に戻れる。
「知っての通り、我が皇国はつい先日まで内乱状態にあった。それによって、国は大いに疲弊している。裏切り者アークの行いにより、重要な役職が空席となっている。本日は余の即位式であるものの、これから国を支える重鎮たちの任命式も執り行う」
そこからは早かった。邪魔するものは誰も現れず、粛々と任命式が進めらた。今回の内乱で活躍したものたちが次々と名を呼ばれ、新たな役職を得る。
その役職は、以下の通りである。
ーー宰相 クリストファー・ラインクール
ーー元帥 シュナイダー
ーー近衛騎士団団長 リンシア
ーー近衛騎士団副団長 マルクス
ーー皇国軍顧問 セベリス
ーーライネル領領主 セバスチャン・ライネル辺境伯
ーー陞爵 ドバイラス侯爵
ーー陞爵 ローカム女侯爵
ーー新任 ティーナ・シュヴァルツァー公爵
ーー新任 セオケイレス・バルフェウス公爵
ーー皇后 オリービア・ラインクール
そして、最後を飾るのはもちろん
ーー皇帝 レオンハルト・ラインクール
大統歴 1034年 6月
のちに大陸にその名を轟かせるレオンハルト帝がその日、即位する。
◆
即位式が終わり、レオンハルトが玉座を離れる。それに伴い、クリストファーとオリービアも幕の後ろへと消えていく。
諸侯たちに聞こえないぐらい距離になると、クリストファーは笑みを浮かべ、レオンハルトに話しかける。
「いやはやさすがでしたねぇ。こんなに上手くいくとは」
「政治なんてこんなところだろう。隙を見せた方が悪い」
「いやいや、だって陛下はまだ16歳ですよ。それが貴族から爵位を巻き上げるとは、末恐ろしいにもほどがあります」
「中央集権は王政の基本。回収できるものなら、早いうちにやっといた方がいい。皇帝直轄領が発展すれば、周りの貴族も追随せざるを得なくなる」
レオンハルトとて、本気で貴族たちに怒ったわけではない。むしろ心の底ではほくそ笑んでいたほどだ。
若い皇帝だからとレオンハルトを甘くみる愚か者なら、今のうちに貴族位から下ろした方が国のためになる。さらに土地も回収しでき、なおかつ厳しい皇帝の姿勢を見せつけられる。
まさに一石三鳥と言うわけだ。
大勢の貴族から恨まれるのは問題だが、それを安撫するための手も打ってある。飴と鞭の使い分けぐらい心得ている。
「まだまだ問題は山積みだが、ひとまず落ち着いたな」
そう言ったレオンハルトの視線の先に広がっていたのは、帝国の領土だった。
ーーーーー
あとがき
これにて四章終了となります! ここまでお付き合いただきありがとうござます。色々な伏線を回収し、色々な設定を大放出できました。
黒髪、黒い炎、勇者、シュナイダーの生存、オスカーとの因縁、家族との確執、大罪魔法などなど。
個人的には『Re:征服者』の最高傑作といえる章なのではないでしょうか。
さて、レオンハルは皇帝にはなれましたが、まだまだ物語は終われません。帝国、教国、西方連合などなど、まだまだたくさん書くことがあります。
そして、五章ではついにあの男が動きます! 三国大戦とは比べ物にならない派手な戦が待っていますので、お楽しみに。
明日から三話ほど幕間を投稿します。幕間と言いつつ、いつも通りかなり重要な内容になりますので、是非読んでほしんです。
では、また次の章でお会いしましょう。
以上、鴉真似でした。
表向きでは、シュヴァルツァー公爵家当主が戦死し、突如現れた怪物によってケイシリア軍が蹂躙され、そこをオリービア軍が助けたということになっている。
元々ケイシリア勢力はリングヒル公爵家とシュヴァルツァー公爵家の両家によって支えられているが、その一角が崩れたとなれば、帝位争いを続けることも難しい。
おまけに、クリストファー皇子はオリービア皇女を支援すると公に発表した。これで最大勢力はオリービア皇女となる。
それを受けて、壊滅状態なレギウス勢力はすぐにオリービア皇女を支持すると発表する。ケイシリア皇女側に帝位を取られなければいいと考えているからだ。
そうなれば、ケイシリア皇女も帝位争いを続けるのは難しいと判断する。リングヒル公爵家から正式に投降の知らせが届く。
かくして、帝位争いは終結した。
しかし、それでいて納得していないものも多い。
例えば、オリービア軍との戦闘に参加しなかった西部や北部の貴族たち。自分たちが参加していれば、勝てたかもしれないという思いもあれば、ぽっと出の子爵に帝位を奪われるのは癪だと考える者もいる。
そして、東部貴族もオリービア皇女を支持したものの、わけのわからない者が皇帝となるのはなんだか気に食わない。そういう考えが湧くのも自然なことだろう。
さらに、クリストファー皇子を支持した南部も、クリストファー皇子を支援していたのに、いつの間にかレオンハルトに帝位を奪われた形になる。面白くないと考える者も多い。
中央貴族など言わずもがなだろう。レオンハルトが豚公子だった時代をよく知っている者たちだ。豚公子が皇帝など到底容認できない、と言い出す者もいる始末だ。
つまり、レオンハルトの即位を心から喜ぶものはほんの僅か。納得がいかない、というものがほとんどである。
ゆえに、このような状況になるのも必然。
場所は謁見の間。全国各地から諸侯が集まり、新皇帝の即位を祝うという名目だ。しかし、先ほども言ったようにレオンハルトの即位を喜ぶものはごく僅か。
本来であれば皇帝が姿を現すまでは、静かに待機するのが貴族というもの。だが、レオンハルトが気に入らないものはここでひそひそ話を続けていた。
「っち、運良く皇女に気に入られただけの小物が」
「いやはや運というのもバカにできませんなぁ。皇帝までの道のりを運だけで乗り切れるのだから」
「16のガキが皇帝だと? ふざけるのも大概にしろよ」
「クリストファー殿下はなぜあのような者の即位をお許しになったのか。我らには全く理解できん」
「あいつってあの豚公子だろ? シュヴァルツァー家の」
「ああ、多少痩せたがあの豚公子で間違いはない。黒髪黒目の貴族などそいつぐらいだ」
「っは、貴族の恥がとうとう皇国の恥にまでなったか。時代の流れとは悲しいものだねぇ」
「あれが皇帝になれるなら、私は神になれるのではないか?」
「違いない、ははははは」
貴族たちは口々にそういう。一部のレオンハルトを慕っている貴族たちは、拳を握り締めグッと堪える。ここで乱闘にでもなれば、それこそレオンハルトの顔に泥を塗るようなもの。だから彼らは耐えていたのだ。
そして、貴族たちの先頭に立つ四大公爵家の当主や当主候補たちはというと、
「愚かな者たちですね。クリストファー殿下が無能を押すはずもないのに」
銀髪をオールバックにした紳士、コンランド・レイフィスはそんなことを呟く。
「ほっほっほ、まあそういうてやるな、レイフィスの倅よ。誰しも、過ちは犯すものよ」
「おや? 妙に実感がこもった言葉ですね。リングヒル公ともなれば、やはり経験は違いますか」
「いうようになったのう、童が。父に似てきたぞ」
そんな感じでバチバチのリングヒル公爵とレイフィス公爵。そんな二人に置いていかれたのが、新たに当主候補としてこの場にいるバルフェウス公爵とシュヴァルツァー公爵である。
経験たっぷりな二人と違い、こういうやりとりには慣れていない二人は互いで会話することしかできない。
「大変だな、シュヴァルツァー家も。お前のような娘が当主にならざるを得ないとは」
歳は20ほどの青年である新バルフェウス公爵は、そうやって新シュヴァルツァー公爵に話しかける。その言葉は嫌味ではない。純粋な感想である。ゆえにシュヴァルツァー家当主、ティーナも穏やかに言葉を返す。
「覚悟はとうにできています。父様と兄様の分まで、私が頑張らなくては」
「……その歳ですごい覚悟だな。やはり、あの兄を持つと違うのか?」
ここでいうあの兄とは、レオンハルトの方だろう。それに対しティーナ少し考える素振りを見せてから答える。
「いえ、そういうわけではありません。私はあの人を嫌っていましたので」
「ほう、そうなのか?」
「はい。兄が、テオハルト兄様が酷く嫌っていたので、私もそれにつられて。ですが、嫌っていなくとも、あの人とはあまり関わらなかったかもしれませんね」
「どうして?」
「住む世界が違いすぎます」
「それほどか……」
そんなこんなしているうちに、玉座の横から声が響く。
「皇帝陛下のご入来ーーー!」
そうの声とともに、オリービア、そしてクリストファーをそばに控えさせながら、レオンハルトが悠々と姿を表す。
皇帝ならではの冕冠を頭上に乗せ、身に皇帝礼服を纏う。
身に纏う礼服は歴代皇帝のそれではなく、完全なオーダーメイドである。その礼服には黒地に金色の模様が描かれている。色の割合としては、黒と金で半々と言ったところか。その金色の模様は、天に昇る龍の絵を表している。
レオンハルトの黒髪黒目と相まって、非常に映えている。
皇帝の入来を聞きつけた貴族たちは、一斉に膝をつく。とは言ったもの、ひそひそ話を止めるつもりはないらしい。
「きたぜ」
「どんなツラしてんのか見ものだ」
「っち、偉そうにしやがって」
皇帝を前にしての態度とは到底思えない。一部の貴族に至っては、膝をつかずに腰をおる程度に留まっている。国が乱れるとはまさにこのことを言うのだろう。
一緒に入ってきたオリービアは淡々としているが、クリストファーは眉を顰めていた。彼もまさかこれほどのとは思っていないのだろう。
しかし、バカにされている当人はといえば、顔色ひとつ変えずに玉座の前まで移動する。諸侯たちに面するように玉座に腰をかける。
肘掛けに肘を置き、頬杖をつくレオンハルト。舐めきっている諸侯たちを見渡すように視線を走らせ、言葉を発する。
「皆のもの、よく集まってくれた……と言いたいところがだ、余を前にしてその態度は何事か」
貴族たちはクスクスと笑い声を立てる。わざわざ指摘しなければ恥をかかずに済むのに、と言った様子である。
そんな中、レオンハルトをバカにするような態度で、候爵位を預かる貴族の一人がレオンハルトに話しかける。
「恐れながら、陛下。その態度、と言うのはどの態度のことでしょうか?」
男は、慇懃無礼な態度でそんなことを言い放つ。その顔には薄気味悪い笑みが浮かんでいた。ぽっと出の皇帝に何ができると言わんばかりだ。
しかしーー
ーー漆道聖武術ーー嚇威ノ道・覇
「「「「「!!?」」」」」
「誰が、其方の発言を許可した」
「っ!!」
空気が凍る。言葉を向けられた貴族は、呼吸すら困難な様子で両手を使って喉を押さえている。
「もう一度問う。誰が、其方の発言を許可した」
静かだが、物言わせぬ圧力を放つレオンハルト。貴族たちはこう考えたはずだ。藪蛇を突っついたと。
普通に敬意を表し、普通に謁見を済ませれば、いつも通り家に帰れる。なぜそうしなかったのだと彼らは後悔することだろう。
「そ、あ、その」
今になってたじろぐ貴族たち。呼吸すらままならないのに、言い訳する余裕などあるはずがない。
多くの貴族が謝ろうと膝をつくが、時すでに遅し。
「頭が高いぞ。ひれ伏せ」
レオンハルトが低い声でそう言い放つ。
次の瞬間、皇城が揺れた。
「「「「「「な!!?」」」」」」」
レオンハルトを前にして膝をつかなかった貴族、ひそひそ話を続けた貴族たちはもれなく地に這いつくばる。レオンハルトの重力魔法によって、立ち続けることができないからだ。
立つどころか、息するのがやっとなほどである。武勇を誇る東部の貴族でも、身動きを取れるものは一人もいなかった。
(これが、レオンハルト帝か。おそろしいのう)
(いやはや、想像以上)
(ばかな! この俺が、震えるているのか!?)
(兄様……)
四大公爵家の当主たちは、次々とそんな感想をもらす。
凍りつくような視線。玉座に座ったまま姿勢を一つ変えずに、貴族たちを鎮圧する。これほどのことをやってなお、余裕を見せるその姿勢。
それはまさに王の風格。
地に這いつくばる貴族たちをレオンハルトは見渡す。
「うむ。多少景観は改善されたか。クリストファーよ」
「っは」
「皇帝への不敬罪の罰は如何様なものか」
「っは。皇国法により、陛下への不敬は貴族平民問わず、等しく死刑であります」
「「「「「「!!」」」」」」」
重力魔法で押し潰されている貴族たちに動揺が走る。確かに皇帝への不敬は死刑であるが、だからと言って即位して間もない皇帝が死刑を言い出すとは思わなかった。
しかも、貴族たちは強大な魔法によって押さえつけられている。いわば、象に踏みつけられている状態。その象の気分ひとつで、自分はただの肉塊と化す恐怖。
「ふむ、ならばこの者らは死刑ということになるな」
なんでもないようにそういうレオンハルト。その一言で、多くの貴族は死を覚悟した。
しかしーー
「恐れながら申し上げます。これほど多くの者を死刑にしてしまっては、国の運営が立ち行かなくなります。ご再考くださいませ」
「されど、皇帝への不敬は大罪。一度許してしまえば、此奴らもつけあがるのではないか? 数を揃えれば余は罰しない、と」
「おっしゃる通りでございます。ですが、死刑以外の刑罰もございますゆえ、何卒ご再考を」
「ふむ」
クリストファーの言葉に頷くレオンハルト。少し、考える素振りを見せる。
「一理あるな。よかろう、その奏上、聞き届けた」
「陛下の御温情に感謝を」
大袈裟に頭を下げるクリストファー。それを見たレオンハルトは満足げに頷き、再び貴族たちに視線を戻す。
「では、貴公らに罰を言い渡す。余を前にして膝をつけぬといった愚か者は貴族籍を剥奪し、平民へ帰す。領地は皇帝直轄地とする」
「「「「「!!」」」」」
レオンハルトを前にして膝をつかなかったものは少ない。しかし、その多くは権力のある上級貴族。侯爵や伯爵級の者たちである。
本来であれば、皇帝といえど軽んじることのできない存在。それを一気に平民にすると言われたのだ。動揺が広がるのも無理はない。
さらに、彼らの持つ領地もかなり広い。それを全て皇帝直轄領とすれば、皇帝の権威は今までにないレベルに膨れ上がる。元ある直轄領を含めれば、皇国の土地の3割は皇帝直轄領となるのだから。
しかし、その決断に文句を言えるものはこの場にはいない。物理的にいえないと言うのもあるが、言ってしまえば死刑にされかねないからだ。
さらにレオンハルトは次の処罰を下す。
「余を前にして、許可なく言葉を発した者は一段降爵とし、罰金として金貨500枚を上納せよ」
「「「「「!!」」」」」
こちらも中々に厳しい罰。レオンハルトを前にしてひそひそ話をした貴族は全体の3割以上。その全ての貴族が降爵され、さらに金貨500の罰金を背負うのだ。
皇家には金貨十万枚以上の臨時収入が入る。小国の国家予算並みである。
「見事な采配でございます」
それに対し、クリストファーは同意の意を示した。どこか芝居がかったその動きだが、見るものに違和感を与えない。
罰を言い渡したレオンハルトは、やっと本題に戻れると言わんばかりの表情で諸侯を見渡す。
「さて、改めて。諸君ら、よく集まってくれた。楽にしてくれて構わない」
「「「「「っは! もったいなきお言葉!」」」」」
貴族たちは口を揃えてこういう。
すでにレオンハルトは重力魔法を解除したため、全ての貴族が起き上がり、礼をとっていた。心の中では不服でも、レオンハルトが恐ろしくて言い出せない者たちも、しっかりと礼をとっていた。
レオンハルトの楽にしていいと言う言葉に合わせて、姿勢を元に戻す。これでやっと、普通の謁見に戻れる。
「知っての通り、我が皇国はつい先日まで内乱状態にあった。それによって、国は大いに疲弊している。裏切り者アークの行いにより、重要な役職が空席となっている。本日は余の即位式であるものの、これから国を支える重鎮たちの任命式も執り行う」
そこからは早かった。邪魔するものは誰も現れず、粛々と任命式が進めらた。今回の内乱で活躍したものたちが次々と名を呼ばれ、新たな役職を得る。
その役職は、以下の通りである。
ーー宰相 クリストファー・ラインクール
ーー元帥 シュナイダー
ーー近衛騎士団団長 リンシア
ーー近衛騎士団副団長 マルクス
ーー皇国軍顧問 セベリス
ーーライネル領領主 セバスチャン・ライネル辺境伯
ーー陞爵 ドバイラス侯爵
ーー陞爵 ローカム女侯爵
ーー新任 ティーナ・シュヴァルツァー公爵
ーー新任 セオケイレス・バルフェウス公爵
ーー皇后 オリービア・ラインクール
そして、最後を飾るのはもちろん
ーー皇帝 レオンハルト・ラインクール
大統歴 1034年 6月
のちに大陸にその名を轟かせるレオンハルト帝がその日、即位する。
◆
即位式が終わり、レオンハルトが玉座を離れる。それに伴い、クリストファーとオリービアも幕の後ろへと消えていく。
諸侯たちに聞こえないぐらい距離になると、クリストファーは笑みを浮かべ、レオンハルトに話しかける。
「いやはやさすがでしたねぇ。こんなに上手くいくとは」
「政治なんてこんなところだろう。隙を見せた方が悪い」
「いやいや、だって陛下はまだ16歳ですよ。それが貴族から爵位を巻き上げるとは、末恐ろしいにもほどがあります」
「中央集権は王政の基本。回収できるものなら、早いうちにやっといた方がいい。皇帝直轄領が発展すれば、周りの貴族も追随せざるを得なくなる」
レオンハルトとて、本気で貴族たちに怒ったわけではない。むしろ心の底ではほくそ笑んでいたほどだ。
若い皇帝だからとレオンハルトを甘くみる愚か者なら、今のうちに貴族位から下ろした方が国のためになる。さらに土地も回収しでき、なおかつ厳しい皇帝の姿勢を見せつけられる。
まさに一石三鳥と言うわけだ。
大勢の貴族から恨まれるのは問題だが、それを安撫するための手も打ってある。飴と鞭の使い分けぐらい心得ている。
「まだまだ問題は山積みだが、ひとまず落ち着いたな」
そう言ったレオンハルトの視線の先に広がっていたのは、帝国の領土だった。
ーーーーー
あとがき
これにて四章終了となります! ここまでお付き合いただきありがとうござます。色々な伏線を回収し、色々な設定を大放出できました。
黒髪、黒い炎、勇者、シュナイダーの生存、オスカーとの因縁、家族との確執、大罪魔法などなど。
個人的には『Re:征服者』の最高傑作といえる章なのではないでしょうか。
さて、レオンハルは皇帝にはなれましたが、まだまだ物語は終われません。帝国、教国、西方連合などなど、まだまだたくさん書くことがあります。
そして、五章ではついにあの男が動きます! 三国大戦とは比べ物にならない派手な戦が待っていますので、お楽しみに。
明日から三話ほど幕間を投稿します。幕間と言いつつ、いつも通りかなり重要な内容になりますので、是非読んでほしんです。
では、また次の章でお会いしましょう。
以上、鴉真似でした。
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